JEEP:S型エンジンの諸元と性能まとめ [V型6気筒 3238cc]

ここではJEEPのKL32L型・チェロキー [Trailhawk|2014/05モデル] に搭載されているS型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

S型の自然吸気エンジン諸元


KL32L型 チェロキー
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式ABA-KL32L型
車名&グレードチェロキー
Trailhawk
エンジン型式S
種類V型6気筒
排気量3238cc
内径×行程91.0mm×83.0mm
ボアストローク比0.91
単気筒容積539.8cc
圧縮比10.7
吸気方式自然吸気
使用燃料レギュラーガソリン
最高出力272PS/6500rpm
最大トルク32.1kgm/4300rpm

まず基本的な成り立ちとして、S型エンジンはボア(内径)91.0mm、ストローク(行程)83.0mm、ボアストローク比0.91のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

このサイトにてS型の自然吸気エンジンを搭載している車種は、2014/05から発売された5代目チェロキー [KL32L型|2014/05]となっており、NA車は2車種、ターボ/SC車は0車種の全2車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
Sのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷192.7PS → 272PS
トルクの変遷32.1kgm → 30.0kgm
リッター馬力84.0PS/L
リッタートルク9.9kgm/L

今回の参考車両であるチェロキーのV型6気筒3238cc、圧縮比10.7でレギュラーガソリン仕様の自然吸気エンジンは、6500回転のとき最高出力272馬力を、6500回転のとき最大トルク32.1kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する4300回転での馬力は192.7PS、最高出力が発生する6500回転でのトルクは30.0kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は84.0PS/L、トルクは9.9kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積539.8cc)あたりの馬力は45.3PS、トルクは5.4kgmです。

S型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 7 ]、換算トルクが[ 7 ]の「なかなかの高出力エンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
91.083.03238cc10.70.91
ボアアップによる排気量拡大
91.583.03275cc10.80.91
92.03310cc10.90.90
92.53346cc11.00.90
93.03383cc11.10.89
93.53419cc11.30.89
94.03456cc11.40.88
ストロークアップによる排気量拡大
91.084.03278cc10.80.92
85.03317cc10.90.93
86.03356cc11.10.95
87.03395cc11.20.96
88.03434cc11.30.97

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の91.0mmから0.5mm刻みで94.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の83.0mmから1mm刻みで88.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.91からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。S型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.91から0.88に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

S型エンジンのピストン径91.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが29件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
スバル
EJ20型
92.0mm
[+1.0mm]
3310cc
[+72cc]
トヨタ
2L型
92.0mm
[+1.0mm]
3310cc
[+72cc]
スバル
EA71型
92.0mm
[+1.0mm]
3310cc
[+72cc]
スズキ
J24B型
92.0mm
[+1.0mm]
3310cc
[+72cc]
マツダ
G5型
92.0mm
[+1.0mm]
3310cc
[+72cc]
トヨタ
3MZ型
92.0mm
[+1.0mm]
3310cc
[+72cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、スバル:BL5型レガシィB4に搭載されるEJ20型1994ccの92.0mm、トヨタ:LH100G型ハイエースワゴンに搭載される2L型2446ccの92.0mm、スバル:AA2型レオーネに搭載されるEA71型1595ccの92.0mm、スズキ:RF91S型キザシに搭載されるJ24B型2393ccの92.0mm、マツダ:UV56R型プロシード マービーに搭載されるG5型2494ccの92.0mm、トヨタ:MHU38W型ハリアー ハイブリッドに搭載される3MZ型3310ccの92.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 3500ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 3500ccクラスのエンジン
ストロークが短い 3500ccクラスのエンジン
ストロークが長い 3500ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [3500ccクラス]
ボアストローク比・降順 [3500ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
4300rpm
最高出力
6500rpm
83.0mm11.9m/s18.0m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.5m/s20km/h
4000rpm11.1m/s40km/h
6000rpm16.6m/s60km/h
8000rpm22.1m/s80km/h
10000rpm27.7m/s100km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが83.0mmのエンジンが最高出力を発生する6500回転での平均ピストンスピードは18.0m/sとなり、これは1秒間に18.0メートル(時速にすると64.8km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する4300回転では11.9m/s、最高出力が発生する6500回転より500回転高い7000回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は19.4m/sとなっています。

参考までにストロークが83.0mmのS型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.55m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)7230回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


S型エンジンを搭載する車種の例

全2車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
JEEP
KL32L
2014/05
チェロキー
Trailhawk
[ABA-KL32L]
272PS
32.1kgm
8.8km/L
7.32kg/PS
自然吸気
4WD/9AT
SUV
5人乗り

チェロキー
[Trailhawk]
2014/05モデル
車両型式ABA-KL32L
最高出力272PS
最大トルク32.1kgm
JC08モード燃費8.8km/L
パワーウェイト7.32kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機4WD/9AT
車体形状&乗車定員SUV/5人乗り
JEEP
KL32
2014/05
チェロキー
Limited
[ABA-KL32]
272PS
32.1kgm
8.9km/L
6.91kg/PS
自然吸気
4WD/9AT
SUV
5人乗り

チェロキー
[Limited]
2014/05モデル
車両型式ABA-KL32
最高出力272PS
最大トルク32.1kgm
JC08モード燃費8.9km/L
パワーウェイト6.91kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機4WD/9AT
車体形状&乗車定員SUV/5人乗り

JEEP製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】