JEEP:318型エンジンの諸元と性能まとめ [V型8気筒 5210cc]

ここではJEEPのZG52型・グランドチェロキー [Limited-LX|1998/06モデル] に搭載されている318型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

318型の自然吸気エンジン諸元


ZG52型 グランドチェロキー
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式E-ZG52型
車名&グレードグランドチェロキー
Limited-LX
エンジン型式318
種類V型8気筒
排気量5210cc
内径×行程99.3mm×84.1mm
ボアストローク比0.85
単気筒容積651.3cc
圧縮比8.9
吸気方式自然吸気
使用燃料レギュラーガソリン
最高出力220PS/4400rpm
最大トルク41.5kgm/3200rpm

まず基本的な成り立ちとして、318型エンジンはボア(内径)99.3mm、ストローク(行程)84.1mm、ボアストローク比0.85のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
318のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷185.4PS → 220PS
トルクの変遷41.5kgm → 35.8kgm
リッター馬力42.2PS/L
リッタートルク8.0kgm/L

今回の参考車両であるグランドチェロキーのV型8気筒5210cc、圧縮比8.9でレギュラーガソリン仕様の自然吸気エンジンは、4400回転のとき最高出力220馬力を、4400回転のとき最大トルク41.5kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する3200回転での馬力は185.4PS、最高出力が発生する4400回転でのトルクは35.8kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は42.2PS/L、トルクは8.0kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積651.3cc)あたりの馬力は27.5PS、トルクは5.2kgmです。

318型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 1 ]、換算トルクが[ 1 ]の「心もとない出力のエンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
99.384.15210cc8.90.85
ボアアップによる排気量拡大
99.884.15263cc9.00.84
100.35316cc9.10.84
100.85369cc9.10.83
101.35422cc9.20.83
101.85476cc9.30.83
102.35530cc9.40.82
ストロークアップによる排気量拡大
99.385.15272cc9.00.86
86.15334cc9.10.87
87.15396cc9.20.88
88.15458cc9.30.89
89.15520cc9.40.90

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の99.3mmから0.5mm刻みで102.3mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の84.1mmから1mm刻みで89.1mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.85からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。318型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.85から0.82に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

318型エンジンのピストン径99.3mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが1件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
トヨタ
1FZ型
100.0mm
[+0.7mm]
5284cc
[+74cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、トヨタ:FZJ80G型ランドクルーザー80に搭載される1FZ型4476ccの100.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい クラスのエンジン
ピストン径が大きい クラスのエンジン
ストロークが短い クラスのエンジン
ストロークが長い クラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [クラス]
ボアストローク比・降順 [クラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
3200rpm
最高出力
4400rpm
84.1mm9.0m/s12.3m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.6m/s20km/h
4000rpm11.2m/s40km/h
6000rpm16.8m/s60km/h
8000rpm22.4m/s81km/h
10000rpm28.0m/s101km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが84.1mmのエンジンが最高出力を発生する4400回転での平均ピストンスピードは12.3m/sとなり、これは1秒間に12.3メートル(時速にすると44.3km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する3200回転では9.0m/s、最高出力が発生する4400回転より500回転高い4900回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は13.7m/sとなっています。

参考までにストロークが84.1mmの318型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.60m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)7130回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


318型エンジンを搭載する車種の例

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
JEEP
ZG52
1998/06
グランドチェロキー
Limited-LX
[E-ZG52]
220PS
41.5kgm
5.1km/L
8.36kg/PS
自然吸気
4WD/4AT
SUV
5人乗り

グランドチェロキー
[Limited-LX]
1998/06モデル
車両型式E-ZG52
最高出力220PS
最大トルク41.5kgm
10-15モード燃費5.1km/L
パワーウェイト8.36kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機4WD/4AT
車体形状&乗車定員SUV/5人乗り

JEEP製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】