BMW:N55B30A-M230型エンジンの諸元と性能まとめ [直6+モーター 2979cc]

ここではBMWのYA30型・7シリーズ [Active-Hybrid7 F04|2013/08モデル] に搭載されているN55B30A-M230型のターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

N55B30A-M230型のターボエンジン諸元


YA30型 7シリーズ
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式DAA-YA30型
車名&グレード7シリーズ
Active-Hybrid7 F04
エンジン型式N55B30A-M230
種類直6+モーター
排気量2979cc
内径×行程84.0mm×89.6mm
ボアストローク比1.07
単気筒容積496.5cc
圧縮比10.0
吸気方式ターボ
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力320PS/5800rpm
最大トルク45.9kgm/1300-4500rpm

まず基本的な成り立ちとして、N55B30型エンジンはボア(内径)84.0mm、ストローク(行程)89.6mm、ボアストローク比1.07のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、N55B30A-M230型のターボエンジンを搭載する最も古い車種は、2010/03から発売された6代目5シリーズ セダン [FZ35型|2012/03]、最も新しい車種は2009/03から発売された5代目7シリーズ [YA30型|2013/08]となっており、NA車は0車種、ターボ/SC車は4車種の全4車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
N55B30のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷83.3PS → 320PS
トルクの変遷45.9kgm → 39.5kgm
リッター馬力107.4PS/L
リッタートルク15.4kgm/L

今回の参考車両である7シリーズの直6+モーター2979cc、圧縮比10.0でハイオクガソリン仕様のターボエンジンは、5800回転のとき最高出力320馬力を、5800回転のとき最大トルク45.9kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する1300回転での馬力は83.3PS、最高出力が発生する5800回転でのトルクは39.5kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は107.4PS/L、トルクは15.4kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積496.5cc)あたりの馬力は53.3PS、トルクは7.6kgmです。

N55B30型ターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 6 ]、換算トルクが[ 6 ]の「標準的な出力(中の上)のエンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、N55B30A-M230型エンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのはYA30型7シリーズの320PS/45.9kgm、最も小さかったのはFZ35型5シリーズ セダンの306PS/40.8kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
84.089.62979cc10.01.07
ボアアップによる排気量拡大
84.589.63015cc10.11.06
85.03051cc10.21.05
85.53087cc10.31.05
86.03123cc10.41.04
86.53159cc10.51.04
87.03196cc10.71.03
ストロークアップによる排気量拡大
84.090.63012cc10.11.08
91.63046cc10.21.09
92.63079cc10.31.10
93.63112cc10.41.11
94.63145cc10.51.13

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の84.0mmから0.5mm刻みで87.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の89.6mmから1mm刻みで94.6mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。N55B30型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.07から1.03に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

N55B30型エンジンのピストン径84.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが23件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
三菱
4G63型
85.0mm
[+1.0mm]
3051cc
[+72cc]
日産
VQ25型
85.0mm
[+1.0mm]
3051cc
[+72cc]
日産
RD28型
85.0mm
[+1.0mm]
3051cc
[+72cc]
三菱
G63B型
85.0mm
[+1.0mm]
3051cc
[+72cc]
レクサス
V35A型
85.5mm
[+1.5mm]
3087cc
[+108cc]
日産
SR20型
86.0mm
[+2.0mm]
3123cc
[+144cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、三菱:CT9A型ランサーエボリューションに搭載される4G63型1997ccの85.0mm、日産:NM35型ステージアに搭載されるVQ25型2495ccの85.0mm、日産:WYY61型サファリに搭載されるRD28型2825ccの85.0mm、三菱:P03W型デリカ スターワゴンに搭載されるG63B型1997ccの85.0mm、レクサス:VXFA50型LSに搭載されるV35A型3444ccの85.5mm、日産:PNT30型シルビアに搭載されるSR20型1998ccの86.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 3000ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 3000ccクラスのエンジン
ストロークが短い 3000ccクラスのエンジン
ストロークが長い 3000ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [3000ccクラス]
ボアストローク比・降順 [3000ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
1300rpm
最高出力
5800rpm
89.6mm3.9m/s17.3m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.0m/s22km/h
4000rpm11.9m/s43km/h
6000rpm17.9m/s64km/h
8000rpm23.9m/s86km/h
10000rpm29.9m/s108km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが89.6mmのエンジンが最高出力を発生する5800回転での平均ピストンスピードは17.3m/sとなり、これは1秒間に17.3メートル(時速にすると62.3km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する1300回転では3.9m/s、最高出力が発生する5800回転より500回転高い6300回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は18.8m/sとなっています。

参考までにストロークが89.6mmのN55B30型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.97m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6700回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


N55B30A-M230型エンジンを搭載する車種の例

全4車種のうち、最高出力が大きいものから順に上位3車種を表示しています。その他の車種については、ページ下部にあるリンクよりN55B30型エンジン搭載車種の一覧をご覧ください。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
BMW
YA30
2013/08
7シリーズ
Active-Hybrid7 F04
[DAA-YA30]
320PS
45.9kgm
14.2km/L
6.500kg/PS
ターボ
FR/8AT
セダン
5人乗り

7シリーズ
[Active-Hybrid7 F04]
2013/08モデル
車両型式DAA-YA30
最高出力320PS
最大トルク45.9kgm
JC08モード燃費14.2km/L
パワーウェイト6.500kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機FR/8AT
車体形状&乗車定員セダン/5人乗り
BMW
YE30
2013/08
7シリーズ
Active-Hybrid7L F04
[DAA-YE30]
320PS
45.9kgm
14.2km/L
6.690kg/PS
ターボ
FR/8AT
セダン
5人乗り

7シリーズ
[Active-Hybrid7L F04]
2013/08モデル
車両型式DAA-YE30
最高出力320PS
最大トルク45.9kgm
JC08モード燃費14.2km/L
パワーウェイト6.690kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機FR/8AT
車体形状&乗車定員セダン/5人乗り
BMW
FZ35
2012/03
5シリーズ セダン
ActiveHybrid5 F10
[DAA-FZ35]
306PS
40.8kgm
13.6km/L
6.410kg/PS
ターボ
FR/8AT
セダン
5人乗り

5シリーズ セダン
[ActiveHybrid5 F10]
2012/03モデル
車両型式DAA-FZ35
最高出力306PS
最大トルク40.8kgm
JC08モード燃費13.6km/L
10-15モード燃費14.6km/L
パワーウェイト6.410kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機FR/8AT
車体形状&乗車定員セダン/5人乗り
N55B30型エンジン搭載車種の一覧
パワーウェイトレシオ順|全37車種

その他のN55B30型エンジン型式と代表的な車種

N55B30A型
全33車種
BMW:M2 クーペ [BaseGrade]
最高出力370PS/最大トルク47.4kgm
2016/01モデル
BMW
N55B30A型
全33車種
M2 クーペ
[BaseGrade]
370PS/47.4kgm

BMW製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】