BMW:S54B32型エンジンの諸元と性能まとめ [直列6気筒 3245cc]

ここではBMWのM3-CSL型・M3 [CSL E46|2003/05モデル] に搭載されているS54B32型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

S54B32型の自然吸気エンジン諸元


M3-CSL型 M3
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式GH-M3-CSL型
車名&グレードM3
CSL E46
エンジン型式S54B32
種類直列6気筒
排気量3245cc
内径×行程87.0mm×91.0mm
ボアストローク比1.05
単気筒容積540.9cc
圧縮比11.5
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力360PS/7900rpm
最大トルク37.7kgm/4900rpm

まず基本的な成り立ちとして、S54B32型エンジンはボア(内径)87.0mm、ストローク(行程)91.0mm、ボアストローク比1.05のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、S54B32型の自然吸気エンジンを搭載する最も古い車種は、1998/10から発売された初代Mクーペ [CL32型|2001/07]、最も新しい車種は2003/01から発売された初代Z4 ロードスター [BT32型|2008/10]となっており、NA車は7車種、ターボ/SC車は0車種の全7車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
S54B32のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷257.9PS → 360PS
トルクの変遷37.7kgm → 32.6kgm
リッター馬力110.9PS/L
リッタートルク11.6kgm/L

今回の参考車両であるM3の直列6気筒3245cc、圧縮比11.5でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、7900回転のとき最高出力360馬力を、7900回転のとき最大トルク37.7kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する4900回転での馬力は257.9PS、最高出力が発生する7900回転でのトルクは32.6kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は110.9PS/L、トルクは11.6kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積540.9cc)あたりの馬力は60.0PS、トルクは6.3kgmです。

S54B32型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 10 ]、換算トルクが[ 10 ]の「稀に見る高出力エンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、S54B32型のターボ・SCエンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのはM3-CSL型M3の360PS/37.7kgm、最も小さかったのはCL32型Mクーペの325PS/36.0kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
87.091.03245cc11.51.05
ボアアップによる排気量拡大
87.591.03283cc11.61.04
88.03321cc11.71.03
88.53359cc11.91.03
89.03397cc12.01.02
89.53435cc12.11.02
90.03473cc12.21.01
ストロークアップによる排気量拡大
87.092.03281cc11.61.06
93.03317cc11.71.07
94.03353cc11.91.08
95.03388cc12.01.09
96.03424cc12.11.10

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の87.0mmから0.5mm刻みで90.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の91.0mmから1mm刻みで96.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。S54B32型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.05から1.01に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

S54B32型エンジンのピストン径87.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが27件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
三菱
6B31型
87.6mm
[+0.6mm]
3291cc
[+46cc]
スバル
EJ18型
87.9mm
[+0.9mm]
3313cc
[+68cc]
スバル
EJ16型
87.9mm
[+0.9mm]
3313cc
[+68cc]
三菱
4B12型
88.0mm
[+1.0mm]
3321cc
[+76cc]
スズキ
H27A型
88.0mm
[+1.0mm]
3321cc
[+76cc]
レクサス
1LR型
88.0mm
[+1.0mm]
3321cc
[+76cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、三菱:CW6W型アウトランダーに搭載される6B31型2997ccの87.6mm、スバル:BD2型レガシィに搭載されるEJ18型1820ccの87.9mm、スバル:GF4型インプレッサ スポーツワゴンに搭載されるEJ16型1597ccの87.9mm、三菱:CW5W型アウトランダーに搭載される4B12型2359ccの88.0mm、スズキ:TD94W型エスクードに搭載されるH27A型2736ccの88.0mm、レクサス:LFA10型LFAに搭載される1LR型4805ccの88.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 3500ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 3500ccクラスのエンジン
ストロークが短い 3500ccクラスのエンジン
ストロークが長い 3500ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [3500ccクラス]
ボアストローク比・降順 [3500ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
4900rpm
最高出力
7900rpm
91.0mm14.9m/s24.0m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.1m/s22km/h
4000rpm12.1m/s44km/h
6000rpm18.2m/s66km/h
8000rpm24.3m/s87km/h
10000rpm30.3m/s109km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが91.0mmのエンジンが最高出力を発生する7900回転での平均ピストンスピードは24.0m/sとなり、これは1秒間に24.0メートル(時速にすると86.4km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する4900回転では14.9m/s、最高出力が発生する7900回転より500回転高い8400回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は25.5m/sとなっています。

参考までにストロークが91.0mmのS54B32型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.05m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、6590回転くらいが良い感じの回転数になるのではないかと思いますが、このエンジンは最高出力を発生している時点で既に20.0m/sを超えており、レブリミットを考慮するともう少し余分に(300~500回転?)回ることから、内部では大変なことになりながらも頑張って回っているエンジンです。


S54B32型エンジンを搭載する車種の例

全7車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
BMW
M3-CSL
2003/05
M3
CSL E46
[GH-M3-CSL]
360PS
37.7kgm
-
3.97kg/PS
自然吸気
FR/6AT
クーペ
4人乗り

M3
[CSL E46]
2003/05モデル
車両型式GH-M3-CSL
最高出力360PS
最大トルク37.7kgm
パワーウェイト3.97kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/6AT
車体形状&乗車定員クーペ/4人乗り
BMW
BL32
2006/09
M3
BaseGrade E46
[GH-BL32]
343PS
37.2kgm
8.3km/L
4.55kg/PS
自然吸気
FR/6MT
クーペ
5人乗り

M3
[BaseGrade E46]
2006/09モデル
車両型式GH-BL32
最高出力343PS
最大トルク37.2kgm
10-15モード燃費8.3km/L
パワーウェイト4.55kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/6MT
車体形状&乗車定員クーペ/5人乗り
BMW
BT32
2008/10
Z4 ロードスター
M-Roadster E85
[ABA-BT32]
343PS
37.2kgm
-
4.17kg/PS
自然吸気
FR/6MT
オープンカー
2人乗り

Z4 ロードスター
[M-Roadster E85]
2008/10モデル
車両型式ABA-BT32
最高出力343PS
最大トルク37.2kgm
10-15モード燃費8.3km/L
パワーウェイト4.17kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/6MT
車体形状&乗車定員オープンカー/2人乗り
BMW
BL32
2006/09
M3
SMG-II E46
[GH-BL32]
343PS
37.2kgm
8.3km/L
4.55kg/PS
自然吸気
FR/6AT
クーペ
5人乗り

M3
[SMG-II E46]
2006/09モデル
車両型式GH-BL32
最高出力343PS
最大トルク37.2kgm
10-15モード燃費8.3km/L
パワーウェイト4.55kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/6AT
車体形状&乗車定員クーペ/5人乗り
BMW
DU32
2008/10
Z4 クーペ
M-Coupe E86
[ABA-DU32]
343PS
37.2kgm
-
4.36kg/PS
自然吸気
FR/6MT
クーペ
2人乗り

Z4 クーペ
[M-Coupe E86]
2008/10モデル
車両型式ABA-DU32
最高出力343PS
最大トルク37.2kgm
10-15モード燃費8.3km/L
パワーウェイト4.36kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/6MT
車体形状&乗車定員クーペ/2人乗り
BMW
CL32
2001/07
Mクーペ
BaseGrade 3245cc E36/8
[GH-CL32]
325PS
36.0kgm
-
4.58kg/PS
自然吸気
FR/5MT
クーペ
2人乗り

Mクーペ
[BaseGrade 3245cc E36/8]
2001/07モデル
車両型式GH-CL32
最高出力325PS
最大トルク36.0kgm
10-15モード燃費8.3km/L
パワーウェイト4.58kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/5MT
車体形状&乗車定員クーペ/2人乗り
BMW
CL32
2001/07
Mロードスター
BaseGrade 3245cc E36/8
[GH-CL32]
325PS
36.0kgm
-
4.40kg/PS
自然吸気
FR/5MT
オープンカー
2人乗り

Mロードスター
[BaseGrade 3245cc E36/8]
2001/07モデル
車両型式GH-CL32
最高出力325PS
最大トルク36.0kgm
10-15モード燃費8.3km/L
パワーウェイト4.40kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/5MT
車体形状&乗車定員オープンカー/2人乗り

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