BMW:M60B40型エンジンの諸元と性能まとめ [V型8気筒 3981cc]

ここではBMWのHE40型・5シリーズ セダン [540i E34|1993/05モデル] に搭載されているM60B40型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

M60B40型の自然吸気エンジン諸元


HE40型 5シリーズ セダン
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式E-HE40型
車名&グレード5シリーズ セダン
540i E34
エンジン型式M60B40
種類V型8気筒
排気量3981cc
内径×行程89.0mm×80.0mm
ボアストローク比0.90
単気筒容積497.7cc
圧縮比10.0
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力286PS/5800rpm
最大トルク40.8kgm/4500rpm

まず基本的な成り立ちとして、M60B40型エンジンはボア(内径)89.0mm、ストローク(行程)80.0mm、ボアストローク比0.90のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、M60B40型の自然吸気エンジンを搭載する最も古い車種は、1987/11から発売された2代目7シリーズ [GD40L型|1992/11]、最も新しい車種は1990/03から発売された初代8シリーズ [E40型|1996/02]となっており、NA車は6車種、ターボ/SC車は0車種の全6車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
M60B40のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷256.3PS → 286PS
トルクの変遷40.8kgm → 35.3kgm
リッター馬力71.8PS/L
リッタートルク10.2kgm/L

今回の参考車両である5シリーズ セダンのV型8気筒3981cc、圧縮比10.0でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、5800回転のとき最高出力286馬力を、5800回転のとき最大トルク40.8kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する4500回転での馬力は256.3PS、最高出力が発生する5800回転でのトルクは35.3kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は71.8PS/L、トルクは10.2kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積497.7cc)あたりの馬力は35.8PS、トルクは5.1kgmです。

M60B40型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 5 ]、換算トルクが[ 8 ]の「標準的な出力(中の下)のエンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
89.080.03981cc10.00.90
ボアアップによる排気量拡大
89.580.04026cc10.10.89
90.04071cc10.20.89
90.54117cc10.30.88
91.04162cc10.40.88
91.54208cc10.50.87
92.04254cc10.60.87
ストロークアップによる排気量拡大
89.081.04031cc10.10.91
82.04081cc10.20.92
83.04131cc10.30.93
84.04180cc10.50.94
85.04230cc10.60.96

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の89.0mmから0.5mm刻みで92.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の80.0mmから1mm刻みで85.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.90からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。M60B40型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.90から0.87に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

M60B40型エンジンのピストン径89.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが21件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
レクサス
2AR型
90.0mm
[+1.0mm]
4071cc
[+90cc]
マツダ
JE型
90.0mm
[+1.0mm]
4071cc
[+90cc]
ホンダ
C30A型
90.0mm
[+1.0mm]
4071cc
[+90cc]
ホンダ
C32A型
90.0mm
[+1.0mm]
4071cc
[+90cc]
ホンダ
J37A型
90.0mm
[+1.0mm]
4071cc
[+90cc]
トヨタ
T2型
90.0mm
[+1.0mm]
4071cc
[+90cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、レクサス:AGH30W型クラウン ハイブリッドに搭載される2AR型2493ccの90.0mm、マツダ:HEEA型ルーチェに搭載されるJE型2954ccの90.0mm、ホンダ:NA1型NSXに搭載されるC30A型2977ccの90.0mm、ホンダ:KA8型レジェンド クーペに搭載されるC32A型3206ccの90.0mm、ホンダ:KB2型レジェンドに搭載されるJ37A型3664ccの90.0mm、トヨタ:TJG00型キャバリエに搭載されるT2型2392ccの90.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 4000ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 4000ccクラスのエンジン
ストロークが短い 4000ccクラスのエンジン
ストロークが長い 4000ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [4000ccクラス]
ボアストローク比・降順 [4000ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
4500rpm
最高出力
5800rpm
80.0mm12.0m/s15.5m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.3m/s19km/h
4000rpm10.7m/s39km/h
6000rpm16.0m/s58km/h
8000rpm21.3m/s77km/h
10000rpm26.7m/s96km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが80.0mmのエンジンが最高出力を発生する5800回転での平均ピストンスピードは15.5m/sとなり、これは1秒間に15.5メートル(時速にすると55.8km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する4500回転では12.0m/s、最高出力が発生する5800回転より500回転高い6300回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は16.8m/sとなっています。

参考までにストロークが80.0mmのM60B40型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.35m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)7500回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


M60B40型エンジンを搭載する車種の例

全6車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
BMW
HE40
1993/05
5シリーズ セダン
540i E34
[E-HE40]
286PS
40.8kgm
6.2km/L
5.91kg/PS
自然吸気
FR/5AT
セダン
5人乗り

5シリーズ セダン
[540i E34]
1993/05モデル
車両型式E-HE40
最高出力286PS
最大トルク40.8kgm
10-15モード燃費6.2km/L
パワーウェイト5.91kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/5AT
車体形状&乗車定員セダン/5人乗り
BMW
GD40L
1992/11
7シリーズ
740iL E32
[E-GD40L]
286PS
40.8kgm
5.5km/L
6.36kg/PS
自然吸気
FR/5AT
セダン
5人乗り

7シリーズ
[740iL E32]
1992/11モデル
車両型式E-GD40L
最高出力286PS
最大トルク40.8kgm
10-15モード燃費5.5km/L
パワーウェイト6.36kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/5AT
車体形状&乗車定員セダン/5人乗り
BMW
GD40
1992/11
7シリーズ
740i E32
[E-GD40]
286PS
40.8kgm
5.5km/L
6.22kg/PS
自然吸気
FR/5AT
セダン
5人乗り

7シリーズ
[740i E32]
1992/11モデル
車両型式E-GD40
最高出力286PS
最大トルク40.8kgm
10-15モード燃費5.5km/L
パワーウェイト6.22kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/5AT
車体形状&乗車定員セダン/5人乗り
BMW
HE40
1994/04
5シリーズ ツーリング
540i Touring E34
[E-HE40]
286PS
40.8kgm
6.2km/L
6.22kg/PS
自然吸気
FR/5AT
ワゴン
5人乗り

5シリーズ ツーリング
[540i Touring E34]
1994/04モデル
車両型式E-HE40
最高出力286PS
最大トルク40.8kgm
10-15モード燃費6.2km/L
パワーウェイト6.22kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/5AT
車体形状&乗車定員ワゴン/5人乗り
BMW
GF40
1994/10
7シリーズ
740i 40-8S E38
[E-GF40]
286PS
40.0kgm
5.5km/L
6.61kg/PS
自然吸気
FR/5AT
セダン
5人乗り

7シリーズ
[740i 40-8S E38]
1994/10モデル
車両型式E-GF40
最高出力286PS
最大トルク40.0kgm
10-15モード燃費5.5km/L
パワーウェイト6.61kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/5AT
車体形状&乗車定員セダン/5人乗り
BMW
E40
1996/02
8シリーズ
840Ci 40-8S E31
[E-E40]
286PS
40.8kgm
-
6.50kg/PS
自然吸気
FR/5AT
クーペ
4人乗り

8シリーズ
[840Ci 40-8S E31]
1996/02モデル
車両型式E-E40
最高出力286PS
最大トルク40.8kgm
10-15モード燃費5.5km/L
パワーウェイト6.50kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/5AT
車体形状&乗車定員クーペ/4人乗り

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