ホンダ:E07A型エンジンの諸元と性能まとめ [直列3気筒 656cc]

ここではホンダのPP1型・ビート [Version-Z|1993/09モデル] に搭載されているE07A型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

E07A型の自然吸気エンジン諸元


PP1型 ビート
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式E-PP1型
車名&グレードビート
Version-Z
エンジン型式E07A
種類直列3気筒
排気量656cc
内径×行程66.0mm×64.0mm
ボアストローク比0.97
単気筒容積218.9cc
圧縮比10.0
吸気方式自然吸気
使用燃料レギュラーガソリン
最高出力64PS/8100rpm
最大トルク6.1kgm/7000rpm

まず基本的な成り立ちとして、E07A型エンジンはボア(内径)66.0mm、ストローク(行程)64.0mm、ボアストローク比0.97のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、E07A型の自然吸気エンジンを搭載する最も古い車種は、1985/09から発売された初代トゥデイ [JA2型|1991/09]、最も新しい車種は1997/04から発売された2代目ライフ [JA4型|1997/04]となっており、NA車は13車種、ターボ/SC車は0車種の全13車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
E07Aのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷59.6PS → 64PS
トルクの変遷6.1kgm → 5.7kgm
リッター馬力97.6PS/L
リッタートルク9.3kgm/L

今回の参考車両であるビートの直列3気筒656cc、圧縮比10.0でレギュラーガソリン仕様の自然吸気エンジンは、8100回転のとき最高出力64馬力を、8100回転のとき最大トルク6.1kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する7000回転での馬力は59.6PS、最高出力が発生する8100回転でのトルクは5.7kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は97.6PS/L、トルクは9.3kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積218.9cc)あたりの馬力は21.3PS、トルクは2.0kgmです。

E07A型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 10 ]、換算トルクが[ 5 ]の「稀に見る高出力エンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、E07A型のターボ・SCエンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのはPP1型ビートの64PS/6.1kgm、最も小さかったのはJA4型トゥデイの48PS/5.8kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
66.064.0656cc10.00.97
ボアアップによる排気量拡大
66.564.0667cc10.10.96
67.0677cc10.30.96
67.5687cc10.40.95
68.0697cc10.50.94
68.5708cc10.70.93
69.0718cc10.80.93
ストロークアップによる排気量拡大
66.065.0667cc10.10.98
66.0677cc10.31.00
67.0688cc10.41.02
68.0698cc10.61.03
69.0708cc10.71.05

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の66.0mmから0.5mm刻みで69.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の64.0mmから1mm刻みで69.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.97からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。E07A型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.97から0.93に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

E07A型エンジンのピストン径66.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが5件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
日産
K6A型
68.0mm
[+2.0mm]
697cc
[+41cc]
ダイハツ
EF型
68.0mm
[+2.0mm]
697cc
[+41cc]
スズキ
K10A型
68.0mm
[+2.0mm]
697cc
[+41cc]
日産
MA10型
68.0mm
[+2.0mm]
697cc
[+41cc]
トヨタ
1SZ型
69.0mm
[+3.0mm]
718cc
[+62cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、日産:HB21S型モコに搭載されるK6A型658ccの68.0mm、ダイハツ:L700S型ムーヴに搭載されるEF型659ccの68.0mm、スズキ:MA63S型ワゴンRプラスに搭載されるK10A型996ccの68.0mm、日産:PK10型パオに搭載されるMA10型987ccの68.0mm、トヨタ:SCP10型ヴィッツに搭載される1SZ型997ccの69.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 軽自動車のエンジン
ピストン径が大きい 軽自動車のエンジン
ストロークが短い 軽自動車のエンジン
ストロークが長い 軽自動車のエンジン
ボアストローク比・昇順 [軽自動車]
ボアストローク比・降順 [軽自動車]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
7000rpm
最高出力
8100rpm
64.0mm14.9m/s17.3m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm4.3m/s15km/h
4000rpm8.5m/s31km/h
6000rpm12.8m/s46km/h
8000rpm17.1m/s62km/h
10000rpm21.3m/s77km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが64.0mmのエンジンが最高出力を発生する8100回転での平均ピストンスピードは17.3m/sとなり、これは1秒間に17.3メートル(時速にすると62.3km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する7000回転では14.9m/s、最高出力が発生する8100回転より500回転高い8600回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は18.3m/sとなっています。

参考までにストロークが64.0mmのE07A型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね4.25m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)9380回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


E07A型エンジンを搭載する車種の例

全13車種のうち、最高出力が大きいものから順に上位3車種を表示しています。その他の車種については、ページ下部にあるリンクよりE07A型エンジン搭載車種の一覧をご覧ください。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
ホンダ
PP1
1993/09
ビート
Version-Z
[E-PP1]
64PS
6.1kgm
17.2km/L
11.88kg/PS
自然吸気
MR/5MT
軽オープンカー
2人乗り

ビート
[Version-Z]
1993/09モデル
車両型式E-PP1
最高出力64PS
最大トルク6.1kgm
10-15モード燃費17.2km/L
パワーウェイト11.88kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機MR/5MT
車体形状&乗車定員軽オープンカー/2人乗り
ホンダ
JA4
1996/02
トゥデイ
Rs 3door
[E-JA4]
58PS
6.1kgm
20.0km/L
11.72kg/PS
自然吸気
FF/5MT
軽ハッチバック
4人乗り

トゥデイ
[Rs 3door]
1996/02モデル
車両型式E-JA4
最高出力58PS
最大トルク6.1kgm
10-15モード燃費20.0km/L
パワーウェイト11.72kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FF/5MT
車体形状&乗車定員軽ハッチバック/4人乗り
ホンダ
JA4
1996/02
トゥデイ
Rs 3door
[E-JA4]
58PS
6.1kgm
16.8km/L
11.90kg/PS
自然吸気
FF/3AT
軽ハッチバック
4人乗り

トゥデイ
[Rs 3door]
1996/02モデル
車両型式E-JA4
最高出力58PS
最大トルク6.1kgm
10-15モード燃費16.8km/L
パワーウェイト11.90kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FF/3AT
車体形状&乗車定員軽ハッチバック/4人乗り
E07A型エンジン搭載車種の一覧
パワーウェイトレシオ順|全13車種

ホンダ製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】