キャデラック:3K型エンジンの諸元と性能まとめ [V型6気筒 3564cc]

ここではキャデラックのA1SLV型・ATS-V [spec-A|2016/01モデル] に搭載されている3K型のツインターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

3K型のツインターボエンジン諸元


A1SLV型 ATS-V
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式ABA-A1SLV型
車名&グレードATS-V
spec-A
エンジン型式3K
種類V型6気筒
排気量3564cc
内径×行程94.0mm×85.6mm
ボアストローク比0.91
単気筒容積594.0cc
吸気方式ツインターボ
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力470PS/5850rpm
最大トルク61.5kgm/3500rpm

まず基本的な成り立ちとして、3K型エンジンはボア(内径)94.0mm、ストローク(行程)85.6mm、ボアストローク比0.91のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
3Kのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷300.5PS → 470PS
トルクの変遷61.5kgm → 57.6kgm
リッター馬力131.9PS/L
リッタートルク17.3kgm/L

今回の参考車両であるATS-VのV型6気筒3564ccでハイオクガソリン仕様のツインターボエンジンは、5850回転のとき最高出力470馬力を、5850回転のとき最大トルク61.5kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する3500回転での馬力は300.5PS、最高出力が発生する5850回転でのトルクは57.6kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は131.9PS/L、トルクは17.3kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積594.0cc)あたりの馬力は78.3PS、トルクは10.2kgmです。

3K型ツインターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 8 ]、換算トルクが[ 7 ]の「結構な高出力エンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
94.085.63564cc-0.91
ボアアップによる排気量拡大
94.585.63602cc-0.91
95.03640cc-0.90
95.53679cc-0.90
96.03717cc-0.89
96.53756cc-0.89
97.03795cc-0.88
ストロークアップによる排気量拡大
94.086.63606cc-0.92
87.63647cc-0.93
88.63689cc-0.94
89.63731cc-0.95
90.63772cc-0.96

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の94.0mmから0.5mm刻みで97.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の85.6mmから1mm刻みで90.6mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.91からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。3K型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.91から0.88に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

3K型エンジンのピストン径94.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが11件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
トヨタ
2TZ型
95.0mm
[+1.0mm]
3640cc
[+76cc]
三菱
4M40型
95.0mm
[+1.0mm]
3640cc
[+76cc]
ホンダ
4JX1型
95.4mm
[+1.4mm]
3671cc
[+107cc]
ホンダ
4JG2型
95.4mm
[+1.4mm]
3671cc
[+107cc]
日産
VR38型
95.5mm
[+1.5mm]
3679cc
[+115cc]
トヨタ
1KZ型
96.0mm
[+2.0mm]
3717cc
[+153cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、トヨタ:TCR20W型エスティマに搭載される2TZ型2438ccの95.0mm、三菱:PE8W型デリカ スペースギアに搭載される4M40型2835ccの95.0mm、ホンダ:UBS73GWH型ホライゾンに搭載される4JX1型2999ccの95.4mm、ホンダ:UBS69GWH型ホライゾンに搭載される4JG2型3059ccの95.4mm、日産:R35型GT-Rに搭載されるVR38型3799ccの95.5mm、トヨタ:KZN185W型ハイラックスサーフに搭載される1KZ型2982ccの96.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 4000ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 4000ccクラスのエンジン
ストロークが短い 4000ccクラスのエンジン
ストロークが長い 4000ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [4000ccクラス]
ボアストローク比・降順 [4000ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
3500rpm
最高出力
5850rpm
85.6mm10.0m/s16.7m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.7m/s21km/h
4000rpm11.4m/s41km/h
6000rpm17.1m/s62km/h
8000rpm22.8m/s82km/h
10000rpm28.5m/s103km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが85.6mmのエンジンが最高出力を発生する5850回転での平均ピストンスピードは16.7m/sとなり、これは1秒間に16.7メートル(時速にすると60.1km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する3500回転では10.0m/s、最高出力が発生する5850回転より500回転高い6350回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は18.1m/sとなっています。

参考までにストロークが85.6mmの3K型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.70m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)7010回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


3K型エンジンを搭載する車種の例

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
キャデラック
A1SLV
2016/01
ATS-V
spec-A
[ABA-A1SLV]
470PS
61.5kgm
-
3.72kg/PS
ターボ
FR/8AT
セダン
5人乗り

ATS-V
[spec-A]
2016/01モデル
車両型式ABA-A1SLV
最高出力470PS
最大トルク61.5kgm
パワーウェイト3.72kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機FR/8AT
車体形状&乗車定員セダン/5人乗り

キャデラック製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】