BMW:M52B28型エンジンの諸元と性能まとめ [直列6気筒 2793cc]

ここではBMWのCK28型・Z3クーペ [2.8 E36/8|1999/11モデル] に搭載されているM52B28型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

M52B28型の自然吸気エンジン諸元


CK28型 Z3クーペ
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式GF-CK28型
車名&グレードZ3クーペ
2.8 E36/8
エンジン型式M52B28
種類直列6気筒
排気量2793cc
内径×行程84.0mm×84.0mm
ボアストローク比1.00
単気筒容積465.5cc
圧縮比10.2
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力193PS/5500rpm
最大トルク28.5kgm/3500rpm

まず基本的な成り立ちとして、M52B28型エンジンはボア(内径)84.0mm、ストローク(行程)84.0mm、ボアストローク比1.00のスクエア型エンジン(ピストン径とストローク量が同一)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型とショートストローク型の美点の良いとこ取り、若しくは欠点の悪いとこ取り、特にこれと言ってどうとも言えないバランス型の万能エンジンとなる素質があります。

数多あるボアとストロークの組み合わせの中で唯一、双方が同じ寸法のときにだけ現れるスクエア型はその存在の希少性こそが最大の魅力であると言えましょう。

このサイトにて登録されている車種のうち、M52B28型の自然吸気エンジンを搭載する最も古い車種は、1991/07から発売された3代目3シリーズ クーペ [CD28型|1995/08]、最も新しい車種は1998/07から発売された4代目3シリーズ ツーリング [AM28型|2000/08]となっており、NA車は10車種、ターボ/SC車は0車種の全10車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
M52B28のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷139.3PS → 193PS
トルクの変遷28.5kgm → 25.1kgm
リッター馬力69.1PS/L
リッタートルク10.2kgm/L

今回の参考車両であるZ3クーペの直列6気筒2793cc、圧縮比10.2でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、5500回転のとき最高出力193馬力を、5500回転のとき最大トルク28.5kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する3500回転での馬力は139.3PS、最高出力が発生する5500回転でのトルクは25.1kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は69.1PS/L、トルクは10.2kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積465.5cc)あたりの馬力は32.2PS、トルクは4.8kgmです。

M52B28型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 5 ]、換算トルクが[ 8 ]の「標準的な出力(中の下)のエンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、M52B28型のターボ・SCエンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのはCK28型Z3クーペの193PS/28.5kgm、最も小さかったのはCD28型3シリーズ セダンの190PS/28.5kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
84.084.02793cc10.21.00
ボアアップによる排気量拡大
84.584.02826cc10.30.99
85.02860cc10.40.99
85.52894cc10.50.98
86.02928cc10.60.98
86.52962cc10.80.97
87.02996cc10.90.97
ストロークアップによる排気量拡大
84.085.02826cc10.31.01
86.02859cc10.41.02
87.02893cc10.51.04
88.02926cc10.61.05
89.02959cc10.71.06

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の84.0mmから0.5mm刻みで87.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の84.0mmから1mm刻みで89.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと1.00のスクエア型からショートストローク型へとシフトしていきます。M52B28型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.00から0.97に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

M52B28型エンジンのピストン径84.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが56件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
マツダ
YF型
84.8mm
[+0.8mm]
2846cc
[+53cc]
三菱
4G63型
85.0mm
[+1.0mm]
2860cc
[+67cc]
日産
VQ25型
85.0mm
[+1.0mm]
2860cc
[+67cc]
スバル
EJ15型
85.0mm
[+1.0mm]
2860cc
[+67cc]
ホンダ
F20B型
85.0mm
[+1.0mm]
2860cc
[+67cc]
ホンダ
F22B型
85.0mm
[+1.0mm]
2860cc
[+67cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、マツダ:EPEW型トリビュートに搭載されるYF型1988ccの84.8mm、三菱:CT9A型ランサーエボリューションに搭載される4G63型1997ccの85.0mm、日産:M35型プラウディアに搭載されるVQ25型2495ccの85.0mm、スバル:GG2型インプレッサ スポーツワゴンに搭載されるEJ15型1493ccの85.0mm、ホンダ:CJ3型トルネオに搭載されるF20B型1997ccの85.0mm、ホンダ:BB7型プレリュードに搭載されるF22B型2156ccの85.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 3000ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 3000ccクラスのエンジン
ストロークが短い 3000ccクラスのエンジン
ストロークが長い 3000ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [3000ccクラス]
ボアストローク比・降順 [3000ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
3500rpm
最高出力
5500rpm
84.0mm9.8m/s15.4m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.6m/s20km/h
4000rpm11.2m/s40km/h
6000rpm16.8m/s60km/h
8000rpm22.4m/s81km/h
10000rpm28.0m/s101km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが84.0mmのエンジンが最高出力を発生する5500回転での平均ピストンスピードは15.4m/sとなり、これは1秒間に15.4メートル(時速にすると55.4km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する3500回転では9.8m/s、最高出力が発生する5500回転より500回転高い6000回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は16.8m/sとなっています。

参考までにストロークが84.0mmのM52B28型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.60m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)7140回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


M52B28型エンジンを搭載する車種の例

全10車種のうち、最高出力が大きいものから順に上位3車種を表示しています。その他の車種については、ページ下部にあるリンクよりM52B28型エンジン搭載車種の一覧をご覧ください。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
BMW
CK28
1999/11
Z3クーペ
2.8 E36/8
[GF-CK28]
193PS
28.5kgm
-
6.943kg/PS
自然吸気
FR/4AT
クーペ
2人乗り

Z3クーペ
[2.8 E36/8]
1999/11モデル
車両型式GF-CK28
最高出力193PS
最大トルク28.5kgm
パワーウェイト6.943kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/4AT
車体形状&乗車定員クーペ/2人乗り
BMW
DM28
1999/08
5シリーズ セダン
528i M-sport E39
[GF-DM28]
193PS
28.5kgm
7.9km/L
8.238kg/PS
自然吸気
FR/5AT
セダン
5人乗り

5シリーズ セダン
[528i M-sport E39]
1999/08モデル
車両型式GF-DM28
最高出力193PS
最大トルク28.5kgm
10-15モード燃費7.9km/L
パワーウェイト8.238kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/5AT
車体形状&乗車定員セダン/5人乗り
BMW
CH28
1999/11
Z3ロードスター
2.8 E36/7
[GF-CH28]
193PS
28.5kgm
8.5km/L
6.891kg/PS
自然吸気
FR/4AT
オープンカー
2人乗り

Z3ロードスター
[2.8 E36/7]
1999/11モデル
車両型式GF-CH28
最高出力193PS
最大トルク28.5kgm
10-15モード燃費8.5km/L
パワーウェイト6.891kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/4AT
車体形状&乗車定員オープンカー/2人乗り
M52B28型エンジン搭載車種の一覧
パワーウェイトレシオ順|全10車種

BMW製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】