BMW:S50B30型エンジンの諸元と性能まとめ [直列6気筒 2990cc]

ここではBMWのM3B型・M3 [M3-Coupe S50B30 E36|1994/02モデル] に搭載されているS50B30型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

S50B30型の自然吸気エンジン諸元


M3B型 M3
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式E-M3B型
車名&グレードM3
M3-Coupe S50B30 E36
エンジン型式S50B30
種類直列6気筒
排気量2990cc
内径×行程86.0mm×85.8mm
ボアストローク比1.00
単気筒容積498.4cc
圧縮比10.8
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力286PS/7000rpm
最大トルク32.7kgm/3600rpm

まず基本的な成り立ちとして、S50B30型エンジンはボア(内径)86.0mm、ストローク(行程)85.8mm、ボアストローク比1.00のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型とショートストローク型の美点の良いとこ取り、若しくは欠点の悪いとこ取り、特にこれと言ってどうとも言えないバランス型の万能エンジンとなる素質があります。

数多あるボアとストロークの組み合わせの中で唯一、双方が同じ寸法のときにだけ現れるスクエア型はその存在の希少性こそが最大の魅力であると言えましょう。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
S50B30のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷164.3PS → 286PS
トルクの変遷32.7kgm → 29.3kgm
リッター馬力95.7PS/L
リッタートルク10.9kgm/L

今回の参考車両であるM3の直列6気筒2990cc、圧縮比10.8でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、7000回転のとき最高出力286馬力を、7000回転のとき最大トルク32.7kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する3600回転での馬力は164.3PS、最高出力が発生する7000回転でのトルクは29.3kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は95.7PS/L、トルクは10.9kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積498.4cc)あたりの馬力は47.7PS、トルクは5.5kgmです。

S50B30型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 10 ]、換算トルクが[ 10 ]の「稀に見る高出力エンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
86.085.82990cc10.81.00
ボアアップによる排気量拡大
86.585.83025cc10.90.99
87.03060cc11.00.99
87.53096cc11.10.98
88.03131cc11.30.97
88.53167cc11.40.97
89.03203cc11.50.96
ストロークアップによる排気量拡大
86.086.83025cc10.91.01
87.83060cc11.01.02
88.83095cc11.11.03
89.83130cc11.31.04
90.83165cc11.41.06

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の86.0mmから0.5mm刻みで89.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の85.8mmから1mm刻みで90.8mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと1.00のスクエア型からショートストローク型へとシフトしていきます。S50B30型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.00から0.96に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

S50B30型エンジンのピストン径86.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが39件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
ホンダ
K24A型
87.0mm
[+1.0mm]
3060cc
[+70cc]
日産
VG30型
87.0mm
[+1.0mm]
3060cc
[+70cc]
トヨタ
5S型
87.0mm
[+1.0mm]
3060cc
[+70cc]
ホンダ
H22A型
87.0mm
[+1.0mm]
3060cc
[+70cc]
ホンダ
H23A型
87.0mm
[+1.0mm]
3060cc
[+70cc]
三菱
4G69型
87.0mm
[+1.0mm]
3060cc
[+70cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、ホンダ:CW2型アコード ツアラーに搭載されるK24A型2354ccの87.0mm、日産:Z32型マキシマに搭載されるVG30型2960ccの87.0mm、トヨタ:SXV25N型ハリアーに搭載される5S型2163ccの87.0mm、ホンダ:CL1型アコードに搭載されるH22A型2156ccの87.0mm、ホンダ:CH9型アコード ワゴンに搭載されるH23A型2258ccの87.0mm、三菱:NA4W型グランディスに搭載される4G69型2378ccの87.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 3000ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 3000ccクラスのエンジン
ストロークが短い 3000ccクラスのエンジン
ストロークが長い 3000ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [3000ccクラス]
ボアストローク比・降順 [3000ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
3600rpm
最高出力
7000rpm
85.8mm10.3m/s20.0m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.7m/s21km/h
4000rpm11.4m/s41km/h
6000rpm17.2m/s62km/h
8000rpm22.9m/s82km/h
10000rpm28.6m/s103km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが85.8mmのエンジンが最高出力を発生する7000回転での平均ピストンスピードは20.0m/sとなり、これは1秒間に20.0メートル(時速にすると72.0km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する3600回転では10.3m/s、最高出力が発生する7000回転より500回転高い7500回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は21.4m/sとなっています。

参考までにストロークが85.8mmのS50B30型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.73m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、6990回転くらいが良い感じの回転数になるのではないかと思いますが、このエンジンは最高出力を発生している時点で既に20.0m/sを超えており、レブリミットを考慮するともう少し余分に(300~500回転?)回ることから、内部では大変なことになりながらも頑張って回っているエンジンです。


S50B30型エンジンを搭載する車種の例

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
BMW
M3B
1994/02
M3
M3-Coupe S50B30 E36
[E-M3B]
286PS
32.7kgm
-
5.10kg/PS
自然吸気
FR/5MT
クーペ
5人乗り

M3
[M3-Coupe S50B30 E36]
1994/02モデル
車両型式E-M3B
最高出力286PS
最大トルク32.7kgm
パワーウェイト5.10kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/5MT
車体形状&乗車定員クーペ/5人乗り

BMW製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】