BMW:N54B30A型エンジンの諸元と性能まとめ [直列6気筒 2979cc]

ここではBMWのLM35型・Z4 [sDrive-35is E89|2010/05モデル] に搭載されているN54B30A型のツインターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

N54B30A型のツインターボエンジン諸元


LM35型 Z4
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式ABA-LM35型
車名&グレードZ4
sDrive-35is E89
エンジン型式N54B30A
種類直列6気筒
排気量2979cc
内径×行程84.0mm×89.6mm
ボアストローク比1.07
単気筒容積496.5cc
圧縮比10.2
吸気方式ツインターボ
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力340PS/5900rpm
最大トルク45.9kgm/1500rpm

まず基本的な成り立ちとして、N54B30型エンジンはボア(内径)84.0mm、ストローク(行程)89.6mm、ボアストローク比1.07のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、N54B30A型のツインターボエンジンを搭載する最も古い車種は、2005/04から発売された5代目3シリーズ ツーリング [UV35型|2008/10]、最も新しい車種は2009/03から発売された5代目7シリーズ [KA30型|2010/09]となっており、NA車は0車種、ターボ/SC車は7車種の全7車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
N54B30のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷96.1PS → 340PS
トルクの変遷45.9kgm → 41.3kgm
リッター馬力114.13PS/L
リッタートルク15.4kgm/L

今回の参考車両であるZ4の直列6気筒2979cc、圧縮比10.2でハイオクガソリン仕様のツインターボエンジンは、5900回転のとき最高出力340馬力を、5900回転のとき最大トルク45.9kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する1500回転での馬力は96.1PS、最高出力が発生する5900回転でのトルクは41.3kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は114.13PS/L、トルクは15.4kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積496.5cc)あたりの馬力は56.7PS、トルクは7.6kgmです。

N54B30型ツインターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 7 ]、換算トルクが[ 6 ]の「なかなかの高出力エンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、N54B30A型のターボ・SCエンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのはLM35型Z4の340PS/45.9kgm、最も小さかったのはDX35型3シリーズ カブリオレの306PS/40.8kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
84.089.62979cc10.21.07
ボアアップによる排気量拡大
84.589.63015cc10.31.06
85.03051cc10.41.05
85.53087cc10.51.05
86.03123cc10.61.04
86.53159cc10.81.04
87.03196cc10.91.03
ストロークアップによる排気量拡大
84.090.63012cc10.31.08
91.63046cc10.41.09
92.63079cc10.51.10
93.63112cc10.61.11
94.63145cc10.71.13

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の84.0mmから0.5mm刻みで87.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の89.6mmから1mm刻みで94.6mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。N54B30型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.07から1.03に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

N54B30型エンジンのピストン径84.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが25件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
三菱
4G63型
85.0mm
[+1.0mm]
3051cc
[+72cc]
日産
VQ25型
85.0mm
[+1.0mm]
3051cc
[+72cc]
日産
RD28型
85.0mm
[+1.0mm]
3051cc
[+72cc]
三菱
G63B型
85.0mm
[+1.0mm]
3051cc
[+72cc]
レクサス
V35A型
85.5mm
[+1.5mm]
3087cc
[+108cc]
日産
SR20型
86.0mm
[+2.0mm]
3123cc
[+144cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、三菱:E33A型ギャランに搭載される4G63型1997ccの85.0mm、日産:NM35型ステージアに搭載されるVQ25型2495ccの85.0mm、日産:WYY61型サファリに搭載されるRD28型2825ccの85.0mm、三菱:P03W型デリカ スターワゴンに搭載されるG63B型1997ccの85.0mm、レクサス:VXFA50型ランドクルーザー300に搭載されるV35A型3444ccの85.5mm、日産:PNT30型シルビアに搭載されるSR20型1998ccの86.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 3000ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 3000ccクラスのエンジン
ストロークが短い 3000ccクラスのエンジン
ストロークが長い 3000ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [3000ccクラス]
ボアストローク比・降順 [3000ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
1500rpm
最高出力
5900rpm
89.6mm4.5m/s17.6m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.0m/s22km/h
4000rpm11.9m/s43km/h
6000rpm17.9m/s64km/h
8000rpm23.9m/s86km/h
10000rpm29.9m/s108km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが89.6mmのエンジンが最高出力を発生する5900回転での平均ピストンスピードは17.6m/sとなり、これは1秒間に17.6メートル(時速にすると63.4km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する1500回転では4.5m/s、最高出力が発生する5900回転より500回転高い6400回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は19.1m/sとなっています。

参考までにストロークが89.6mmのN54B30型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.97m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6700回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


N54B30A型エンジンを搭載する車種の例

全7車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
BMW
LM35
2010/05
Z4
sDrive-35is E89
[ABA-LM35]
340PS
45.9kgm
10.0km/L
4.706kg/PS
ターボ
FR/7AT
オープンカー
2人乗り
車両型式:ABA-LM35

Z4
[sDrive-35is E89]
2010/05モデル
最高出力340PS
最大トルク45.9kgm
JC08モード燃費10.0km/L
10-15モード燃費9.9km/L
吸気方式ターボ
車体構成2人乗りオープンカー
FR/7AT
BMW
KA30
2010/09
7シリーズ
740i F01
[ABA-KA30]
326PS
45.9kgm
8.2km/L
6.074kg/PS
ターボ
FR/6AT
セダン
5人乗り
車両型式:ABA-KA30

7シリーズ
[740i F01]
2010/09モデル
最高出力326PS
最大トルク45.9kgm
JC08モード燃費8.2km/L
10-15モード燃費8.0km/L
吸気方式ターボ
車体構成5人乗りセダン
FR/6AT
BMW
KB30
2010/09
7シリーズ
740iL F02
[ABA-KB30]
326PS
45.9kgm
8.2km/L
6.227kg/PS
ターボ
FR/6AT
セダン
5人乗り
車両型式:ABA-KB30

7シリーズ
[740iL F02]
2010/09モデル
最高出力326PS
最大トルク45.9kgm
JC08モード燃費8.2km/L
10-15モード燃費8.0km/L
吸気方式ターボ
車体構成5人乗りセダン
FR/6AT
BMW
DX35
2008/11
3シリーズ カブリオレ
335i Cabriolet N55B30A E93
[ABA-DX35]
306PS
40.8kgm
9.8km/L
5.980kg/PS
ターボ
FR/7AT
オープンカー
4人乗り
車両型式:ABA-DX35

3シリーズ カブリオレ
[335i Cabriolet N55B30A E93]
2008/11モデル
最高出力306PS
最大トルク40.8kgm
JC08モード燃費9.8km/L
10-15モード燃費10.6km/L
吸気方式ターボ
車体構成4人乗りオープンカー
FR/7AT
BMW
LM30
2009/05
Z4
sDrive-35i E89
[ABA-LM30]
306PS
40.8kgm
9.7km/L
5.229kg/PS
ターボ
FR/7AT
オープンカー
2人乗り
車両型式:ABA-LM30

Z4
[sDrive-35i E89]
2009/05モデル
最高出力306PS
最大トルク40.8kgm
JC08モード燃費9.8km/L
10-15モード燃費9.7km/L
吸気方式ターボ
車体構成2人乗りオープンカー
FR/7AT
BMW
FG30
2009/11
X6
xDrive-35i N54B30A E71
[ABA-FG30]
306PS
40.8kgm
6.5km/L
7.353kg/PS
ターボ
4WD/6AT
SUV
4人乗り
車両型式:ABA-FG30

X6
[xDrive-35i N54B30A E71]
2009/11モデル
最高出力306PS
最大トルク40.8kgm
JC08モード燃費9.8km/L
10-15モード燃費6.5km/L
吸気方式ターボ
車体構成4人乗りSUV
4WD/6AT
BMW
UV35
2008/10
3シリーズ ツーリング
335i Touring N55B30A E91
[ABA-UV35]
306PS
40.8kgm
10.0km/L
5.556kg/PS
ターボ
FR/6AT
ワゴン
5人乗り
車両型式:ABA-UV35

3シリーズ ツーリング
[335i Touring N55B30A E91]
2008/10モデル
最高出力306PS
最大トルク40.8kgm
JC08モード燃費10.0km/L
10-15モード燃費9.9km/L
吸気方式ターボ
車体構成5人乗りワゴン
FR/6AT

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