フォード:M9M型エンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 1497cc]

ここではフォードのWF0M9M型・クーガ [Trend 1.5L-EcoBoost|2015/09モデル] に搭載されているM9M型のターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

M9M型のターボエンジン諸元


WF0M9M型 クーガ
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式ABA-WF0M9M型
車名&グレードクーガ
Trend 1.5L-EcoBoost
エンジン型式M9M
種類直列4気筒
排気量1497cc
内径×行程79.0mm×76.4mm
ボアストローク比0.97
単気筒容積374.5cc
吸気方式ターボ
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力182PS/6000rpm
最大トルク24.5kgm/1600-5000rpm

まず基本的な成り立ちとして、M9M型エンジンはボア(内径)79.0mm、ストローク(行程)76.4mm、ボアストローク比0.97のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
M9Mのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷54.7PS → 182PS
トルクの変遷24.5kgm → 21.7kgm
リッター馬力121.6PS/L
リッタートルク16.4kgm/L

今回の参考車両であるクーガの直列4気筒1497ccでハイオクガソリン仕様のターボエンジンは、6000回転のとき最高出力182馬力を、6000回転のとき最大トルク24.5kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する1600回転での馬力は54.7PS、最高出力が発生する6000回転でのトルクは21.7kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は121.6PS/L、トルクは16.4kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積374.5cc)あたりの馬力は45.5PS、トルクは6.1kgmです。

M9M型ターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 8 ]、換算トルクが[ 7 ]の「結構な高出力エンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
79.076.41497cc-0.97
ボアアップによる排気量拡大
79.576.41517cc-0.96
80.01536cc-0.96
80.51555cc-0.95
81.01575cc-0.94
81.51594cc-0.94
82.01614cc-0.93
ストロークアップによる排気量拡大
79.077.41518cc-0.98
78.41537cc-0.99
79.41557cc-1.01
80.41576cc-1.02
81.41596cc-1.03

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の79.0mmから0.5mm刻みで82.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の76.4mmから1mm刻みで81.4mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.97からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。M9M型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.97から0.93に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

M9M型エンジンのピストン径79.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが11件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
日産
MR16型
79.7mm
[+0.7mm]
1525cc
[+28cc]
いすゞ
4XE1型
80.0mm
[+1.0mm]
1536cc
[+39cc]
マツダ
KJ型
80.3mm
[+1.3mm]
1548cc
[+51cc]
トヨタ
2ZR型
80.5mm
[+1.5mm]
1555cc
[+58cc]
三菱
4D65型
80.6mm
[+1.6mm]
1559cc
[+62cc]
トヨタ
4A型
81.0mm
[+2.0mm]
1575cc
[+78cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、日産:NF15型ジュークに搭載されるMR16型1618ccの79.7mm、いすゞ:JT191F型ジェミニに搭載される4XE1型1588ccの80.0mm、マツダ:TA3A型ミレーニアに搭載されるKJ型2254ccの80.3mm、トヨタ:ZSP110型イストに搭載される2ZR型1797ccの80.5mm、三菱:E34A型エテルナサヴァに搭載される4D65型1795ccの80.6mm、トヨタ:AE101型スプリンター トレノに搭載される4A型1587ccの81.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 1500ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 1500ccクラスのエンジン
ストロークが短い 1500ccクラスのエンジン
ストロークが長い 1500ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [1500ccクラス]
ボアストローク比・降順 [1500ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
1600rpm
最高出力
6000rpm
76.4mm4.1m/s15.3m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.1m/s18km/h
4000rpm10.2m/s37km/h
6000rpm15.3m/s55km/h
8000rpm20.4m/s73km/h
10000rpm25.5m/s92km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが76.4mmのエンジンが最高出力を発生する6000回転での平均ピストンスピードは15.3m/sとなり、これは1秒間に15.3メートル(時速にすると55.1km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する1600回転では4.1m/s、最高出力が発生する6000回転より500回転高い6500回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は16.6m/sとなっています。

参考までにストロークが76.4mmのM9M型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.10m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)7850回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


M9M型エンジンを搭載する車種の例

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
フォード
WF0M9M
2015/09
クーガ
Trend 1.5L-EcoBoost
[ABA-WF0M9M]
182PS
24.5kgm
12.7km/L
9.01kg/PS
ターボ
4WD/6AT
SUV
5人乗り

クーガ
[Trend 1.5L-EcoBoost]
2015/09モデル
車両型式ABA-WF0M9M
最高出力182PS
最大トルク24.5kgm
JC08モード燃費12.7km/L
パワーウェイト9.01kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機4WD/6AT
車体形状&乗車定員SUV/5人乗り

フォード製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】