ホンダ:J35A型エンジンの諸元と性能まとめ [V型6気筒 3471cc]

ここではホンダのRR5型・エリシオンプレステージ [SG|2010/11モデル] に搭載されているJ35A型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

J35A型の自然吸気エンジン諸元


RR5型 エリシオンプレステージ
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式DBA-RR5型
車名&グレードエリシオンプレステージ
SG
エンジン型式J35A
種類V型6気筒
排気量3471cc
内径×行程89.0mm×93.0mm
ボアストローク比1.04
単気筒容積578.5cc
圧縮比11.0
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力300PS/6200rpm
最大トルク36.0kgm/5000rpm

まず基本的な成り立ちとして、J35A型エンジンはボア(内径)89.0mm、ストローク(行程)93.0mm、ボアストローク比1.04のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、J35A型の自然吸気エンジンを搭載する最も古い車種は、1999/06から発売された初代ラグレイト [RL1型|2000/04]、最も新しい車種は2007/12から発売された5代目インスパイア [CP3型|2011/06]となっており、NA車は7車種、ターボ/SC車は0車種の全7車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
J35Aのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷251.3PS → 300PS
トルクの変遷36.0kgm → 34.7kgm
リッター馬力86.4PS/L
リッタートルク10.4kgm/L

今回の参考車両であるエリシオンプレステージのV型6気筒3471cc、圧縮比11.0でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、6200回転のとき最高出力300馬力を、6200回転のとき最大トルク36.0kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する5000回転での馬力は251.3PS、最高出力が発生する6200回転でのトルクは34.7kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は86.4PS/L、トルクは10.4kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積578.5cc)あたりの馬力は50.0PS、トルクは6.0kgmです。

J35A型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 8 ]、換算トルクが[ 8 ]の「結構な高出力エンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、J35A型のターボ・SCエンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのはRR5型エリシオンプレステージの300PS/36.0kgm、最も小さかったのはRL1型ラグレイトの205PS/30.2kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
89.093.03471cc11.01.04
ボアアップによる排気量拡大
89.593.03510cc11.11.04
90.03550cc11.21.03
90.53589cc11.31.03
91.03629cc11.41.02
91.53669cc11.61.02
92.03709cc11.71.01
ストロークアップによる排気量拡大
89.094.03509cc11.11.06
95.03546cc11.21.07
96.03583cc11.31.08
97.03621cc11.41.09
98.03658cc11.51.10

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の89.0mmから0.5mm刻みで92.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の93.0mmから1mm刻みで98.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。J35A型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.04から1.01に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

J35A型エンジンのピストン径89.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが21件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
レクサス
2AR型
90.0mm
[+1.0mm]
3550cc
[+79cc]
マツダ
JE型
90.0mm
[+1.0mm]
3550cc
[+79cc]
ホンダ
C30A型
90.0mm
[+1.0mm]
3550cc
[+79cc]
ホンダ
C32A型
90.0mm
[+1.0mm]
3550cc
[+79cc]
ホンダ
J37A型
90.0mm
[+1.0mm]
3550cc
[+79cc]
トヨタ
T2型
90.0mm
[+1.0mm]
3550cc
[+79cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、レクサス:AGH30W型クラウン ハイブリッドに搭載される2AR型2493ccの90.0mm、マツダ:HEEA型ルーチェに搭載されるJE型2954ccの90.0mm、ホンダ:NA1型NSXに搭載されるC30A型2977ccの90.0mm、ホンダ:KA8型レジェンド クーペに搭載されるC32A型3206ccの90.0mm、ホンダ:KB2型レジェンドに搭載されるJ37A型3664ccの90.0mm、トヨタ:TJG00型キャバリエに搭載されるT2型2392ccの90.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 3500ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 3500ccクラスのエンジン
ストロークが短い 3500ccクラスのエンジン
ストロークが長い 3500ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [3500ccクラス]
ボアストローク比・降順 [3500ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
5000rpm
最高出力
6200rpm
93.0mm15.5m/s19.2m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.2m/s22km/h
4000rpm12.4m/s45km/h
6000rpm18.6m/s67km/h
8000rpm24.8m/s89km/h
10000rpm31.0m/s112km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが93.0mmのエンジンが最高出力を発生する6200回転での平均ピストンスピードは19.2m/sとなり、これは1秒間に19.2メートル(時速にすると69.1km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する5000回転では15.5m/s、最高出力が発生する6200回転より500回転高い6700回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は20.8m/sとなっています。

参考までにストロークが93.0mmのJ35A型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.20m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6450回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


J35A型エンジンを搭載する車種の例

全7車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
ホンダ
RR5
2010/11
エリシオンプレステージ
SG
[DBA-RR5]
300PS
36.0kgm
8.2km/L
6.53kg/PS
自然吸気
FF/5AT
ミニバン
7人乗り

エリシオンプレステージ
[SG]
2010/11モデル
車両型式DBA-RR5
最高出力300PS
最大トルク36.0kgm
JC08モード燃費8.2km/L
10-15モード燃費8.5km/L
パワーウェイト6.53kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FF/5AT
車体形状&乗車定員ミニバン/7人乗り
ホンダ
KB1
2006/10
レジェンド
Legend
[DBA-KB1]
300PS
36.0kgm
8.6km/L
5.87kg/PS
自然吸気
4WD/5AT
セダン
5人乗り

レジェンド
[Legend]
2006/10モデル
車両型式DBA-KB1
最高出力300PS
最大トルク36.0kgm
JC08モード燃費8.2km/L
10-15モード燃費8.6km/L
パワーウェイト5.87kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機4WD/5AT
車体形状&乗車定員セダン/5人乗り
ホンダ
CP3
2011/06
インスパイア
BaseGrade
[DBA-CP3]
280PS
34.9kgm
9.6km/L
5.71kg/PS
自然吸気
FF/5AT
セダン
5人乗り

インスパイア
[BaseGrade]
2011/06モデル
車両型式DBA-CP3
最高出力280PS
最大トルク34.9kgm
JC08モード燃費9.6km/L
10-15モード燃費9.9km/L
パワーウェイト5.71kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FF/5AT
車体形状&乗車定員セダン/5人乗り
ホンダ
RR6
2010/11
エリシオンプレステージ
SG
[DBA-RR6]
279PS
35.0kgm
7.8km/L
7.31kg/PS
自然吸気
4WD/5AT
ミニバン
7人乗り

エリシオンプレステージ
[SG]
2010/11モデル
車両型式DBA-RR6
最高出力279PS
最大トルク35.0kgm
JC08モード燃費7.8km/L
10-15モード燃費8.0km/L
パワーウェイト7.31kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機4WD/5AT
車体形状&乗車定員ミニバン/7人乗り
ホンダ
YD1
2005/02
MDX
Exclusive
[CBA-YD1]
265PS
35.5kgm
7.8km/L
7.74kg/PS
自然吸気
4WD/5AT
SUV
7人乗り

MDX
[Exclusive]
2005/02モデル
車両型式CBA-YD1
最高出力265PS
最大トルク35.5kgm
JC08モード燃費7.8km/L
10-15モード燃費7.8km/L
パワーウェイト7.74kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機4WD/5AT
車体形状&乗車定員SUV/7人乗り
ホンダ
RL1
2003/04
ラグレイト
Lagreat
[LA-RL1]
240PS
33.0kgm
8.2km/L
8.21kg/PS
自然吸気
FF/5AT
ミニバン
7人乗り

ラグレイト
[Lagreat]
2003/04モデル
車両型式LA-RL1
最高出力240PS
最大トルク33.0kgm
JC08モード燃費7.8km/L
10-15モード燃費8.2km/L
パワーウェイト8.21kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FF/5AT
車体形状&乗車定員ミニバン/7人乗り
ホンダ
RL1
2000/04
ラグレイト
Lagreat
[LA-RL1]
205PS
30.2kgm
8.0km/L
9.51kg/PS
自然吸気
FF/4AT
ミニバン
7人乗り

ラグレイト
[Lagreat]
2000/04モデル
車両型式LA-RL1
最高出力205PS
最大トルク30.2kgm
JC08モード燃費7.8km/L
10-15モード燃費8.0km/L
パワーウェイト9.51kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FF/4AT
車体形状&乗車定員ミニバン/7人乗り

ホンダ製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】