ホンダ:L15Z型エンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 1496cc]

ここではホンダのRV4型・ヴェゼル [G|2021/04モデル] に搭載されているL15Z型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

L15Z型の自然吸気エンジン諸元


RV4型 ヴェゼル
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式6BA-RV4型
車名&グレードヴェゼル
G
エンジン型式L15Z
種類直列4気筒
排気量1496cc
内径×行程73.0mm×89.4mm
ボアストローク比1.23
単気筒容積374.2cc
圧縮比10.6
吸気方式自然吸気
使用燃料レギュラーガソリン
最高出力118PS/6600rpm
最大トルク14.5kgm/4300rpm

まず基本的な成り立ちとして、L15Z型エンジンはボア(内径)73.0mm、ストローク(行程)89.4mm、ボアストローク比1.23のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、L15Z型の自然吸気エンジンを搭載する最も古い車種は、2021/04から発売された2代目ヴェゼル [RV4型|2021/04]、最も新しい車種は2020/02から発売された4代目フィットRS [GS4型|2022/11]となっており、NA車は7車種、ターボ/SC車は0車種の全7車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
L15Zのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷87.0PS → 118PS
トルクの変遷14.5kgm → 12.8kgm
リッター馬力78.90PS/L
リッタートルク9.7kgm/L

今回の参考車両であるヴェゼルの直列4気筒1496cc、圧縮比10.6でレギュラーガソリン仕様の自然吸気エンジンは、6600回転のとき最高出力118馬力を、6600回転のとき最大トルク14.5kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する4300回転での馬力は87.0PS、最高出力が発生する6600回転でのトルクは12.8kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は78.90PS/L、トルクは9.7kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積374.2cc)あたりの馬力は29.5PS、トルクは3.6kgmです。

L15Z型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 7 ]、換算トルクが[ 6 ]の「なかなかの高出力エンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
73.089.41496cc10.61.23
ボアアップによる排気量拡大
73.589.41517cc10.71.22
74.01538cc10.81.21
74.51559cc11.01.20
75.01580cc11.11.19
75.51601cc11.31.18
76.01622cc11.41.18
ストロークアップによる排気量拡大
73.090.41513cc10.71.24
91.41530cc10.81.25
92.41547cc10.91.27
93.41564cc11.01.28
94.41580cc11.11.29

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の73.0mmから0.5mm刻みで76.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の89.4mmから1mm刻みで94.4mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。L15Z型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.23から1.18に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

L15Z型エンジンのピストン径73.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが43件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
日産
GA15型
73.6mm
[+0.6mm]
1521cc
[+25cc]
日産
QG15型
73.6mm
[+0.6mm]
1521cc
[+25cc]
ホンダ
D13C型
73.7mm
[+0.7mm]
1525cc
[+29cc]
トヨタ
5E型
74.0mm
[+1.0mm]
1538cc
[+42cc]
トヨタ
4E型
74.0mm
[+1.0mm]
1538cc
[+42cc]
スズキ
G13B型
74.0mm
[+1.0mm]
1538cc
[+42cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、日産:WFGY10型ラシーンに搭載されるGA15型1497ccの73.6mm、日産:FB15型ファミリア ビジネスワゴンに搭載されるQG15型1497ccの73.6mm、ホンダ:GA2型シティに搭載されるD13C型1296ccの73.7mm、トヨタ:EL44型サイノスに搭載される5E型1496ccの74.0mm、トヨタ:EL41型カローラIIに搭載される4E型1331ccの74.0mm、スズキ:AA34S型カルタス GT-iAに搭載されるG13B型1298ccの74.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 1500ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 1500ccクラスのエンジン
ストロークが短い 1500ccクラスのエンジン
ストロークが長い 1500ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [1500ccクラス]
ボアストローク比・降順 [1500ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
4300rpm
最高出力
6600rpm
89.4mm12.8m/s19.7m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.0m/s22km/h
4000rpm11.9m/s43km/h
6000rpm17.9m/s64km/h
8000rpm23.8m/s86km/h
10000rpm29.8m/s107km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが89.4mmのエンジンが最高出力を発生する6600回転での平均ピストンスピードは19.7m/sとなり、これは1秒間に19.7メートル(時速にすると70.9km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する4300回転では12.8m/s、最高出力が発生する6600回転より500回転高い7100回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は21.2m/sとなっています。

参考までにストロークが89.4mmのL15Z型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.95m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6710回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


L15Z型エンジンを搭載する車種の例

全7車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
ホンダ
RV4
2021/04
ヴェゼル
G
[6BA-RV4]
118PS
14.5kgm
15.6km/L
11.271kg/PS
自然吸気
4WD/CVT
SUV
5人乗り
車両型式:6BA-RV4

ヴェゼル
[G]
2021/04モデル
最高出力118PS
最大トルク14.5kgm
WLTCモード燃費15.6km/L
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りSUV
4WD/CVT
ホンダ
RV3
2021/04
ヴェゼル
G
[6BA-RV3]
118PS
14.5kgm
17.0km/L
10.593kg/PS
自然吸気
FF/CVT
SUV
5人乗り
車両型式:6BA-RV3

ヴェゼル
[G]
2021/04モデル
最高出力118PS
最大トルク14.5kgm
WLTCモード燃費17.0km/L
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りSUV
FF/CVT
ホンダ
GS4
2022/11
フィットRS
RS
[5BA-GS4]
118PS
14.5kgm
17.9km/L
9.322kg/PS
自然吸気
FF/CVT
ハッチバック
5人乗り
車両型式:5BA-GS4

フィットRS
[RS]
2022/11モデル
最高出力118PS
最大トルク14.5kgm
WLTCモード燃費17.9km/L
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りハッチバック
FF/CVT
ホンダ
GS7
2022/10
フィット クロスター
CROSSTAR
[5BA-GS7]
118PS
14.5kgm
16.1km/L
10.000kg/PS
自然吸気
4WD/CVT
SUV
5人乗り
車両型式:5BA-GS7

フィット クロスター
[CROSSTAR]
2022/10モデル
最高出力118PS
最大トルク14.5kgm
WLTCモード燃費16.1km/L
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りSUV
4WD/CVT
ホンダ
GS4
2022/10
フィット
Basic
[5BA-GS4]
118PS
14.5kgm
18.7km/L
9.153kg/PS
自然吸気
FF/CVT
ハッチバック
5人乗り
車両型式:5BA-GS4

フィット
[Basic]
2022/10モデル
最高出力118PS
最大トルク14.5kgm
WLTCモード燃費18.7km/L
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りハッチバック
FF/CVT
ホンダ
GS6
2022/10
フィット
Basic
[5BA-GS6]
118PS
14.5kgm
16.6km/L
9.831kg/PS
自然吸気
4WD/CVT
ハッチバック
5人乗り
車両型式:5BA-GS6

フィット
[Basic]
2022/10モデル
最高出力118PS
最大トルク14.5kgm
WLTCモード燃費16.6km/L
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りハッチバック
4WD/CVT
ホンダ
GS5
2022/10
フィット クロスター
CROSSTAR
[5BA-GS5]
118PS
14.5kgm
17.6km/L
9.407kg/PS
自然吸気
FF/CVT
SUV
5人乗り
車両型式:5BA-GS5

フィット クロスター
[CROSSTAR]
2022/10モデル
最高出力118PS
最大トルク14.5kgm
WLTCモード燃費17.6km/L
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りSUV
FF/CVT

ホンダ製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】