JEEP:8型エンジンの諸元と性能まとめ [V型6気筒 3782cc]

ここではJEEPのJK38L型・ラングラー アンリミテッド [Sport|2011/02モデル] に搭載されている8型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

8型の自然吸気エンジン諸元


JK38L型 ラングラー アンリミテッド
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式ABA-JK38L型
車名&グレードラングラー アンリミテッド
Sport
エンジン型式8
種類V型6気筒
排気量3782cc
内径×行程96.0mm×87.1mm
ボアストローク比0.91
単気筒容積630.4cc
圧縮比9.6
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力199PS/5000rpm
最大トルク32.1kgm/4000rpm

まず基本的な成り立ちとして、8型エンジンはボア(内径)96.0mm、ストローク(行程)87.1mm、ボアストローク比0.91のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、8型の自然吸気エンジンを搭載する最も古い車種は、2007/03から発売された3代目ラングラー [JK38S型|2007/03]、最も新しい車種は2007/03から発売された3代目ラングラー アンリミテッド [JK38L型|2011/02]となっており、NA車は3車種、ターボ/SC車は0車種の全3車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
8のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷179.2PS → 199PS
トルクの変遷32.1kgm → 28.5kgm
リッター馬力52.6PS/L
リッタートルク8.5kgm/L

今回の参考車両であるラングラー アンリミテッドのV型6気筒3782cc、圧縮比9.6でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、5000回転のとき最高出力199馬力を、5000回転のとき最大トルク32.1kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する4000回転での馬力は179.2PS、最高出力が発生する5000回転でのトルクは28.5kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は52.6PS/L、トルクは8.5kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積630.4cc)あたりの馬力は33.2PS、トルクは5.4kgmです。

8型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 2 ]、換算トルクが[ 3 ]の「やや心もとない出力のエンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
96.087.13782cc9.60.91
ボアアップによる排気量拡大
96.587.13822cc9.70.90
97.03862cc9.80.90
97.53902cc9.90.89
98.03942cc10.00.89
98.53982cc10.10.88
99.04023cc10.10.88
ストロークアップによる排気量拡大
96.088.13826cc9.70.92
89.13869cc9.80.93
90.13913cc9.90.94
91.13956cc10.00.95
92.14000cc10.10.96

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の96.0mmから0.5mm刻みで99.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の87.1mmから1mm刻みで92.1mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.91からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。8型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.91から0.88に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

8型エンジンのピストン径96.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが2件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
スバル
EJ22型
96.9mm
[+0.9mm]
3854cc
[+72cc]
スバル
EG33型
96.9mm
[+0.9mm]
3854cc
[+72cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、スバル:BG7型レガシィ ツーリングワゴンに搭載されるEJ22型2212ccの96.9mm、スバル:CXD型アルシオーネSVXに搭載されるEG33型3318ccの96.9mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 4000ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 4000ccクラスのエンジン
ストロークが短い 4000ccクラスのエンジン
ストロークが長い 4000ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [4000ccクラス]
ボアストローク比・降順 [4000ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
4000rpm
最高出力
5000rpm
87.1mm11.6m/s14.5m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.8m/s21km/h
4000rpm11.6m/s42km/h
6000rpm17.4m/s63km/h
8000rpm23.2m/s84km/h
10000rpm29.0m/s104km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが87.1mmのエンジンが最高出力を発生する5000回転での平均ピストンスピードは14.5m/sとなり、これは1秒間に14.5メートル(時速にすると52.2km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する4000回転では11.6m/s、最高出力が発生する5000回転より500回転高い5500回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は16.0m/sとなっています。

参考までにストロークが87.1mmの8型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.80m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6890回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


8型エンジンを搭載する車種の例

全3車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
JEEP
JK38L
2011/02
ラングラー アンリミテッド
Sport
[ABA-JK38L]
199PS
32.1kgm
6.9km/L
9.95kg/PS
自然吸気
4WD/4AT
SUV
5人乗り

ラングラー アンリミテッド
[Sport]
2011/02モデル
車両型式ABA-JK38L
最高出力199PS
最大トルク32.1kgm
JC08モード燃費6.9km/L
10-15モード燃費7.1km/L
パワーウェイト9.95kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機4WD/4AT
車体形状&乗車定員SUV/5人乗り
JEEP
JK38S
2007/03
ラングラー
Rubicon 6MT
[ABA-JK38S]
199PS
32.1kgm
7.3km/L
9.10kg/PS
自然吸気
4WD/6MT
SUV
4人乗り

ラングラー
[Rubicon 6MT]
2007/03モデル
車両型式ABA-JK38S
最高出力199PS
最大トルク32.1kgm
JC08モード燃費6.9km/L
10-15モード燃費7.3km/L
パワーウェイト9.10kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機4WD/6MT
車体形状&乗車定員SUV/4人乗り
JEEP
JK38S
2011/02
ラングラー
Sport-4AT
[ABA-JK38S]
199PS
32.1kgm
7.3km/L
9.20kg/PS
自然吸気
4WD/4AT
SUV
4人乗り

ラングラー
[Sport-4AT]
2011/02モデル
車両型式ABA-JK38S
最高出力199PS
最大トルク32.1kgm
JC08モード燃費7.3km/L
10-15モード燃費7.2km/L
パワーウェイト9.20kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機4WD/4AT
車体形状&乗車定員SUV/4人乗り

その他の8型エンジン型式と代表的な車種

8型
全1車種
クライスラー:グランドボイジャー [LX]
最高出力193PS/最大トルク31.1kgm
2010/06モデル
クライスラー
8型
全1車種
グランドボイジャー
[LX]
193PS/31.1kgm

JEEP製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】