ホンダ:C30A型エンジンの諸元と性能まとめ [V型6気筒 2977cc]

ここではホンダのNA1型・NSX [type-R|1992/11モデル] に搭載されているC30A型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

C30A型の自然吸気エンジン諸元


NA1型 NSX
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式E-NA1型
車名&グレードNSX
type-R
エンジン型式C30A
種類V型6気筒
排気量2977cc
内径×行程90.0mm×78.0mm
ボアストローク比0.87
単気筒容積496.2cc
圧縮比10.2
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力280PS/7300rpm
最大トルク30.0kgm/5400rpm

まず基本的な成り立ちとして、C30A型エンジンはボア(内径)90.0mm、ストローク(行程)78.0mm、ボアストローク比0.87のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、C30A型の自然吸気エンジンを搭載する最も古い車種は、1990/09から発売された初代NSX [NA1型|1992/11]、最も新しい車種は1990/09から発売された初代NSX [NA1型|2004/04]となっており、NA車は7車種、ターボ/SC車は0車種の全7車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
C30Aのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷226.2PS → 280PS
トルクの変遷30.0kgm → 27.5kgm
リッター馬力94.1PS/L
リッタートルク10.1kgm/L

今回の参考車両であるNSXのV型6気筒2977cc、圧縮比10.2でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、7300回転のとき最高出力280馬力を、7300回転のとき最大トルク30.0kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する5400回転での馬力は226.2PS、最高出力が発生する7300回転でのトルクは27.5kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は94.1PS/L、トルクは10.1kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積496.2cc)あたりの馬力は46.7PS、トルクは5.0kgmです。

C30A型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 9 ]、換算トルクが[ 7 ]の「かなりの高出力エンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、C30A型のターボ・SCエンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのはNA1型NSXの280PS/30.0kgm、最も小さかったのはNA1型NSXの265PS/30.0kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
90.078.02977cc10.20.87
ボアアップによる排気量拡大
90.578.03010cc10.30.86
91.03044cc10.40.86
91.53077cc10.50.85
92.03111cc10.60.85
92.53145cc10.70.84
93.03179cc10.80.84
ストロークアップによる排気量拡大
90.079.03015cc10.30.88
80.03054cc10.40.89
81.03092cc10.60.90
82.03130cc10.70.91
83.03168cc10.80.92

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の90.0mmから0.5mm刻みで93.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の78.0mmから1mm刻みで83.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.87からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。C30A型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.87から0.84に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

C30A型エンジンのピストン径90.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが19件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
レクサス
3UZ型
91.0mm
[+1.0mm]
3044cc
[+67cc]
三菱
6G72型
91.1mm
[+1.1mm]
3050cc
[+73cc]
日産
VG33型
91.5mm
[+1.5mm]
3077cc
[+100cc]
スバル
EJ20型
92.0mm
[+2.0mm]
3111cc
[+134cc]
トヨタ
2L型
92.0mm
[+2.0mm]
3111cc
[+134cc]
スズキ
J24B型
92.0mm
[+2.0mm]
3111cc
[+134cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、レクサス:UZZ40型ソアラに搭載される3UZ型4292ccの91.0mm、三菱:Z16A型GTOに搭載される6G72型2972ccの91.1mm、日産:ALWE50型キャラバンエルグランドに搭載されるVG33型3274ccの91.5mm、スバル:BL5型レガシィB4に搭載されるEJ20型1994ccの92.0mm、トヨタ:LH100G型ハイエースワゴンに搭載される2L型2446ccの92.0mm、スズキ:RF91S型キザシに搭載されるJ24B型2393ccの92.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 3000ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 3000ccクラスのエンジン
ストロークが短い 3000ccクラスのエンジン
ストロークが長い 3000ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [3000ccクラス]
ボアストローク比・降順 [3000ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
5400rpm
最高出力
7300rpm
78.0mm14.0m/s19.0m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.2m/s19km/h
4000rpm10.4m/s37km/h
6000rpm15.6m/s56km/h
8000rpm20.8m/s75km/h
10000rpm26.0m/s94km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが78.0mmのエンジンが最高出力を発生する7300回転での平均ピストンスピードは19.0m/sとなり、これは1秒間に19.0メートル(時速にすると68.4km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する5400回転では14.0m/s、最高出力が発生する7300回転より500回転高い7800回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は20.3m/sとなっています。

参考までにストロークが78.0mmのC30A型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.20m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)7690回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


C30A型エンジンを搭載する車種の例

全7車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
ホンダ
NA1
1992/11
NSX
type-R
[E-NA1]
280PS
30.0kgm
9.2km/L
4.39kg/PS
自然吸気
MR/5MT
クーペ
2人乗り

NSX
[type-R]
1992/11モデル
車両型式E-NA1
最高出力280PS
最大トルク30.0kgm
10-15モード燃費9.2km/L
パワーウェイト4.39kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機MR/5MT
車体形状&乗車定員クーペ/2人乗り
ホンダ
NA1
1995/03
NSX
NSX
[E-NA1]
280PS
30.0kgm
9.0km/L
4.82kg/PS
自然吸気
MR/5MT
クーペ
2人乗り

NSX
[NSX]
1995/03モデル
車両型式E-NA1
最高出力280PS
最大トルク30.0kgm
10-15モード燃費9.0km/L
パワーウェイト4.82kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機MR/5MT
車体形状&乗車定員クーペ/2人乗り
ホンダ
NA1
1995/03
NSX
type-T
[E-NA1]
280PS
30.0kgm
9.0km/L
5.00kg/PS
自然吸気
MR/5MT
オープンカー
2人乗り

NSX
[type-T]
1995/03モデル
車両型式E-NA1
最高出力280PS
最大トルク30.0kgm
10-15モード燃費9.0km/L
パワーウェイト5.00kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機MR/5MT
車体形状&乗車定員オープンカー/2人乗り
ホンダ
NA1
2004/04
NSX
NSX
[ABA-NA1]
265PS
30.0kgm
8.4km/L
5.25kg/PS
自然吸気
MR/4AT
クーペ
2人乗り

NSX
[NSX]
2004/04モデル
車両型式ABA-NA1
最高出力265PS
最大トルク30.0kgm
10-15モード燃費8.4km/L
パワーウェイト5.25kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機MR/4AT
車体形状&乗車定員クーペ/2人乗り
ホンダ
NA1
2004/04
NSX
type-T
[ABA-NA1]
265PS
30.0kgm
8.4km/L
5.40kg/PS
自然吸気
MR/4AT
オープンカー
2人乗り

NSX
[type-T]
2004/04モデル
車両型式ABA-NA1
最高出力265PS
最大トルク30.0kgm
10-15モード燃費8.4km/L
パワーウェイト5.40kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機MR/4AT
車体形状&乗車定員オープンカー/2人乗り
ホンダ
NA1
1999/09
NSX
NSX
[GH-NA1]
265PS
30.0kgm
8.4km/L
5.28kg/PS
自然吸気
MR/4AT
クーペ
2人乗り

NSX
[NSX]
1999/09モデル
車両型式GH-NA1
最高出力265PS
最大トルク30.0kgm
10-15モード燃費8.4km/L
パワーウェイト5.28kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機MR/4AT
車体形状&乗車定員クーペ/2人乗り
ホンダ
NA1
1999/09
NSX
type-T
[GH-NA1]
265PS
30.0kgm
8.4km/L
5.43kg/PS
自然吸気
MR/4AT
オープンカー
2人乗り

NSX
[type-T]
1999/09モデル
車両型式GH-NA1
最高出力265PS
最大トルク30.0kgm
10-15モード燃費8.4km/L
パワーウェイト5.43kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機MR/4AT
車体形状&乗車定員オープンカー/2人乗り

ホンダ製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】