ここではシボレーのX245S型・コルベット クーペ [Gran-Sport Coupe C6|2013/01モデル] に搭載されている6F型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。
6F型の自然吸気エンジン諸元
X245S型 コルベット クーペ 主要諸元と走行性能まとめ | |
車両型式 | ABA-X245S型 |
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車名&グレード | コルベット クーペ Gran-Sport Coupe C6 |
エンジン型式 | 6F |
種類 | V型8気筒 |
排気量 | 6156cc |
内径×行程 | 103.2mm×92.0mm |
ボアストローク比 | 0.89 |
単気筒容積 | 769.5cc |
吸気方式 | 自然吸気 |
使用燃料 | ハイオクガソリン |
最高出力 | 436PS/5900rpm |
最大トルク | 58.6kgm/4600rpm |
まず基本的な成り立ちとして、6F型エンジンはボア(内径)103.2mm、ストローク(行程)92.0mm、ボアストローク比0.89のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。
排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。
また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。
このサイトにて登録されている車種のうち、6F型の自然吸気エンジンを搭載する最も古い車種は、2005/02から発売された6代目コルベット コンバーチブル [X245S型|2012/01]、最も新しい車種は2005/02から発売された6代目コルベット クーペ [X245S型|2013/01]となっており、NA車は2車種、ターボ/SC車は0車種の全2車種が登録されています。
過渡特性とリッター換算馬力から見た評価
エンジン性能曲線のイメージ | |
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馬力の変遷 | 376.3PS → 436PS |
トルクの変遷 | 58.6kgm → 52.9kgm |
リッター馬力 | 70.83PS/L |
リッタートルク | 9.5kgm/L |
今回の参考車両であるコルベット クーペのV型8気筒6156ccでハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、5900回転のとき最高出力436馬力を、5900回転のとき最大トルク58.6kgmを発生させます。
馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する4600回転での馬力は376.3PS、最高出力が発生する5900回転でのトルクは52.9kgmになります。
排気量1リットルあたりの馬力は70.83PS/L、トルクは9.5kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積769.5cc)あたりの馬力は54.5PS、トルクは7.3kgmです。
6F型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 5 ]、換算トルクが[ 6 ]の「標準的な出力(中の下)のエンジン」にカテゴライズされます。
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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化
ノーマルの排気量と圧縮比 | ||||
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Bore | Stroke | 排気量 | 圧縮比 | B/S比 |
103.2 | 92.0 | 6156cc | - | 0.89 |
ボアアップによる排気量拡大 | ||||
103.7 | 92.0 | 6216cc | - | 0.89 |
104.2 | 6276cc | - | 0.88 | |
104.7 | 6336cc | - | 0.88 | |
105.2 | 6397cc | - | 0.87 | |
105.7 | 6458cc | - | 0.87 | |
106.2 | 6519cc | - | 0.87 | |
ストロークアップによる排気量拡大 | ||||
103.2 | 93.0 | 6223cc | - | 0.90 |
94.0 | 6290cc | - | 0.91 | |
95.0 | 6357cc | - | 0.92 | |
96.0 | 6424cc | - | 0.93 | |
97.0 | 6491cc | - | 0.94 |
エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。
ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の103.2mmから0.5mm刻みで106.2mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の92.0mmから1mm刻みで97.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。
※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。
B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.89からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。6F型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.89から0.87に変化するという具合です。
平均ピストンスピード
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続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが92.0mmのエンジンが最高出力を発生する5900回転での平均ピストンスピードは18.1m/sとなり、これは1秒間に18.1メートル(時速にすると65.2km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。
最大トルクを発生する4600回転では14.1m/s、最高出力が発生する5900回転より500回転高い6400回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は19.6m/sとなっています。
参考までにストロークが92.0mmの6F型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.15m/sずつ速度が増していくようです。
大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6520回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。
6F型エンジンを搭載する車種の例
全2車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。
メーカー 車両型式 | 画像 | 車名&グレード | 出力/燃費 パワーウェイト | 排気量 変速機 | ||||||||||||||||
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シボレー X245S | 2013/01 コルベット クーペ Gran-Sport Coupe C6 [ABA-X245S] | 436PS 58.6kgm 7.1km/L 3.486kg/PS | 自然吸気 FR/6AT クーペ 2人乗り | |||||||||||||||||
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シボレー X245S | 2012/01 コルベット コンバーチブル Gran-Sport Convertible C6 [ABA-X245S] | 436PS 58.6kgm 6.5km/L 3.486kg/PS | 自然吸気 FR/6AT オープンカー 2人乗り | |||||||||||||||||
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