ランチア:835A5型エンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 1995cc]

ここではランチアのA835A5型・デドラ [2.0i.e.|1992/06モデル] に搭載されている835A5型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

835A5型の自然吸気エンジン諸元


A835A5型 デドラ
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式E-A835A5型
車名&グレードデドラ
2.0i.e.
エンジン型式835A5
種類直列4気筒
排気量1995cc
内径×行程84.0mm×90.0mm
ボアストローク比1.07
単気筒容積498.7cc
圧縮比9.5
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力110PS/5750rpm
最大トルク15.9kgm/3300rpm

まず基本的な成り立ちとして、835A5型エンジンはボア(内径)84.0mm、ストローク(行程)90.0mm、ボアストローク比1.07のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

このサイトにて835A5型の自然吸気エンジンを搭載している車種は、1991/05から発売された初代デドラ [A835A5型|1992/06]となっており、NA車は2車種、ターボ/SC車は0車種の全2車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
835A5のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷73.2PS → 110PS
トルクの変遷15.9kgm → 13.7kgm
リッター馬力55.1PS/L
リッタートルク8.0kgm/L

今回の参考車両であるデドラの直列4気筒1995cc、圧縮比9.5でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、5750回転のとき最高出力110馬力を、5750回転のとき最大トルク15.9kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する3300回転での馬力は73.2PS、最高出力が発生する5750回転でのトルクは13.7kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は55.1PS/L、トルクは8.0kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積498.7cc)あたりの馬力は27.5PS、トルクは4.0kgmです。

835A5型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 3 ]、換算トルクが[ 1 ]の「控えめな出力のエンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
84.090.01995cc9.51.07
ボアアップによる排気量拡大
84.590.02019cc9.61.07
85.02043cc9.71.06
85.52067cc9.81.05
86.02091cc9.91.05
86.52115cc10.01.04
87.02140cc10.11.03
ストロークアップによる排気量拡大
84.091.02017cc9.61.08
92.02039cc9.71.10
93.02061cc9.81.11
94.02084cc9.91.12
95.02106cc10.01.13

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の84.0mmから0.5mm刻みで87.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の90.0mmから1mm刻みで95.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。835A5型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.07から1.03に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

835A5型エンジンのピストン径84.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが56件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
マツダ
YF型
84.8mm
[+0.8mm]
2033cc
[+38cc]
三菱
4G63型
85.0mm
[+1.0mm]
2043cc
[+48cc]
日産
VQ25型
85.0mm
[+1.0mm]
2043cc
[+48cc]
スバル
EJ15型
85.0mm
[+1.0mm]
2043cc
[+48cc]
ホンダ
F20B型
85.0mm
[+1.0mm]
2043cc
[+48cc]
ホンダ
F22B型
85.0mm
[+1.0mm]
2043cc
[+48cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、マツダ:EPEW型トリビュートに搭載されるYF型1988ccの84.8mm、三菱:CT9A型ランサーエボリューションに搭載される4G63型1997ccの85.0mm、日産:M35型プラウディアに搭載されるVQ25型2495ccの85.0mm、スバル:GG2型インプレッサ スポーツワゴンに搭載されるEJ15型1493ccの85.0mm、ホンダ:CJ3型トルネオに搭載されるF20B型1997ccの85.0mm、ホンダ:BB7型プレリュードに搭載されるF22B型2156ccの85.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 2000ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 2000ccクラスのエンジン
ストロークが短い 2000ccクラスのエンジン
ストロークが長い 2000ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [2000ccクラス]
ボアストローク比・降順 [2000ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
3300rpm
最高出力
5750rpm
90.0mm9.9m/s17.2m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.0m/s22km/h
4000rpm12.0m/s43km/h
6000rpm18.0m/s65km/h
8000rpm24.0m/s86km/h
10000rpm30.0m/s108km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが90.0mmのエンジンが最高出力を発生する5750回転での平均ピストンスピードは17.2m/sとなり、これは1秒間に17.2メートル(時速にすると61.9km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する3300回転では9.9m/s、最高出力が発生する5750回転より500回転高い6250回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は18.8m/sとなっています。

参考までにストロークが90.0mmの835A5型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.00m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6670回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


835A5型エンジンを搭載する車種の例

全2車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
ランチア
A835A5
1992/06
デドラ
2.0i.e.
[E-A835A5]
110PS
15.9kgm
-
11.64kg/PS
自然吸気
FF/4AT
セダン
5人乗り

デドラ
[2.0i.e.]
1992/06モデル
車両型式E-A835A5
最高出力110PS
最大トルク15.9kgm
パワーウェイト11.64kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FF/4AT
車体形状&乗車定員セダン/5人乗り
ランチア
A835A5
1992/06
デドラ
2.0i.e.
[E-A835A5]
110PS
15.9kgm
-
11.09kg/PS
自然吸気
FF/5MT
セダン
5人乗り

デドラ
[2.0i.e.]
1992/06モデル
車両型式E-A835A5
最高出力110PS
最大トルク15.9kgm
パワーウェイト11.09kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FF/5MT
車体形状&乗車定員セダン/5人乗り