シトロエン:BH01型エンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 1560cc]

ここではシトロエンのB7BH01型・C4 [Shine BlueHDi|2017/07モデル] に搭載されているBH01型のターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

BH01型のターボエンジン諸元


B7BH01型 C4
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式LDA-B7BH01型
車名&グレードC4
Shine BlueHDi
エンジン型式BH01
種類直列4気筒
排気量1560cc
内径×行程75.0mm×88.3mm
ボアストローク比1.18
単気筒容積390.1cc
吸気方式ターボ
使用燃料ディーゼル
最高出力120PS/3500rpm
最大トルク30.6kgm/1750rpm

まず基本的な成り立ちとして、BH01型エンジンはボア(内径)75.0mm、ストローク(行程)88.3mm、ボアストローク比1.18のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
BH01のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷74.8PS → 120PS
トルクの変遷30.6kgm → 24.6kgm
リッター馬力76.92PS/L
リッタートルク19.6kgm/L

今回の参考車両であるC4の直列4気筒1560ccでディーゼル仕様のターボエンジンは、3500回転のとき最高出力120馬力を、3500回転のとき最大トルク30.6kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する1750回転での馬力は74.8PS、最高出力が発生する3500回転でのトルクは24.6kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は76.92PS/L、トルクは19.6kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積390.1cc)あたりの馬力は30.0PS、トルクは7.7kgmです。

BH01型ターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 4 ]、換算トルクが[ 9 ]の「やや控えめな出力のエンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
75.088.31560cc-1.18
ボアアップによる排気量拡大
75.588.31581cc-1.17
76.01602cc-1.16
76.51623cc-1.15
77.01645cc-1.15
77.51666cc-1.14
78.01688cc-1.13
ストロークアップによる排気量拡大
75.089.31578cc-1.19
90.31596cc-1.20
91.31613cc-1.22
92.31631cc-1.23
93.31649cc-1.24

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の75.0mmから0.5mm刻みで78.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の88.3mmから1mm刻みで93.3mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。BH01型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.18から1.13に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

BH01型エンジンのピストン径75.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが6件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
マツダ
S5型
76.0mm
[+1.0mm]
1602cc
[+42cc]
ダイハツ
CB型
76.0mm
[+1.0mm]
1602cc
[+42cc]
ダイハツ
CL型
76.0mm
[+1.0mm]
1602cc
[+42cc]
日産
RB20型
78.0mm
[+3.0mm]
1688cc
[+128cc]
日産
HR12型
78.0mm
[+3.0mm]
1688cc
[+128cc]
日産
VG20型
78.0mm
[+3.0mm]
1688cc
[+128cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、マツダ:DK5FW型CX-3に搭載されるS5型1498ccの76.0mm、ダイハツ:G100S型シャレードに搭載されるCB型993ccの76.0mm、ダイハツ:G101S型シャレードに搭載されるCL型993ccの76.0mm、日産:CA31改型セフィーロ オーテックに搭載されるRB20型1998ccの78.0mm、日産:E12型ノートに搭載されるHR12型1198ccの78.0mm、日産:GF31型レパードに搭載されるVG20型1998ccの78.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 1800ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 1800ccクラスのエンジン
ストロークが短い 1800ccクラスのエンジン
ストロークが長い 1800ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [1800ccクラス]
ボアストローク比・降順 [1800ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
1750rpm
最高出力
3500rpm
88.3mm5.2m/s10.3m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.9m/s21km/h
4000rpm11.8m/s42km/h
6000rpm17.7m/s64km/h
8000rpm23.5m/s85km/h
10000rpm29.4m/s106km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが88.3mmのエンジンが最高出力を発生する3500回転での平均ピストンスピードは10.3m/sとなり、これは1秒間に10.3メートル(時速にすると37.1km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する1750回転では5.2m/s、最高出力が発生する3500回転より500回転高い4000回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は11.8m/sとなっています。

参考までにストロークが88.3mmのBH01型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.88m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6800回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


BH01型エンジンを搭載する車種の例

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
シトロエン
B7BH01
2017/07
C4
Shine BlueHDi
[LDA-B7BH01]
120PS
30.6kgm
20.2km/L
11.500kg/PS
ターボ
FF/6AT
ハッチバック
5人乗り
車両型式:LDA-B7BH01

C4
[Shine BlueHDi]
2017/07モデル
最高出力120PS
最大トルク30.6kgm
JC08モード燃費20.2km/L
吸気方式ターボ
車体構成5人乗りハッチバック
FF/6AT

シトロエン製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】