ホンダ:JNC型エンジンの諸元と性能まとめ [V6+モーター 3492cc]

ここではホンダのNC1型・NSX [Sport-Hybrid SH-AWD|2016/08モデル] に搭載されているJNC型のツインターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

JNC型のツインターボエンジン諸元


NC1型 NSX
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式CAA-NC1型
車名&グレードNSX
Sport-Hybrid SH-AWD
エンジン型式JNC
種類V6+モーター
排気量3492cc
内径×行程91.0mm×89.5mm
ボアストローク比0.98
単気筒容積582.1cc
圧縮比10.0
吸気方式ツインターボ
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力507PS/6500-7500rpm
最大トルク56.1kgm/2000-6000rpm

まず基本的な成り立ちとして、JNC型エンジンはボア(内径)91.0mm、ストローク(行程)89.5mm、ボアストローク比0.98のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、厳密に言えばボアとストロークが全くの同一でなければスクエア型を名乗ることは許されませんが、ここまでボアストローク比が1に近いのであれば「もうスクエア型にしてあげても良いじゃない!」という気もします。

これらのエンジンはショートストローク型、或いはロングストローク型の風味を残しつつ、その実はスクエア型に限りなく近い特性を持ちます。「やっぱこう、どうせなら低回転で粘って高回転でキレ
(省略されました・・全てを読むには ここ を押してください)

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
JNCのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷156.6PS → 507PS
トルクの変遷56.1kgm → 48.4kgm
リッター馬力145.2PS/L
リッタートルク16.1kgm/L

今回の参考車両であるNSXのV6+モーター3492cc、圧縮比10.0でハイオクガソリン仕様のツインターボエンジンは、6500-7500回転のとき最高出力507馬力を、6500-7500回転のとき最大トルク56.1kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する2000回転での馬力は156.6PS、最高出力が発生する7500回転でのトルクは48.4kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は145.2PS/L、トルクは16.1kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積582.1cc)あたりの馬力は84.5PS、トルクは9.3kgmです。

JNC型ツインターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 10 ]、換算トルクが[ 7 ]の「稀に見る高出力エンジン」にカテゴライズされます。

エンジンオイルの通販革命!高品質×低価格
TAKUMIモーターオイル HIGH QUALITY
【5W-30】


排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
91.089.53492cc10.00.98
ボアアップによる排気量拡大
91.589.53531cc10.10.98
92.03570cc10.20.97
92.53609cc10.30.97
93.03648cc10.40.96
93.53687cc10.50.96
94.03727cc10.60.95
ストロークアップによる排気量拡大
91.090.53532cc10.10.99
91.53571cc10.21.01
92.53610cc10.31.02
93.53649cc10.41.03
94.53688cc10.51.04

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の91.0mmから0.5mm刻みで94.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の89.5mmから1mm刻みで94.5mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.98からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。JNC型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.98から0.95に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

JNC型エンジンのピストン径91.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが7件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
スバル
EJ20型
92.0mm
[+1.0mm]
3570cc
[+78cc]
トヨタ
2L型
92.0mm
[+1.0mm]
3570cc
[+78cc]
ダイハツ
DL型
92.0mm
[+1.0mm]
3570cc
[+78cc]
スバル
EA82型
92.0mm
[+1.0mm]
3570cc
[+78cc]
トヨタ
1GD型
92.0mm
[+1.0mm]
3570cc
[+78cc]
日産
VQ30型
93.0mm
[+2.0mm]
3648cc
[+156cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、スバル:VAB型WRX STIに搭載されるEJ20型1994ccの92.0mm、トヨタ:LX80型ハイラックスサーフに搭載される2L型2446ccの92.0mm、ダイハツ:F78W型ラガーに搭載されるDL型2765ccの92.0mm、スバル:AX4型アルシオーネに搭載されるEA82型1781ccの92.0mm、トヨタ:GDJ150W型ランドクルーザー プラドに搭載される1GD型2754ccの92.0mm、日産:HF50型シーマに搭載されるVQ30型2987ccの93.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 3500ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 3500ccクラスのエンジン
ストロークが短い 3500ccクラスのエンジン
ストロークが長い 3500ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [3500ccクラス]
ボアストローク比・降順 [3500ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
2000rpm
最高出力
7500rpm
89.5mm6.0m/s22.4m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.0m/s22km/h
4000rpm11.9m/s43km/h
6000rpm17.9m/s64km/h
8000rpm23.9m/s86km/h
10000rpm29.8m/s107km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが89.5mmのエンジンが最高出力を発生する7500回転での平均ピストンスピードは22.4m/sとなり、これは1秒間に22.4メートル(時速にすると80.6km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する2000回転では6.0m/s、最高出力が発生する7500回転より500回転高い8000回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は23.9m/sとなっています。

参考までにストロークが89.5mmのJNC型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.95m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、6700回転くらいが良い感じの回転数になるのではないかと思いますが、このエンジンは最高出力を発生している時点で既に20.0m/sを超えており、レブリミットを考慮するともう少し余分に(300~500回転?)回ることから、内部では大変なことになりながらも頑張って回っているエンジンです。


JNC型エンジンを搭載する車種の例

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
ホンダ
NC1
2016/08
NSX
Sport-Hybrid SH-AWD
[CAA-NC1]
507PS
56.1kgm
12.4km/L
3.51kg/PS
ターボ
4WD/9AT
クーペ
2人乗り

NSX
[Sport-Hybrid SH-AWD]
2016/08モデル
車両型式CAA-NC1
最高出力507PS
最大トルク56.1kgm
JC08モード燃費12.4km/L
パワーウェイト3.51kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機4WD/9AT
車体形状&乗車定員クーペ/2人乗り

ホンダ製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】