ダイハツ:CB型NAエンジンの諸元と性能まとめ [直列3気筒 993cc]

ここではダイハツのG100S型・シャレード [L.A.Gear1.0|1991/11モデル] に搭載されているCB型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

CB型の自然吸気エンジン諸元


G100S型 シャレード
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式E-G100S型
車名&グレードシャレード
L.A.Gear1.0
エンジン型式CB
種類直列3気筒
排気量993cc
内径×行程76.0mm×73.0mm
ボアストローク比0.96
単気筒容積331.2cc
圧縮比9.5
吸気方式自然吸気
使用燃料レギュラーガソリン
最高出力55PS/5600rpm
最大トルク8.0kgm/3600rpm

まず基本的な成り立ちとして、CB型エンジンはボア(内径)76.0mm、ストローク(行程)73.0mm、ボアストローク比0.96のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、CB型の自然吸気エンジンを搭載する最も古い車種は、1987/01から発売された3代目シャレード [G100S型|1991/01]、最も新しい車種は1987/01から発売された3代目シャレード [G100S型|1991/11]となっており、3車種のNA車が登録されています。

関連ページ
ダイハツ:CB型 ターボ/SCエンジン 諸元と性能まとめ

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
CBのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷40.2PS → 55PS
トルクの変遷8.0kgm → 7.0kgm
リッター馬力55.39PS/L
リッタートルク8.1kgm/L

今回の参考車両であるシャレードの直列3気筒993cc、圧縮比9.5でレギュラーガソリン仕様の自然吸気エンジンは、5600回転のとき最高出力55馬力を、5600回転のとき最大トルク8.0kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する3600回転での馬力は40.2PS、最高出力が発生する5600回転でのトルクは7.0kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は55.39PS/L、トルクは8.1kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積331.2cc)あたりの馬力は18.3PS、トルクは2.7kgmです。

CB型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 3 ]、換算トルクが[ 2 ]の「控えめな出力のエンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
76.073.0993cc9.50.96
ボアアップによる排気量拡大
76.573.01007cc9.60.95
77.01020cc9.70.95
77.51033cc9.80.94
78.01046cc9.90.94
78.51060cc10.10.93
79.01073cc10.20.92
ストロークアップによる排気量拡大
76.074.01007cc9.60.97
75.01021cc9.70.99
76.01034cc9.81.00
77.01048cc9.91.01
78.01062cc10.11.03

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の76.0mmから0.5mm刻みで79.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の73.0mmから1mm刻みで78.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.96からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。CB型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.96から0.92に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

CB型エンジンのピストン径76.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが28件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
三菱
4G32型
76.9mm
[+0.9mm]
1017cc
[+24cc]
いすゞ
4XC1型
77.0mm
[+1.0mm]
1020cc
[+27cc]
トヨタ
3A型
77.5mm
[+1.5mm]
1033cc
[+40cc]
スバル
EL15型
77.7mm
[+1.7mm]
1038cc
[+45cc]
日産
RB20型
78.0mm
[+2.0mm]
1046cc
[+53cc]
日産
HR15型
78.0mm
[+2.0mm]
1046cc
[+53cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、三菱:E31A型ギャランに搭載される4G32型1597ccの76.9mm、いすゞ:JT151F型ジェミニに搭載される4XC1型1471ccの77.0mm、トヨタ:AW10型コルサ セダンに搭載される3A型1452ccの77.5mm、スバル:GH2型インプレッサに搭載されるEL15型1498ccの77.7mm、日産:HR34型スカイライン セダンに搭載されるRB20型1998ccの78.0mm、日産:K13改型マーチ NISMOに搭載されるHR15型1498ccの78.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 1000ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 1000ccクラスのエンジン
ストロークが短い 1000ccクラスのエンジン
ストロークが長い 1000ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [1000ccクラス]
ボアストローク比・降順 [1000ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
3600rpm
最高出力
5600rpm
73.0mm8.8m/s13.6m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm4.9m/s18km/h
4000rpm9.7m/s35km/h
6000rpm14.6m/s53km/h
8000rpm19.5m/s70km/h
10000rpm24.3m/s87km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが73.0mmのエンジンが最高出力を発生する5600回転での平均ピストンスピードは13.6m/sとなり、これは1秒間に13.6メートル(時速にすると49.0km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する3600回転では8.8m/s、最高出力が発生する5600回転より500回転高い6100回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は14.8m/sとなっています。

参考までにストロークが73.0mmのCB型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね4.85m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)8220回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


CB型NAエンジンを搭載する車種の例

全3車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
ダイハツ
G100S
1991/11
シャレード
L.A.Gear1.0
[E-G100S]
55PS
8.0kgm
18.0km/L
13.455kg/PS
自然吸気
FF/4MT
ハッチバック
5人乗り
車両型式:E-G100S

シャレード
[L.A.Gear1.0]
1991/11モデル
最高出力55PS
最大トルク8.0kgm
10-15モード燃費18.0km/L
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りハッチバック
FF/4MT
ダイハツ
G100S
1991/01
シャレード
Kissa1.0
[E-G100S]
55PS
8.0kgm
18.0km/L
13.636kg/PS
自然吸気
FF/5MT
ハッチバック
5人乗り
車両型式:E-G100S

シャレード
[Kissa1.0]
1991/01モデル
最高出力55PS
最大トルク8.0kgm
10-15モード燃費18.0km/L
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りハッチバック
FF/5MT
ダイハツ
G100S
1991/11
シャレード
L.A.Gear1.0
[E-G100S]
55PS
8.0kgm
15.2km/L
14.000kg/PS
自然吸気
FF/3AT
ハッチバック
5人乗り
車両型式:E-G100S

シャレード
[L.A.Gear1.0]
1991/11モデル
最高出力55PS
最大トルク8.0kgm
10-15モード燃費15.2km/L
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りハッチバック
FF/3AT

ダイハツ製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】