ここではシトロエンのB7875G型・グランドC4 ピカソ [Seduction|2014/10モデル] に搭載されている5G01型のターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。
5G01型のターボエンジン諸元
B7875G型 グランドC4 ピカソ 主要諸元と走行性能まとめ | |
車両型式 | ABA-B7875G01型 |
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車名&グレード | グランドC4 ピカソ Seduction |
エンジン型式 | 5G01 |
種類 | 直列4気筒 |
排気量 | 1598cc |
内径×行程 | 77.0mm×85.8mm |
ボアストローク比 | 1.11 |
単気筒容積 | 399.5cc |
吸気方式 | ターボ |
使用燃料 | ハイオクガソリン |
最高出力 | 165PS/6000rpm |
最大トルク | 24.5kgm/1400-3500rpm |
まず基本的な成り立ちとして、5G01型エンジンはボア(内径)77.0mm、ストローク(行程)85.8mm、ボアストローク比1.11のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。
排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。
なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。
このサイトにて登録されている車種のうち、5G01型のターボエンジンを搭載する最も古い車種は、2014/10から発売された2代目グランドC4 ピカソ [B7875G01型|2014/10]、最も新しい車種は2018/09から発売された2代目グランドC4 スペースツアラー [B7875G01型|2018/09]となっており、NA車は0車種、ターボ/SC車は5車種の全5車種が登録されています。
過渡特性とリッター換算馬力から見た評価
エンジン性能曲線のイメージ | |
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馬力の変遷 | 47.9PS → 165PS |
トルクの変遷 | 24.5kgm → 19.7kgm |
リッター馬力 | 103.25PS/L |
リッタートルク | 15.3kgm/L |
今回の参考車両であるグランドC4 ピカソの直列4気筒1598ccでハイオクガソリン仕様のターボエンジンは、6000回転のとき最高出力165馬力を、6000回転のとき最大トルク24.5kgmを発生させます。
馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する1400回転での馬力は47.9PS、最高出力が発生する6000回転でのトルクは19.7kgmになります。
排気量1リットルあたりの馬力は103.25PS/L、トルクは15.3kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積399.5cc)あたりの馬力は41.2PS、トルクは6.1kgmです。
5G01型ターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 6 ]、換算トルクが[ 6 ]の「標準的な出力(中の上)のエンジン」にカテゴライズされます。
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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化
ノーマルの排気量と圧縮比 | ||||
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Bore | Stroke | 排気量 | 圧縮比 | B/S比 |
77.0 | 85.8 | 1598cc | - | 1.11 |
ボアアップによる排気量拡大 | ||||
77.5 | 85.8 | 1619cc | - | 1.11 |
78.0 | 1640cc | - | 1.10 | |
78.5 | 1661cc | - | 1.09 | |
79.0 | 1682cc | - | 1.09 | |
79.5 | 1704cc | - | 1.08 | |
80.0 | 1725cc | - | 1.07 | |
ストロークアップによる排気量拡大 | ||||
77.0 | 86.8 | 1617cc | - | 1.13 |
87.8 | 1635cc | - | 1.14 | |
88.8 | 1654cc | - | 1.15 | |
89.8 | 1673cc | - | 1.17 | |
90.8 | 1691cc | - | 1.18 |
エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。
ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の77.0mmから0.5mm刻みで80.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の85.8mmから1mm刻みで90.8mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。
※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。
B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。5G01型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.11から1.07に変化するという具合です。
ピストン径が近いエンジンと排気量アップ
5G01型エンジンのピストン径77.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが9件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。
Eg型式 | ピストン径 | 排気量 |
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日産 RB20型 | 78.0mm [+1.0mm] | 1640cc [+42cc] |
日産 HR12型 | 78.0mm [+1.0mm] | 1640cc [+42cc] |
日産 VG20型 | 78.0mm [+1.0mm] | 1640cc [+42cc] |
三菱 6A12型 | 78.4mm [+1.4mm] | 1657cc [+59cc] |
スバル FB16型 | 78.8mm [+1.8mm] | 1674cc [+76cc] |
マツダ S8型 | 79.0mm [+2.0mm] | 1682cc [+84cc] |
ピストン径が近いエンジンとしては、日産:CA31改型セフィーロ オーテックに搭載されるRB20型1998ccの78.0mm、日産:E12型ノートに搭載されるHR12型1198ccの78.0mm、日産:GF31型レパードに搭載されるVG20型1998ccの78.0mm、三菱:DE3A型FTO GPXに搭載される6A12型1998ccの78.4mm、スバル:GT3型XVに搭載されるFB16型1599ccの78.8mm、マツダ:DM8P型CX-30に搭載されるS8型1756ccの79.0mmなどが該当します。
(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。
●ピストン径が小さい 1800ccクラスのエンジン
●ピストン径が大きい 1800ccクラスのエンジン
●ストロークが短い 1800ccクラスのエンジン
●ストロークが長い 1800ccクラスのエンジン
●ボアストローク比・昇順 [1800ccクラス]
●ボアストローク比・降順 [1800ccクラス]
平均ピストンスピード
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続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが85.8mmのエンジンが最高出力を発生する6000回転での平均ピストンスピードは17.2m/sとなり、これは1秒間に17.2メートル(時速にすると61.9km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。
最大トルクを発生する1400回転では4.0m/s、最高出力が発生する6000回転より500回転高い6500回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は18.6m/sとなっています。
参考までにストロークが85.8mmの5G01型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.73m/sずつ速度が増していくようです。
大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6990回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。
5G01型エンジンを搭載する車種の例
全5車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。
メーカー 車両型式 | 画像 | 車名&グレード | 出力/燃費 パワーウェイト | 排気量 変速機 | ||||||||||||||
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シトロエン B7875G | 2014/10 グランドC4 ピカソ Seduction [ABA-B7875G01] | 165PS 24.5kgm - 9.394kg/PS | ターボ FF/6AT ミニバン 7人乗り | |||||||||||||||
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シトロエン B785G0 | 2014/10 C4 ピカソ Exclusive [ABA-B785G01] | 165PS 24.5kgm - 8.970kg/PS | ターボ FF/6AT ミニバン 5人乗り | |||||||||||||||
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シトロエン B7C5G0 | 2015/06 DS4 Chic [ABA-B7C5G01] | 165PS 24.5kgm 14.9km/L 8.303kg/PS | ターボ FF/6AT ハッチバック 5人乗り | |||||||||||||||
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シトロエン B7C5G0 | 2016/04 DS4 Crossback [ABA-B7C5G01] | 165PS 24.5kgm 14.9km/L 8.303kg/PS | ターボ FF/6AT SUV 5人乗り | |||||||||||||||
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シトロエン B7875G | 2018/09 グランドC4 スペースツアラー Shine [ABA-B7875G01] | 165PS 24.5kgm 14.6km/L 9.152kg/PS | ターボ FF/6AT ミニバン 7人乗り | |||||||||||||||
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その他の5G01型エンジン型式と代表的な車種
5G01型 全2車種 | DSオートモビル:DS3 [Sport-Chic] 最高出力165PS/最大トルク24.5kgm 2015/11モデル | |
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DSオートモビル 5G01型 全2車種 | DS3 [Sport-Chic] 165PS/24.5kgm |