クライスラー:7型エンジンの諸元と性能まとめ [V型8気筒 5654cc]

ここではクライスラーのLX57型・300C [5.7HEMI|2010/06モデル] に搭載されている7型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

7型の自然吸気エンジン諸元


LX57型 300C
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式ABA-LX57型
車名&グレード300C
5.7HEMI
エンジン型式7
種類V型8気筒
排気量5654cc
内径×行程99.5mm×90.9mm
ボアストローク比0.91
単気筒容積706.8cc
圧縮比10.5
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力360PS/5100rpm
最大トルク53.8kgm/4300rpm

まず基本的な成り立ちとして、7型エンジンはボア(内径)99.5mm、ストローク(行程)90.9mm、ボアストローク比0.91のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、7型の自然吸気エンジンを搭載する最も古い車種は、2006/07から発売された初代300C ツーリング [LE57T型|2008/04]、最も新しい車種は2005/02から発売された初代300C [LX57型|2010/06]となっており、NA車は2車種、ターボ/SC車は0車種の全2車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
7のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷323.0PS → 360PS
トルクの変遷53.8kgm → 50.6kgm
リッター馬力63.7PS/L
リッタートルク9.5kgm/L

今回の参考車両である300CのV型8気筒5654cc、圧縮比10.5でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、5100回転のとき最高出力360馬力を、5100回転のとき最大トルク53.8kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する4300回転での馬力は323.0PS、最高出力が発生する5100回転でのトルクは50.6kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は63.7PS/L、トルクは9.5kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積706.8cc)あたりの馬力は45.0PS、トルクは6.7kgmです。

7型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 4 ]、換算トルクが[ 6 ]の「やや控えめな出力のエンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、7型エンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのはLX57型300Cの360PS/53.8kgm、最も小さかったのはLE57T型300C ツーリングの340PS/53.5kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
99.590.95654cc10.50.91
ボアアップによる排気量拡大
100.090.95711cc10.60.91
100.55769cc10.70.90
101.05826cc10.80.90
101.55884cc10.90.90
102.05942cc11.00.89
102.56000cc11.10.89
ストロークアップによる排気量拡大
99.591.95716cc10.60.92
92.95779cc10.70.93
93.95841cc10.80.94
94.95903cc10.90.95
95.95965cc11.00.96

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の99.5mmから0.5mm刻みで102.5mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の90.9mmから1mm刻みで95.9mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.91からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。7型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.91から0.89に変化するという具合です。


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
4300rpm
最高出力
5100rpm
90.9mm13.0m/s15.5m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.1m/s22km/h
4000rpm12.1m/s44km/h
6000rpm18.2m/s66km/h
8000rpm24.2m/s87km/h
10000rpm30.3m/s109km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが90.9mmのエンジンが最高出力を発生する5100回転での平均ピストンスピードは15.5m/sとなり、これは1秒間に15.5メートル(時速にすると55.8km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する4300回転では13.0m/s、最高出力が発生する5100回転より500回転高い5600回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は17.0m/sとなっています。

参考までにストロークが90.9mmの7型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.05m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6600回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


7型エンジンを搭載する車種の例

全2車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
クライスラー
LX57
2010/06
300C
5.7HEMI
[ABA-LX57]
360PS
53.8kgm
7.1km/L
5.25kg/PS
自然吸気
FR/5AT
セダン
5人乗り

300C
[5.7HEMI]
2010/06モデル
車両型式ABA-LX57
最高出力360PS
最大トルク53.8kgm
10-15モード燃費7.1km/L
パワーウェイト5.25kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/5AT
車体形状&乗車定員セダン/5人乗り
クライスラー
LE57T
2008/04
300C ツーリング
5.7HEMI
[ABA-LE57T]
340PS
53.5kgm
5.8km/L
5.71kg/PS
自然吸気
FR/5AT
ワゴン
5人乗り

300C ツーリング
[5.7HEMI]
2008/04モデル
車両型式ABA-LE57T
最高出力340PS
最大トルク53.5kgm
10-15モード燃費5.8km/L
パワーウェイト5.71kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/5AT
車体形状&乗車定員ワゴン/5人乗り

その他の7型エンジン型式と代表的な車種

7型
全3車種
JEEP:グランドチェロキー [Overland-Summit]
最高出力352PS/最大トルク53.0kgm
2012/02モデル
JEEP
7型
全3車種
グランドチェロキー
[Overland-Summit]
352PS/53.0kgm

クライスラー製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】