BMW:M73B54型エンジンの諸元と性能まとめ [V型12気筒 5379cc]

ここではBMWのGJ50型・7シリーズ [750iL E38|2001/01モデル] に搭載されているM73B54型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

M73B54型の自然吸気エンジン諸元


GJ50型 7シリーズ
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式GH-GJ50型
車名&グレード7シリーズ
750iL E38
エンジン型式M73B54
種類V型12気筒
排気量5379cc
内径×行程85.0mm×79.0mm
ボアストローク比0.93
単気筒容積448.3cc
圧縮比10.0
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力326PS/5000rpm
最大トルク49.9kgm/3900rpm

まず基本的な成り立ちとして、M73B54型エンジンはボア(内径)85.0mm、ストローク(行程)79.0mm、ボアストローク比0.93のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
M73B54のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷271.7PS → 326PS
トルクの変遷49.9kgm → 46.7kgm
リッター馬力60.6PS/L
リッタートルク9.3kgm/L

今回の参考車両である7シリーズのV型12気筒5379cc、圧縮比10.0でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、5000回転のとき最高出力326馬力を、5000回転のとき最大トルク49.9kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する3900回転での馬力は271.7PS、最高出力が発生する5000回転でのトルクは46.7kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は60.6PS/L、トルクは9.3kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積448.3cc)あたりの馬力は27.2PS、トルクは4.2kgmです。

M73B54型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 4 ]、換算トルクが[ 5 ]の「やや控えめな出力のエンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
85.079.05379cc10.00.93
ボアアップによる排気量拡大
85.579.05443cc10.10.92
86.05507cc10.20.92
86.55571cc10.30.91
87.05635cc10.40.91
87.55700cc10.50.90
88.05766cc10.60.90
ストロークアップによる排気量拡大
85.080.05447cc10.10.94
81.05515cc10.20.95
82.05584cc10.30.96
83.05652cc10.50.98
84.05720cc10.60.99

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の85.0mmから0.5mm刻みで88.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の79.0mmから1mm刻みで84.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.93からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。M73B54型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.93から0.90に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

M73B54型エンジンのピストン径85.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが58件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
日産
SR20型
86.0mm
[+1.0mm]
5507cc
[+128cc]
トヨタ
3S型
86.0mm
[+1.0mm]
5507cc
[+128cc]
トヨタ
1JZ型
86.0mm
[+1.0mm]
5507cc
[+128cc]
日産
RB25型
86.0mm
[+1.0mm]
5507cc
[+128cc]
トヨタ
1AZ型
86.0mm
[+1.0mm]
5507cc
[+128cc]
トヨタ
2JZ型
86.0mm
[+1.0mm]
5507cc
[+128cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、日産:HP12型プリメーラに搭載されるSR20型1998ccの86.0mm、トヨタ:SXE10型ナディアに搭載される3S型1998ccの86.0mm、トヨタ:JZS171型クラウンに搭載される1JZ型2491ccの86.0mm、日産:GC35型ローレルに搭載されるRB25型2498ccの86.0mm、トヨタ:AZR60G型ヴォクシーに搭載される1AZ型1998ccの86.0mm、トヨタ:JZS177型クラウン マジェスタに搭載される2JZ型2997ccの86.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい クラスのエンジン
ピストン径が大きい クラスのエンジン
ストロークが短い クラスのエンジン
ストロークが長い クラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [クラス]
ボアストローク比・降順 [クラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
3900rpm
最高出力
5000rpm
79.0mm10.3m/s13.2m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.3m/s19km/h
4000rpm10.5m/s38km/h
6000rpm15.8m/s57km/h
8000rpm21.1m/s76km/h
10000rpm26.3m/s95km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが79.0mmのエンジンが最高出力を発生する5000回転での平均ピストンスピードは13.2m/sとなり、これは1秒間に13.2メートル(時速にすると47.5km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する3900回転では10.3m/s、最高出力が発生する5000回転より500回転高い5500回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は14.5m/sとなっています。

参考までにストロークが79.0mmのM73B54型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.25m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)7590回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


M73B54型エンジンを搭載する車種の例

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
BMW
GJ50
2001/01
7シリーズ
750iL E38
[GH-GJ50]
326PS
49.9kgm
5.9km/L
6.380kg/PS
自然吸気
FR/5AT
セダン
5人乗り

7シリーズ
[750iL E38]
2001/01モデル
車両型式GH-GJ50
最高出力326PS
最大トルク49.9kgm
10-15モード燃費5.9km/L
パワーウェイト6.380kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/5AT
車体形状&乗車定員セダン/5人乗り

BMW製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】