ここではジャガーのJ13LB型・XJ [XJ Executive-4.0 V8|2001/06モデル] に搭載されているLB型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。
LB型の自然吸気エンジン諸元
J13LB型 XJ 主要諸元と走行性能まとめ | |
車両型式 | GF-J13LB型 |
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車名&グレード | XJ XJ Executive-4.0 V8 |
エンジン型式 | LB |
種類 | V型8気筒 |
排気量 | 3996cc |
内径×行程 | 86.0mm×86.0mm |
ボアストローク比 | 1.00 |
単気筒容積 | 499.5cc |
吸気方式 | 自然吸気 |
使用燃料 | ハイオクガソリン |
最高出力 | 294PS/6100rpm |
最大トルク | 40.0kgm/4250rpm |
まず基本的な成り立ちとして、LB型エンジンはボア(内径)86.0mm、ストローク(行程)86.0mm、ボアストローク比1.00のスクエア型エンジン(ピストン径とストローク量が同一)です。
排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型とショートストローク型の美点の良いとこ取り、若しくは欠点の悪いとこ取り、特にこれと言ってどうとも言えないバランス型の万能エンジンとなる素質があります。
数多あるボアとストロークの組み合わせの中で唯一、双方が同じ寸法のときにだけ現れるスクエア型はその存在の希少性こそが最大の魅力であると言えましょう。
過渡特性とリッター換算馬力から見た評価
エンジン性能曲線のイメージ | |
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馬力の変遷 | 237.3PS → 294PS |
トルクの変遷 | 40.0kgm → 34.5kgm |
リッター馬力 | 73.57PS/L |
リッタートルク | 10.0kgm/L |
今回の参考車両であるXJのV型8気筒3996ccでハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、6100回転のとき最高出力294馬力を、6100回転のとき最大トルク40.0kgmを発生させます。
馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する4250回転での馬力は237.3PS、最高出力が発生する6100回転でのトルクは34.5kgmになります。
排気量1リットルあたりの馬力は73.57PS/L、トルクは10.0kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積499.5cc)あたりの馬力は36.8PS、トルクは5.0kgmです。
LB型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 6 ]、換算トルクが[ 7 ]の「標準的な出力(中の上)のエンジン」にカテゴライズされます。
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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化
ノーマルの排気量と圧縮比 | ||||
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Bore | Stroke | 排気量 | 圧縮比 | B/S比 |
86.0 | 86.0 | 3996cc | - | 1.00 |
ボアアップによる排気量拡大 | ||||
86.5 | 86.0 | 4043cc | - | 0.99 |
87.0 | 4090cc | - | 0.99 | |
87.5 | 4137cc | - | 0.98 | |
88.0 | 4184cc | - | 0.98 | |
88.5 | 4232cc | - | 0.97 | |
89.0 | 4280cc | - | 0.97 | |
ストロークアップによる排気量拡大 | ||||
86.0 | 87.0 | 4043cc | - | 1.01 |
88.0 | 4089cc | - | 1.02 | |
89.0 | 4136cc | - | 1.03 | |
90.0 | 4182cc | - | 1.05 | |
91.0 | 4229cc | - | 1.06 |
エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。
ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の86.0mmから0.5mm刻みで89.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の86.0mmから1mm刻みで91.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。
※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。
B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと1.00のスクエア型からショートストローク型へとシフトしていきます。LB型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.00から0.97に変化するという具合です。
ピストン径が近いエンジンと排気量アップ
LB型エンジンのピストン径86.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが39件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。
Eg型式 | ピストン径 | 排気量 |
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日産 VG30型 | 87.0mm [+1.0mm] | 4090cc [+94cc] |
ホンダ K24A型 | 87.0mm [+1.0mm] | 4090cc [+94cc] |
トヨタ 5S型 | 87.0mm [+1.0mm] | 4090cc [+94cc] |
ホンダ H22A型 | 87.0mm [+1.0mm] | 4090cc [+94cc] |
ホンダ K24W型 | 87.0mm [+1.0mm] | 4090cc [+94cc] |
ホンダ H23A型 | 87.0mm [+1.0mm] | 4090cc [+94cc] |
ピストン径が近いエンジンとしては、日産:Z32型マキシマに搭載されるVG30型2960ccの87.0mm、ホンダ:CW2型アコード ツアラーに搭載されるK24A型2354ccの87.0mm、トヨタ:SXV25N型ハリアーに搭載される5S型2163ccの87.0mm、ホンダ:CL1型アコードに搭載されるH22A型2156ccの87.0mm、ホンダ:RC1型オデッセイに搭載されるK24W型2356ccの87.0mm、ホンダ:CH9型アコード ワゴンに搭載されるH23A型2258ccの87.0mmなどが該当します。
(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。
●ピストン径が小さい 4000ccクラスのエンジン
●ピストン径が大きい 4000ccクラスのエンジン
●ストロークが短い 4000ccクラスのエンジン
●ストロークが長い 4000ccクラスのエンジン
●ボアストローク比・昇順 [4000ccクラス]
●ボアストローク比・降順 [4000ccクラス]
平均ピストンスピード
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続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが86.0mmのエンジンが最高出力を発生する6100回転での平均ピストンスピードは17.5m/sとなり、これは1秒間に17.5メートル(時速にすると63.0km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。
最大トルクを発生する4250回転では12.2m/s、最高出力が発生する6100回転より500回転高い6600回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は18.9m/sとなっています。
参考までにストロークが86.0mmのLB型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.75m/sずつ速度が増していくようです。
大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6980回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。
LB型エンジンを搭載する車種の例
メーカー 車両型式 | 画像 | 車名&グレード | 出力/燃費 パワーウェイト | 排気量 変速機 | ||||||||||||||
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ジャガー J13LB | 2001/06 XJ XJ Executive-4.0 V8 [GF-J13LB] | 294PS 40.0kgm 6.7km/L 5.918kg/PS | 自然吸気 FR/5AT セダン 5人乗り | |||||||||||||||
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