BMW:B48A20B型エンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 1998cc]

ここではBMWのHS20型・X1 [xDrive 25i xLine F48|2015/10モデル] に搭載されているB48A20B型のターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

B48A20B型のターボエンジン諸元


HS20型 X1
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式DBA-HS20型
車名&グレードX1
xDrive 25i xLine F48
エンジン型式B48A20B
種類直列4気筒
排気量1998cc
内径×行程82.0mm×94.6mm
ボアストローク比1.15
単気筒容積499.6cc
圧縮比10.2
吸気方式ターボ
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力231PS/5000rpm
最大トルク35.7kgm/1250-4500rpm

まず基本的な成り立ちとして、B48A20型エンジンはボア(内径)82.0mm、ストローク(行程)94.6mm、ボアストローク比1.15のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、B48A20B型のターボエンジンを搭載する最も古い車種は、2014/02から発売された初代2シリーズ アクティブツアラー [2A20型|2014/02]、最も新しい車種は2015/10から発売された2代目X1 [AB20型|2019/10]となっており、NA車は0車種、ターボ/SC車は3車種の全3車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
B48A20のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷62.3PS → 231PS
トルクの変遷35.7kgm → 33.1kgm
リッター馬力115.62PS/L
リッタートルク17.9kgm/L

今回の参考車両であるX1の直列4気筒1998cc、圧縮比10.2でハイオクガソリン仕様のターボエンジンは、5000回転のとき最高出力231馬力を、5000回転のとき最大トルク35.7kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する1250回転での馬力は62.3PS、最高出力が発生する5000回転でのトルクは33.1kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は115.62PS/L、トルクは17.9kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積499.6cc)あたりの馬力は57.8PS、トルクは8.9kgmです。

B48A20型ターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 7 ]、換算トルクが[ 8 ]の「なかなかの高出力エンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
82.094.61998cc10.21.15
ボアアップによる排気量拡大
82.594.62023cc10.31.15
83.02047cc10.41.14
83.52072cc10.51.13
84.02097cc10.71.13
84.52122cc10.81.12
85.02147cc10.91.11
ストロークアップによる排気量拡大
82.095.62019cc10.31.17
96.62041cc10.41.18
97.62062cc10.51.19
98.62083cc10.61.20
99.62104cc10.71.21

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の82.0mmから0.5mm刻みで85.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の94.6mmから1mm刻みで99.6mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。B48A20型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.15から1.11に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

B48A20型エンジンのピストン径82.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが14件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
三菱
4D68型
82.7mm
[+0.7mm]
2033cc
[+35cc]
日産
m274型
83.0mm
[+1.0mm]
2047cc
[+49cc]
マツダ
BP型
83.0mm
[+1.0mm]
2047cc
[+49cc]
日産
CA18型
83.0mm
[+1.0mm]
2047cc
[+49cc]
トヨタ
7M型
83.0mm
[+1.0mm]
2047cc
[+49cc]
日産
274930型
83.0mm
[+1.0mm]
2047cc
[+49cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、三菱:N28WG型RVRに搭載される4D68型1998ccの82.7mm、日産:YV37型スカイラインに搭載されるm274型1991ccの83.0mm、マツダ:NB8C型ロードスターに搭載されるBP型1839ccの83.0mm、日産:S13型シルビアに搭載されるCA18型1809ccの83.0mm、トヨタ:MZ20型ソアラに搭載される7M型2954ccの83.0mm、日産:ZV37型スカイラインに搭載される274930型1991ccの83.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 2000ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 2000ccクラスのエンジン
ストロークが短い 2000ccクラスのエンジン
ストロークが長い 2000ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [2000ccクラス]
ボアストローク比・降順 [2000ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
1250rpm
最高出力
5000rpm
94.6mm3.9m/s15.8m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.3m/s23km/h
4000rpm12.6m/s45km/h
6000rpm18.9m/s68km/h
8000rpm25.2m/s91km/h
10000rpm31.5m/s113km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが94.6mmのエンジンが最高出力を発生する5000回転での平均ピストンスピードは15.8m/sとなり、これは1秒間に15.8メートル(時速にすると56.9km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する1250回転では3.9m/s、最高出力が発生する5000回転より500回転高い5500回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は17.3m/sとなっています。

参考までにストロークが94.6mmのB48A20型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.30m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6340回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


B48A20B型エンジンを搭載する車種の例

全3車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
BMW
2A20
2014/02
2シリーズ アクティブツアラー
225i xDrive M-Sport F45
[DBA-2A20]
231PS
35.6kgm
14.6km/L
6.926kg/PS
ターボ
4WD/8AT
ハッチバック
5人乗り
車両型式:DBA-2A20

2シリーズ アクティブツアラー
[225i xDrive M-Sport F45]
2014/02モデル
最高出力231PS
最大トルク35.6kgm
JC08モード燃費14.6km/L
吸気方式ターボ
車体構成5人乗りハッチバック
4WD/8AT
BMW
HS20
2015/10
X1
xDrive 25i xLine F48
[DBA-HS20]
231PS
35.7kgm
14.3km/L
7.186kg/PS
ターボ
4WD/8AT
SUV
5人乗り
車両型式:DBA-HS20

X1
[xDrive 25i xLine F48]
2015/10モデル
最高出力231PS
最大トルク35.7kgm
JC08モード燃費14.3km/L
吸気方式ターボ
車体構成5人乗りSUV
4WD/8AT
BMW
AB20
2019/10
X1
xDrive25i F48
[3BA-AB20]
231PS
35.7kgm
11.4km/L
7.229kg/PS
ターボ
4WD/8AT
SUV
5人乗り
車両型式:3BA-AB20

X1
[xDrive25i F48]
2019/10モデル
最高出力231PS
最大トルク35.7kgm
WLTCモード燃費11.4km/L
JC08モード燃費14.3km/L
吸気方式ターボ
車体構成5人乗りSUV
4WD/8AT

その他のB48A20型エンジン型式と代表的な車種

B48A20A型
全4車種
BMW:2シリーズ グランツアラー [220i Sport]
最高出力192PS/最大トルク28.6kgm
2015/06モデル
BMW
B48A20A型
全4車種
2シリーズ グランツアラー
[220i Sport]
192PS/28.6kgm
B48A20E型
全4車種
BMW:1シリーズ [M135i xDrive F40]
最高出力306PS/最大トルク45.9kgm
2019/11モデル
BMW
B48A20E型
全4車種
1シリーズ
[M135i xDrive F40]
306PS/45.9kgm
B48A20F型
全3車種
MINI:ミニ クラブマン [Cooper-S ALL4 F54]
最高出力192PS/最大トルク28.6kgm
2023/07モデル

B48A20F型
全3車種
ミニ クラブマン
[Cooper-S ALL4 F54]
192PS/28.6kgm
B48A20B型
全2車種
MINI:ミニ JCW [John Cooper Works F56]
最高出力231PS/最大トルク32.6kgm
2023/04モデル
MINI
B48A20B型
全2車種
ミニ JCW
[John Cooper Works F56]
231PS/32.6kgm
B48A20E型
全2車種
MINI:ミニ クラブマン JCW [John Cooper Works F54]
最高出力306PS/最大トルク45.9kgm
2023/04モデル
MINI
B48A20E型
全2車種
ミニ クラブマン JCW
[John Cooper Works F54]
306PS/45.9kgm
B48A20A型
全2車種
MINI:ミニ [Cooper-S 3door F56]
最高出力192PS/最大トルク28.6kgm
2023/07モデル
MINI
B48A20A型
全2車種
ミニ
[Cooper-S 3door F56]
192PS/28.6kgm

BMW製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】