フォード：YF型エンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 1988cc]

ここではフォードのEPEWF型・エスケープ [XLT｜2002/01モデル] に搭載されているYF型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

YF型の自然吸気エンジン諸元

EPEWF型 エスケープ 主要諸元と走行性能まとめ
車両型式	TA-EPEWF型
車名＆グレード	エスケープ XLT
エンジン型式	YF
種類	直列4気筒
排気量	1988cc
内径×行程	84.8mm×88.0mm
ボアストローク比	1.04
単気筒容積	497.0cc
圧縮比	9.5
吸気方式	自然吸気
使用燃料	レギュラーガソリン
最高出力	129PS/5400rpm
最大トルク	18.7kgm/4500rpm

まず基本的な成り立ちとして、YF型エンジンはボア(内径)84.8mm、ストローク(行程)88.0mm、ボアストローク比1.04のロングストローク型エンジン（ピストン径よりもストローク量のほうが大きい）です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
馬力の変遷	117.5PS → 129PS
トルクの変遷	18.7kgm → 17.1kgm
リッター馬力	64.9PS/L
リッタートルク	9.4kgm/L

今回の参考車両であるエスケープの直列4気筒1988cc、圧縮比9.5でレギュラーガソリン仕様の自然吸気エンジンは、5400回転のとき最高出力129馬力を、5400回転のとき最大トルク18.7kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する4500回転での馬力は117.5PS、最高出力が発生する5400回転でのトルクは17.1kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は64.9PS/L、トルクは9.4kgm/Lとなり、1気筒（単気筒容積497.0cc）あたりの馬力は32.2PS、トルクは4.7kgmです。

YF型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 4 ]、換算トルクが[ 5 ]の「やや控えめな出力のエンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の84.8mmから0.5mm刻みで87.8mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の88.0mmから1mm刻みで93.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。YF型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.04から1.00に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

YF型エンジンのピストン径84.8mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが52件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

ピストン径が近いエンジンとしては、日産：HP12型プリメーラに搭載されるSR20型1998ccの86.0mm、トヨタ：SXE10型ナディアに搭載される3S型1998ccの86.0mm、トヨタ：JZS171型クラウンに搭載される1JZ型2491ccの86.0mm、日産：ER34型スカイライン セダンに搭載されるRB25型2498ccの86.0mm、トヨタ：AZR60G型ヴォクシーに搭載される1AZ型1998ccの86.0mm、トヨタ：JZS177型クラウン マジェスタに搭載される2JZ型2997ccの86.0mmなどが該当します。

（もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが）いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

●ピストン径が小さい 2000ccクラスのエンジン
●ピストン径が大きい 2000ccクラスのエンジン
●ストロークが短い 2000ccクラスのエンジン
●ストロークが長い 2000ccクラスのエンジン
●ボアストローク比・昇順 [2000ccクラス]
●ボアストローク比・降順 [2000ccクラス]

平均ピストンスピード

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが88.0mmのエンジンが最高出力を発生する5400回転での平均ピストンスピードは15.8m/sとなり、これは1秒間に15.8メートル（時速にすると56.9km/h）の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する4500回転では13.2m/s、最高出力が発生する5400回転より500回転高い5900回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は17.3m/sとなっています。

参考までにストロークが88.0mmのYF型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.85m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を（回るか回らないかは別として）6820回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。

YF型エンジンを搭載する車種の例

メーカー 車両型式	画像	車名＆グレード	出力/燃費 パワーウェイト	排気量 変速機
フォード EPEWF		2002/01 エスケープ XLT [TA-EPEWF]	129PS 18.7kgm 9.2km/L 11.40kg/PS	自然吸気 4WD/4AT SUV 5人乗り
エスケープ [XLT] 2002/01モデル 車両型式 TA-EPEWF 最高出力 129PS 最大トルク 18.7kgm 10-15モード燃費 9.2km/L パワーウェイト 11.40kg/PS 吸気方式 自然吸気 駆動方式＆変速機 4WD/4AT 車体形状＆乗車定員 SUV/5人乗り

その他のYF型エンジン型式と代表的な車種

YF型 全2車種		マツダ：トリビュート [Field-Break] 最高出力129PS/最大トルク18.7kgm 2002/06モデル
マツダ YF型 全2車種		トリビュート [Field-Break] 129PS/18.7kgm

フォード製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】