ジャガー:508PN型エンジンの諸元と性能まとめ [V型8気筒 4999cc]

ここではジャガーのJ438B型・XK [XK Luxury-Coupe|2011/11モデル] に搭載されている508PN型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

508PN型の自然吸気エンジン諸元


J438B型 XK
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式CBA-J438B型
車名&グレードXK
XK Luxury-Coupe
エンジン型式508PN
種類V型8気筒
排気量4999cc
内径×行程92.5mm×93.0mm
ボアストローク比1.00
単気筒容積624.9cc
圧縮比11.5
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力385PS/6500rpm
最大トルク52.5kgm/3500rpm

まず基本的な成り立ちとして、508PN型エンジンはボア(内径)92.5mm、ストローク(行程)93.0mm、ボアストローク比1.00のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型とショートストローク型の美点の良いとこ取り、若しくは欠点の悪いとこ取り、特にこれと言ってどうとも言えないバランス型の万能エンジンとなる素質があります。

数多あるボアとストロークの組み合わせの中で唯一、双方が同じ寸法のときにだけ現れるスクエア型はその存在の希少性こそが最大の魅力であると言えましょう。

このサイトにて508PN型の自然吸気エンジンを搭載している車種は、2006/07から発売された2代目XK [J438B型|2011/11]となっており、NA車は3車種、ターボ/SC車は0車種の全3車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
508PNのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷256.5PS → 385PS
トルクの変遷52.5kgm → 42.4kgm
リッター馬力77.0PS/L
リッタートルク10.5kgm/L

今回の参考車両であるXKのV型8気筒4999cc、圧縮比11.5でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、6500回転のとき最高出力385馬力を、6500回転のとき最大トルク52.5kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する3500回転での馬力は256.5PS、最高出力が発生する6500回転でのトルクは42.4kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は77.0PS/L、トルクは10.5kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積624.9cc)あたりの馬力は48.1PS、トルクは6.6kgmです。

508PN型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 6 ]、換算トルクが[ 8 ]の「標準的な出力(中の上)のエンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
92.593.04999cc11.51.00
ボアアップによる排気量拡大
93.093.05054cc11.61.00
93.55108cc11.70.99
94.05163cc11.80.99
94.55218cc12.00.98
95.05273cc12.10.98
95.55329cc12.20.97
ストロークアップによる排気量拡大
92.594.05053cc11.61.02
95.05107cc11.71.03
96.05161cc11.81.04
97.05215cc12.01.05
98.05268cc12.11.06

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の92.5mmから0.5mm刻みで95.5mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の93.0mmから1mm刻みで98.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと1.00のスクエア型からショートストローク型へとシフトしていきます。508PN型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.00から0.97に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

508PN型エンジンのピストン径92.5mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが21件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
ホンダ
6VD1型
93.4mm
[+0.9mm]
5097cc
[+98cc]
ホンダ
6VE1型
93.4mm
[+0.9mm]
5097cc
[+98cc]
トヨタ
5VZ型
93.5mm
[+1.0mm]
5108cc
[+109cc]
レクサス
2GR型
94.0mm
[+1.5mm]
5163cc
[+164cc]
レクサス
2UR型
94.0mm
[+1.5mm]
5163cc
[+164cc]
レクサス
1UR型
94.0mm
[+1.5mm]
5163cc
[+164cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、ホンダ:UER25FW型ホライゾンに搭載される6VD1型3165ccの93.4mm、ホンダ:UBS26GWH型ホライゾンに搭載される6VE1型3494ccの93.4mm、トヨタ:VZN215W型ハイラックスサーフに搭載される5VZ型3378ccの93.5mm、レクサス:GSU30W型マークXに搭載される2GR型3456ccの94.0mm、レクサス:UWG60型センチュリーに搭載される2UR型4968ccの94.0mm、レクサス:USF40型ランドクルーザーに搭載される1UR型4608ccの94.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 5000ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 5000ccクラスのエンジン
ストロークが短い 5000ccクラスのエンジン
ストロークが長い 5000ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [5000ccクラス]
ボアストローク比・降順 [5000ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
3500rpm
最高出力
6500rpm
93.0mm10.8m/s20.1m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.2m/s22km/h
4000rpm12.4m/s45km/h
6000rpm18.6m/s67km/h
8000rpm24.8m/s89km/h
10000rpm31.0m/s112km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが93.0mmのエンジンが最高出力を発生する6500回転での平均ピストンスピードは20.1m/sとなり、これは1秒間に20.1メートル(時速にすると72.4km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する3500回転では10.8m/s、最高出力が発生する6500回転より500回転高い7000回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は21.7m/sとなっています。

参考までにストロークが93.0mmの508PN型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.20m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、6450回転くらいが良い感じの回転数になるのではないかと思いますが、このエンジンは最高出力を発生している時点で既に20.0m/sを超えており、レブリミットを考慮するともう少し余分に(300~500回転?)回ることから、内部では大変なことになりながらも頑張って回っているエンジンです。


508PN型エンジンを搭載する車種の例

全3車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
ジャガー
J438B
2011/11
XK
XK Luxury-Coupe
[CBA-J438B]
385PS
52.5kgm
7.1km/L
4.49kg/PS
自然吸気
FR/6AT
クーペ
4人乗り

XK
[XK Luxury-Coupe]
2011/11モデル
車両型式CBA-J438B
最高出力385PS
最大トルク52.5kgm
JC08モード燃費7.1km/L
10-15モード燃費7.0km/L
パワーウェイト4.49kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/6AT
車体形状&乗車定員クーペ/4人乗り
ジャガー
J05LB
2011/11
XF
5.0 Premium-Luxury
[CBA-J05LB]
385PS
52.5kgm
7.1km/L
4.78kg/PS
自然吸気
FR/6AT
セダン
5人乗り

XF
[5.0 Premium-Luxury]
2011/11モデル
車両型式CBA-J05LB
最高出力385PS
最大トルク52.5kgm
JC08モード燃費7.1km/L
10-15モード燃費7.0km/L
パワーウェイト4.78kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/6AT
車体形状&乗車定員セダン/5人乗り

その他の508PN型エンジン型式と代表的な車種

508PN型
全4車種
ランドローバー:ディスカバリー4 [HSE]
最高出力375PS/最大トルク52.0kgm
2011/12モデル
ランドローバー
508PN型
全4車種
ディスカバリー4
[HSE]
375PS/52.0kgm

ジャガー製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】