キャデラック:4N型エンジンの諸元と性能まとめ [V型8気筒 4370cc]

ここではキャデラックのX215V型・XLR [XLR-V|2007/11モデル] に搭載されている4N型のスーパーチャージャーエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

4N型のスーパーチャージャーエンジン諸元


X215V型 XLR
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式ABA-X215V型
車名&グレードXLR
XLR-V
エンジン型式4N
種類V型8気筒
排気量4370cc
内径×行程91.0mm×84.0mm
ボアストローク比0.92
単気筒容積546.3cc
吸気方式スーパーチャージャー
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力446PS/6400rpm
最大トルク60.8kgm/3600rpm

まず基本的な成り立ちとして、4N型エンジンはボア(内径)91.0mm、ストローク(行程)84.0mm、ボアストローク比0.92のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

このサイトにて4N型のスーパーチャージャーエンジンを搭載している車種は、2003/10から発売された初代XLR [X215V型|2007/11]となっており、NA車は0車種、ターボ/SC車は2車種の全2車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
4Nのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷305.6PS → 446PS
トルクの変遷60.8kgm → 49.9kgm
リッター馬力102.1PS/L
リッタートルク13.9kgm/L

今回の参考車両であるXLRのV型8気筒4370ccでハイオクガソリン仕様のスーパーチャージャーエンジンは、6400回転のとき最高出力446馬力を、6400回転のとき最大トルク60.8kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する3600回転での馬力は305.6PS、最高出力が発生する6400回転でのトルクは49.9kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は102.1PS/L、トルクは13.9kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積546.3cc)あたりの馬力は55.8PS、トルクは7.6kgmです。

4N型スーパーチャージャーエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 6 ]、換算トルクが[ 5 ]の「標準的な出力(中の上)のエンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
91.084.04370cc-0.92
ボアアップによる排気量拡大
91.584.04419cc-0.92
92.04467cc-0.91
92.54516cc-0.91
93.04565cc-0.90
93.54614cc-0.90
94.04663cc-0.89
ストロークアップによる排気量拡大
91.085.04423cc-0.93
86.04475cc-0.95
87.04527cc-0.96
88.04579cc-0.97
89.04631cc-0.98

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の91.0mmから0.5mm刻みで94.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の84.0mmから1mm刻みで89.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.92からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。4N型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.92から0.89に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

4N型エンジンのピストン径91.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが7件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
スバル
EJ20型
92.0mm
[+1.0mm]
4467cc
[+97cc]
トヨタ
2L型
92.0mm
[+1.0mm]
4467cc
[+97cc]
ダイハツ
DL型
92.0mm
[+1.0mm]
4467cc
[+97cc]
スバル
EA82型
92.0mm
[+1.0mm]
4467cc
[+97cc]
トヨタ
1GD型
92.0mm
[+1.0mm]
4467cc
[+97cc]
日産
VQ30型
93.0mm
[+2.0mm]
4565cc
[+195cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、スバル:BL5型レガシィB4に搭載されるEJ20型1994ccの92.0mm、トヨタ:LX80型ハイラックスサーフに搭載される2L型2446ccの92.0mm、ダイハツ:F78W型ラガーに搭載されるDL型2765ccの92.0mm、スバル:AX4型アルシオーネに搭載されるEA82型1781ccの92.0mm、トヨタ:GDJ150W型ランドクルーザー プラドに搭載される1GD型2754ccの92.0mm、日産:HF50型シーマに搭載されるVQ30型2987ccの93.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 4500ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 4500ccクラスのエンジン
ストロークが短い 4500ccクラスのエンジン
ストロークが長い 4500ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [4500ccクラス]
ボアストローク比・降順 [4500ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
3600rpm
最高出力
6400rpm
84.0mm10.1m/s17.9m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.6m/s20km/h
4000rpm11.2m/s40km/h
6000rpm16.8m/s60km/h
8000rpm22.4m/s81km/h
10000rpm28.0m/s101km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが84.0mmのエンジンが最高出力を発生する6400回転での平均ピストンスピードは17.9m/sとなり、これは1秒間に17.9メートル(時速にすると64.4km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する3600回転では10.1m/s、最高出力が発生する6400回転より500回転高い6900回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は19.3m/sとなっています。

参考までにストロークが84.0mmの4N型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.60m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)7140回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


4N型エンジンを搭載する車種の例

全2車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
キャデラック
X215V
2007/11
XLR
XLR-V
[ABA-X215V]
446PS
60.8kgm
6.1km/L
3.92kg/PS
SC
FR/6AT
オープンカー
2人乗り

XLR
[XLR-V]
2007/11モデル
車両型式ABA-X215V
最高出力446PS
最大トルク60.8kgm
10-15モード燃費6.1km/L
パワーウェイト3.92kg/PS
吸気方式SC
駆動方式&変速機FR/6AT
車体形状&乗車定員オープンカー/2人乗り
キャデラック
X295V
2007/11
STS
STS-V
[ABA-X295V]
446PS
60.8kgm
5.9km/L
4.46kg/PS
SC
FR/6AT
セダン
5人乗り

STS
[STS-V]
2007/11モデル
車両型式ABA-X295V
最高出力446PS
最大トルク60.8kgm
10-15モード燃費5.9km/L
パワーウェイト4.46kg/PS
吸気方式SC
駆動方式&変速機FR/6AT
車体形状&乗車定員セダン/5人乗り

キャデラック製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】