BMW:N63B44C型エンジンの諸元と性能まとめ [V型8気筒 4394cc]

ここではBMWの7A44型・7シリーズ [750i G11|2016/05モデル] に搭載されているN63B44C型のツインターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

N63B44C型のツインターボエンジン諸元


7A44型 7シリーズ
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式CBA-7A44型
車名&グレード7シリーズ
750i G11
エンジン型式N63B44C
種類V型8気筒
排気量4394cc
内径×行程89.0mm×88.3mm
ボアストローク比0.99
単気筒容積549.3cc
圧縮比10.5
吸気方式ツインターボ
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力449PS/5500rpm
最大トルク66.3kgm/1800-4500rpm

まず基本的な成り立ちとして、N63B44型エンジンはボア(内径)89.0mm、ストローク(行程)88.3mm、ボアストローク比0.99のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、厳密に言えばボアとストロークが全くの同一でなければスクエア型を名乗ることは許されませんが、ここまでボアストローク比が1に近いのであれば「もうスクエア型にしてあげても良いじゃない!」という気もします。

これらのエンジンはショートストローク型、或いはロングストローク型の風味を残しつつ、その実はスクエア型に限りなく近い特性を持ちます。「やっぱこう、どうせなら低回転で粘って高回転でキレ
(省略されました・・全てを読むには ここ を押してください)

このサイトにてN63B44C型のツインターボエンジンを搭載している車種は、2015/10から発売された6代目7シリーズ [7A44型|2016/05]となっており、NA車は0車種、ターボ/SC車は2車種の全2車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
N63B44のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷166.6PS → 449PS
トルクの変遷66.3kgm → 58.5kgm
リッター馬力102.2PS/L
リッタートルク15.1kgm/L

今回の参考車両である7シリーズのV型8気筒4394cc、圧縮比10.5でハイオクガソリン仕様のツインターボエンジンは、5500回転のとき最高出力449馬力を、5500回転のとき最大トルク66.3kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する1800回転での馬力は166.6PS、最高出力が発生する5500回転でのトルクは58.5kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は102.2PS/L、トルクは15.1kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積549.3cc)あたりの馬力は56.1PS、トルクは8.3kgmです。

N63B44型ツインターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 6 ]、換算トルクが[ 6 ]の「標準的な出力(中の上)のエンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
89.088.34394cc10.50.99
ボアアップによる排気量拡大
89.588.34444cc10.60.99
90.04494cc10.70.98
90.54544cc10.80.98
91.04594cc10.90.97
91.54645cc11.10.97
92.04696cc11.20.96
ストロークアップによる排気量拡大
89.089.34444cc10.61.00
90.34494cc10.71.01
91.34544cc10.81.03
92.34594cc10.91.04
93.34643cc11.01.05

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の89.0mmから0.5mm刻みで92.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の88.3mmから1mm刻みで93.3mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.99からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。N63B44型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.99から0.96に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

N63B44型エンジンのピストン径89.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが10件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
トヨタ
3UZ型
91.0mm
[+2.0mm]
4594cc
[+200cc]
ホンダ
JNC型
91.0mm
[+2.0mm]
4594cc
[+200cc]
三菱
6G72型
91.1mm
[+2.1mm]
4604cc
[+210cc]
三菱
4D56型
91.1mm
[+2.1mm]
4604cc
[+210cc]
三菱
G54B型
91.1mm
[+2.1mm]
4604cc
[+210cc]
スバル
EJ20型
92.0mm
[+3.0mm]
4696cc
[+302cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、トヨタ:UCF30型セルシオに搭載される3UZ型4292ccの91.0mm、ホンダ:NC1型NSXに搭載されるJNC型3492ccの91.0mm、三菱:Z16A型GTOに搭載される6G72型2972ccの91.1mm、三菱:PC5W型デリカ スペースギアに搭載される4D56型2476ccの91.1mm、三菱:A187A型スタリオンに搭載されるG54B型2555ccの91.1mm、スバル:BL5型レガシィB4に搭載されるEJ20型1994ccの92.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 4500ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 4500ccクラスのエンジン
ストロークが短い 4500ccクラスのエンジン
ストロークが長い 4500ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [4500ccクラス]
ボアストローク比・降順 [4500ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
1800rpm
最高出力
5500rpm
88.3mm5.3m/s16.2m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.9m/s21km/h
4000rpm11.8m/s42km/h
6000rpm17.7m/s64km/h
8000rpm23.5m/s85km/h
10000rpm29.4m/s106km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが88.3mmのエンジンが最高出力を発生する5500回転での平均ピストンスピードは16.2m/sとなり、これは1秒間に16.2メートル(時速にすると58.3km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する1800回転では5.3m/s、最高出力が発生する5500回転より500回転高い6000回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は17.7m/sとなっています。

参考までにストロークが88.3mmのN63B44型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.88m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6800回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


N63B44C型エンジンを搭載する車種の例

全2車種のうち、最高出力が大きいものから順に上位3車種を表示しています。その他の車種については、ページ下部にあるリンクよりN63B44型エンジン搭載車種の一覧をご覧ください。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
BMW
7A44
2016/05
7シリーズ
750i G11
[CBA-7A44]
449PS
66.3kgm
9.8km/L
4.610kg/PS
ターボ
FR/8AT
セダン
5人乗り

7シリーズ
[750i G11]
2016/05モデル
車両型式CBA-7A44
最高出力449PS
最大トルク66.3kgm
JC08モード燃費9.8km/L
パワーウェイト4.610kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機FR/8AT
車体形状&乗車定員セダン/5人乗り
BMW
7F44
2016/05
7シリーズ
750Li G12
[CBA-7F44]
449PS
66.3kgm
9.8km/L
4.766kg/PS
ターボ
FR/8AT
セダン
5人乗り

7シリーズ
[750Li G12]
2016/05モデル
車両型式CBA-7F44
最高出力449PS
最大トルク66.3kgm
JC08モード燃費9.8km/L
パワーウェイト4.766kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機FR/8AT
車体形状&乗車定員セダン/5人乗り
N63B44型エンジン搭載車種の一覧
パワーウェイトレシオ順|全21車種

その他のN63B44型エンジン型式と代表的な車種

N63B44A型
全7車種
BMW:5シリーズ セダン [550i N63B44A F10]
最高出力407PS/最大トルク61.2kgm
2010/03モデル
BMW
N63B44A型
全7車種
5シリーズ セダン
[550i N63B44A F10]
407PS/61.2kgm
N63B44B型
全6車種
BMW:7シリーズ [750Li F02]
最高出力450PS/最大トルク66.3kgm
2013/08モデル
BMW
N63B44B型
全6車種
7シリーズ
[750Li F02]
450PS/66.3kgm
N63B44D型
全4車種
BMW:8シリーズ クーペ [M850i xDrive G15]
最高出力530PS/最大トルク76.5kgm
2018/11モデル
BMW
N63B44D型
全4車種
8シリーズ クーペ
[M850i xDrive G15]
530PS/76.5kgm
N63B44A-K210型
全2車種
BMW:7シリーズ [Active-Hybrid7 F04]
最高出力449PS/最大トルク66.3kgm
2010/08モデル
BMW
N63B44A-K210型
全2車種
7シリーズ
[Active-Hybrid7 F04]
449PS/66.3kgm

BMW製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】