ダイハツ:1NR-FE型エンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 1329cc]

ここではダイハツのM601S型・ブーン [1.3CX|2010/02モデル] に搭載されている1NR-FE型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

1NR-FE型の自然吸気エンジン諸元


M601S型 ブーン
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式DBA-M601S型
車名&グレードブーン
1.3CX
エンジン型式1NR-FE
種類直列4気筒
排気量1329cc
内径×行程72.5mm×80.5mm
ボアストローク比1.11
単気筒容積332.3cc
圧縮比11.5
吸気方式自然吸気
使用燃料レギュラーガソリン
最高出力95PS/6000rpm
最大トルク12.3kgm/4000rpm

まず基本的な成り立ちとして、1NR型エンジンはボア(内径)72.5mm、ストローク(行程)80.5mm、ボアストローク比1.11のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
1NRのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷68.7PS → 95PS
トルクの変遷12.3kgm → 11.3kgm
リッター馬力71.5PS/L
リッタートルク9.3kgm/L

今回の参考車両であるブーンの直列4気筒1329cc、圧縮比11.5でレギュラーガソリン仕様の自然吸気エンジンは、6000回転のとき最高出力95馬力を、6000回転のとき最大トルク12.3kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する4000回転での馬力は68.7PS、最高出力が発生する6000回転でのトルクは11.3kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は71.5PS/L、トルクは9.3kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積332.3cc)あたりの馬力は23.8PS、トルクは3.1kgmです。

1NR型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 5 ]、換算トルクが[ 5 ]の「標準的な出力(中の下)のエンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
72.580.51329cc11.51.11
ボアアップによる排気量拡大
73.080.51348cc11.71.10
73.51366cc11.81.10
74.01385cc11.91.09
74.51404cc12.11.08
75.01423cc12.31.07
75.51442cc12.41.07
ストロークアップによる排気量拡大
72.581.51346cc11.61.12
82.51362cc11.81.14
83.51379cc11.91.15
84.51395cc12.01.17
85.51412cc12.21.18

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の72.5mmから0.5mm刻みで75.5mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の80.5mmから1mm刻みで85.5mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。1NR型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.11から1.07に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

1NR型エンジンのピストン径72.5mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが32件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
日産
GA15型
73.6mm
[+1.1mm]
1370cc
[+41cc]
日産
QG15型
73.6mm
[+1.1mm]
1370cc
[+41cc]
ホンダ
D13C型
73.7mm
[+1.2mm]
1374cc
[+45cc]
トヨタ
4E型
74.0mm
[+1.5mm]
1385cc
[+56cc]
トヨタ
5E型
74.0mm
[+1.5mm]
1385cc
[+56cc]
スズキ
G13B型
74.0mm
[+1.5mm]
1385cc
[+56cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、日産:WFGY10型ラシーンに搭載されるGA15型1497ccの73.6mm、日産:FB15型ファミリアビジネスワゴンに搭載されるQG15型1497ccの73.6mm、ホンダ:GA2型シティに搭載されるD13C型1296ccの73.7mm、トヨタ:EP91型スターレットに搭載される4E型1331ccの74.0mm、トヨタ:EXZ10型ラウムに搭載される5E型1496ccの74.0mm、スズキ:DA32W型エブリイランディに搭載されるG13B型1298ccの74.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 1500ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 1500ccクラスのエンジン
ストロークが短い 1500ccクラスのエンジン
ストロークが長い 1500ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [1500ccクラス]
ボアストローク比・降順 [1500ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
4000rpm
最高出力
6000rpm
80.5mm10.7m/s16.1m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.4m/s19km/h
4000rpm10.7m/s39km/h
6000rpm16.1m/s58km/h
8000rpm21.5m/s77km/h
10000rpm26.8m/s96km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが80.5mmのエンジンが最高出力を発生する6000回転での平均ピストンスピードは16.1m/sとなり、これは1秒間に16.1メートル(時速にすると58.0km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する4000回転では10.7m/s、最高出力が発生する6000回転より500回転高い6500回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は17.4m/sとなっています。

参考までにストロークが80.5mmの1NR型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.35m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)7450回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


1NR-FE型エンジンを搭載する車種の例

全1車種のうち、最高出力が大きいものから順に上位3車種を表示しています。その他の車種については、ページ下部にあるリンクより1NR型エンジン搭載車種の一覧をご覧ください。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
ダイハツ
M601S
2010/02
ブーン
1.3CX
[DBA-M601S]
95PS
12.3kgm
21.0km/L
9.89kg/PS
自然吸気
FF/CVT
ハッチバック
5人乗り

ブーン
[1.3CX]
2010/02モデル
車両型式DBA-M601S
最高出力95PS
最大トルク12.3kgm
10-15モード燃費21.0km/L
パワーウェイト9.89kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FF/CVT
車体形状&乗車定員ハッチバック/5人乗り
1NR型エンジン搭載車種の一覧
パワーウェイトレシオ順|全14車種

その他の1NR型エンジン型式と代表的な車種

1NR-FE型
全12車種
トヨタ:スペイド [X]
最高出力95PS/最大トルク12.3kgm
2012/07モデル
トヨタ
1NR-FE型
全12車種
スペイド
[X]
95PS/12.3kgm
1NR-FE型
全1車種
スバル:トレジア [1.3i-S]
最高出力95PS/最大トルク12.3kgm
2010/11モデル
スバル
1NR-FE型
全1車種
トレジア
[1.3i-S]
95PS/12.3kgm

ダイハツ製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】