キャデラック:2H型エンジンの諸元と性能まとめ [V型6気筒 2997cc]

ここではキャデラックのX322C型・CTS スポーツワゴン [3.0-Standard|2012/01モデル] に搭載されている2H型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

2H型の自然吸気エンジン諸元


X322C型 CTS スポーツワゴン
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式ABA-X322C型
車名&グレードCTS スポーツワゴン
3.0-Standard
エンジン型式2H
種類V型6気筒
排気量2997cc
内径×行程89.0mm×80.3mm
ボアストローク比0.90
単気筒容積499.5cc
吸気方式自然吸気
使用燃料レギュラーガソリン
最高出力273PS/7000rpm
最大トルク30.8kgm/5700rpm

まず基本的な成り立ちとして、2H型エンジンはボア(内径)89.0mm、ストローク(行程)80.3mm、ボアストローク比0.90のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、2H型の自然吸気エンジンを搭載する最も古い車種は、2010/02から発売された2代目CTS スポーツワゴン [X322C型|2012/01]、最も新しい車種は2010/12から発売された2代目SRXクロスオーバー [T166C型|2013/03]となっており、NA車は3車種、ターボ/SC車は0車種の全3車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
2Hのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷245.1PS → 273PS
トルクの変遷30.8kgm → 27.9kgm
リッター馬力91.1PS/L
リッタートルク10.3kgm/L

今回の参考車両であるCTS スポーツワゴンのV型6気筒2997ccでレギュラーガソリン仕様の自然吸気エンジンは、7000回転のとき最高出力273馬力を、7000回転のとき最大トルク30.8kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する5700回転での馬力は245.1PS、最高出力が発生する7000回転でのトルクは27.9kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は91.1PS/L、トルクは10.3kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積499.5cc)あたりの馬力は45.5PS、トルクは5.1kgmです。

2H型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 9 ]、換算トルクが[ 8 ]の「かなりの高出力エンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、2H型エンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのはX322C型CTS スポーツワゴンの273PS/30.8kgm、最も小さかったのはT166C型SRXクロスオーバーの269PS/30.8kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
89.080.32997cc-0.90
ボアアップによる排気量拡大
89.580.33031cc-0.90
90.03065cc-0.89
90.53099cc-0.89
91.03133cc-0.88
91.53168cc-0.88
92.03203cc-0.87
ストロークアップによる排気量拡大
89.081.33035cc-0.91
82.33072cc-0.92
83.33109cc-0.94
84.33147cc-0.95
85.33184cc-0.96

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の89.0mmから0.5mm刻みで92.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の80.3mmから1mm刻みで85.3mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.90からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。2H型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.90から0.87に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

2H型エンジンのピストン径89.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが21件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
レクサス
2AR型
90.0mm
[+1.0mm]
3065cc
[+68cc]
マツダ
JE型
90.0mm
[+1.0mm]
3065cc
[+68cc]
ホンダ
C30A型
90.0mm
[+1.0mm]
3065cc
[+68cc]
ホンダ
C32A型
90.0mm
[+1.0mm]
3065cc
[+68cc]
トヨタ
T2型
90.0mm
[+1.0mm]
3065cc
[+68cc]
ホンダ
J37A型
90.0mm
[+1.0mm]
3065cc
[+68cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、レクサス:AGH30W型クラウン ハイブリッドに搭載される2AR型2493ccの90.0mm、マツダ:HEEA型ルーチェに搭載されるJE型2954ccの90.0mm、ホンダ:NA1型NSXに搭載されるC30A型2977ccの90.0mm、ホンダ:KA8型レジェンド クーペに搭載されるC32A型3206ccの90.0mm、トヨタ:TJG00型キャバリエに搭載されるT2型2392ccの90.0mm、ホンダ:KB2型レジェンドに搭載されるJ37A型3664ccの90.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 3000ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 3000ccクラスのエンジン
ストロークが短い 3000ccクラスのエンジン
ストロークが長い 3000ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [3000ccクラス]
ボアストローク比・降順 [3000ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
5700rpm
最高出力
7000rpm
80.3mm15.3m/s18.7m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.4m/s19km/h
4000rpm10.7m/s39km/h
6000rpm16.1m/s58km/h
8000rpm21.4m/s77km/h
10000rpm26.8m/s96km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが80.3mmのエンジンが最高出力を発生する7000回転での平均ピストンスピードは18.7m/sとなり、これは1秒間に18.7メートル(時速にすると67.3km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する5700回転では15.3m/s、最高出力が発生する7000回転より500回転高い7500回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は20.1m/sとなっています。

参考までにストロークが80.3mmの2H型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.35m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)7470回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


2H型エンジンを搭載する車種の例

全3車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
キャデラック
X322C
2012/01
CTS スポーツワゴン
3.0-Standard
[ABA-X322C]
273PS
30.8kgm
8.4km/L
6.85kg/PS
自然吸気
FR/6AT
ワゴン
5人乗り

CTS スポーツワゴン
[3.0-Standard]
2012/01モデル
車両型式ABA-X322C
最高出力273PS
最大トルク30.8kgm
JC08モード燃費8.4km/L
パワーウェイト6.85kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/6AT
車体形状&乗車定員ワゴン/5人乗り
キャデラック
X322C
2012/01
CTS セダン
3.0-Standard
[ABA-X322C]
273PS
30.8kgm
8.4km/L
6.56kg/PS
自然吸気
FR/6AT
セダン
5人乗り

CTS セダン
[3.0-Standard]
2012/01モデル
車両型式ABA-X322C
最高出力273PS
最大トルク30.8kgm
JC08モード燃費8.4km/L
パワーウェイト6.56kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/6AT
車体形状&乗車定員セダン/5人乗り
キャデラック
T166C
2013/03
SRXクロスオーバー
Premium
[ABA-T166C]
269PS
30.8kgm
7.7km/L
7.73kg/PS
自然吸気
4WD/6AT
SUV
5人乗り

SRXクロスオーバー
[Premium]
2013/03モデル
車両型式ABA-T166C
最高出力269PS
最大トルク30.8kgm
JC08モード燃費7.7km/L
パワーウェイト7.73kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機4WD/6AT
車体形状&乗車定員SUV/5人乗り

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