フェラーリ:F133型エンジンの諸元と性能まとめ [V型12気筒 5473cc]

ここではフェラーリのF550型・550 [Maranello|1999/03モデル] に搭載されているF133型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

F133型の自然吸気エンジン諸元


F550型 550
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式E-F550型
車名&グレード550
Maranello
エンジン型式F133
種類V型12気筒
排気量5473cc
内径×行程88.0mm×75.0mm
ボアストローク比0.85
単気筒容積456.1cc
圧縮比10.8
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力485PS/7000rpm
最大トルク57.0kgm/5000rpm

まず基本的な成り立ちとして、F133型エンジンはボア(内径)88.0mm、ストローク(行程)75.0mm、ボアストローク比0.85のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
F133のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷397.9PS → 485PS
トルクの変遷57.0kgm → 49.6kgm
リッター馬力88.6PS/L
リッタートルク10.4kgm/L

今回の参考車両である550のV型12気筒5473cc、圧縮比10.8でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、7000回転のとき最高出力485馬力を、7000回転のとき最大トルク57.0kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する5000回転での馬力は397.9PS、最高出力が発生する7000回転でのトルクは49.6kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は88.6PS/L、トルクは10.4kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積456.1cc)あたりの馬力は40.4PS、トルクは4.8kgmです。

F133型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 8 ]、換算トルクが[ 8 ]の「結構な高出力エンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
88.075.05473cc10.80.85
ボアアップによる排気量拡大
88.575.05536cc10.90.85
89.05599cc11.00.84
89.55662cc11.20.84
90.05725cc11.30.83
90.55789cc11.40.83
91.05853cc11.50.82
ストロークアップによる排気量拡大
88.076.05547cc10.90.86
77.05620cc11.10.88
78.05693cc11.20.89
79.05766cc11.30.90
80.05839cc11.50.91

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の88.0mmから0.5mm刻みで91.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の75.0mmから1mm刻みで80.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.85からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。F133型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.85から0.82に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

F133型エンジンのピストン径88.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが20件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
日産
QR25型
89.0mm
[+1.0mm]
5599cc
[+126cc]
マツダ
PY型
89.0mm
[+1.0mm]
5599cc
[+126cc]
日産
QR20型
89.0mm
[+1.0mm]
5599cc
[+126cc]
日産
KA24型
89.0mm
[+1.0mm]
5599cc
[+126cc]
マツダ
L5型
89.0mm
[+1.0mm]
5599cc
[+126cc]
ホンダ
J35A型
89.0mm
[+1.0mm]
5599cc
[+126cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、日産:WRP12型プリメーラ ワゴンに搭載されるQR25型2488ccの89.0mm、マツダ:KF5P型アテンザ ワゴンに搭載されるPY型2488ccの89.0mm、日産:TG10型ブルーバード シルフィに搭載されるQR20型1998ccの89.0mm、日産:JQGE25型ルネッサに搭載されるKA24型2388ccの89.0mm、マツダ:GH5FW型アテンザ スポーツワゴンに搭載されるL5型2488ccの89.0mm、ホンダ:RR5型エリシオンプレステージに搭載されるJ35A型3471ccの89.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい クラスのエンジン
ピストン径が大きい クラスのエンジン
ストロークが短い クラスのエンジン
ストロークが長い クラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [クラス]
ボアストローク比・降順 [クラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
5000rpm
最高出力
7000rpm
75.0mm12.5m/s17.5m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.0m/s18km/h
4000rpm10.0m/s36km/h
6000rpm15.0m/s54km/h
8000rpm20.0m/s72km/h
10000rpm25.0m/s90km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが75.0mmのエンジンが最高出力を発生する7000回転での平均ピストンスピードは17.5m/sとなり、これは1秒間に17.5メートル(時速にすると63.0km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する5000回転では12.5m/s、最高出力が発生する7000回転より500回転高い7500回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は18.8m/sとなっています。

参考までにストロークが75.0mmのF133型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.00m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)8000回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


F133型エンジンを搭載する車種の例

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
フェラーリ
F550
1999/03
550
Maranello
[E-F550]
485PS
57.0kgm
-
3.59kg/PS
自然吸気
FR/6MT
クーペ
2人乗り

550
[Maranello]
1999/03モデル
車両型式E-F550
最高出力485PS
最大トルク57.0kgm
パワーウェイト3.59kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/6MT
車体形状&乗車定員クーペ/2人乗り