アウディ:DHU型エンジンの諸元と性能まとめ [V8+モーター 3996cc]

ここではアウディのF1DHUA型・RS Q8 [BaseGrade|2021/02モデル] に搭載されているDHU型のターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

DHU型のターボエンジン諸元


F1DHUA型 RS Q8
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式3AA-F1DHUA型
車名&グレードRS Q8
BaseGrade
エンジン型式DHU
種類V8+モーター
排気量3996cc
内径×行程86.0mm×86.0mm
ボアストローク比1.00
単気筒容積499.5cc
圧縮比9.7
吸気方式ターボ
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力600PS/6000rpm
最大トルク81.6kgm/2200-4500rpm

まず基本的な成り立ちとして、DHU型エンジンはボア(内径)86.0mm、ストローク(行程)86.0mm、ボアストローク比1.00のスクエア型エンジン(ピストン径とストローク量が同一)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型とショートストローク型の美点の良いとこ取り、若しくは欠点の悪いとこ取り、特にこれと言ってどうとも言えないバランス型の万能エンジンとなる素質があります。

数多あるボアとストロークの組み合わせの中で唯一、双方が同じ寸法のときにだけ現れるスクエア型はその存在の希少性こそが最大の魅力であると言えましょう。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
DHUのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷250.6PS → 600PS
トルクの変遷81.6kgm → 71.6kgm
リッター馬力150.20PS/L
リッタートルク20.4kgm/L

今回の参考車両であるRS Q8のV8+モーター3996cc、圧縮比9.7でハイオクガソリン仕様のターボエンジンは、6000回転のとき最高出力600馬力を、6000回転のとき最大トルク81.6kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する2200回転での馬力は250.6PS、最高出力が発生する6000回転でのトルクは71.6kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は150.20PS/L、トルクは20.4kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積499.5cc)あたりの馬力は75.0PS、トルクは10.2kgmです。

DHU型ターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 10 ]、換算トルクが[ 10 ]の「稀に見る高出力エンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
86.086.03996cc9.71.00
ボアアップによる排気量拡大
86.586.04043cc9.80.99
87.04090cc9.90.99
87.54137cc10.00.98
88.04184cc10.10.98
88.54232cc10.20.97
89.04280cc10.30.97
ストロークアップによる排気量拡大
86.087.04043cc9.81.01
88.04089cc9.91.02
89.04136cc10.01.03
90.04182cc10.11.05
91.04229cc10.21.06

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の86.0mmから0.5mm刻みで89.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の86.0mmから1mm刻みで91.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと1.00のスクエア型からショートストローク型へとシフトしていきます。DHU型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.00から0.97に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

DHU型エンジンのピストン径86.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが8件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
日産
VG30型
87.0mm
[+1.0mm]
4090cc
[+94cc]
日産
RB-X GT2型
87.0mm
[+1.0mm]
4090cc
[+94cc]
マツダ
L3型
87.5mm
[+1.5mm]
4137cc
[+141cc]
トヨタ
G16E型
87.5mm
[+1.5mm]
4137cc
[+141cc]
レクサス
T24A型
87.5mm
[+1.5mm]
4137cc
[+141cc]
いすゞ
4ZC1型
88.0mm
[+2.0mm]
4184cc
[+188cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、日産:GCZ32型フェアレディZに搭載されるVG30型2960ccの87.0mm、日産:BCNR33型スカイラインGT-Rに搭載されるRB-X GT2型2771ccの87.0mm、マツダ:GG3P型マツダスピード アテンザに搭載されるL3型2260ccの87.5mm、トヨタ:GXPA16型GRMN ヤリスに搭載されるG16E型1618ccの87.5mm、レクサス:TAZA25型NXに搭載されるT24A型2393ccの87.5mm、いすゞ:JR120型ピアッツァに搭載される4ZC1型1994ccの88.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 4000ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 4000ccクラスのエンジン
ストロークが短い 4000ccクラスのエンジン
ストロークが長い 4000ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [4000ccクラス]
ボアストローク比・降順 [4000ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
2200rpm
最高出力
6000rpm
86.0mm6.3m/s17.2m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.7m/s21km/h
4000rpm11.5m/s41km/h
6000rpm17.2m/s62km/h
8000rpm22.9m/s82km/h
10000rpm28.7m/s103km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが86.0mmのエンジンが最高出力を発生する6000回転での平均ピストンスピードは17.2m/sとなり、これは1秒間に17.2メートル(時速にすると61.9km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する2200回転では6.3m/s、最高出力が発生する6000回転より500回転高い6500回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は18.6m/sとなっています。

参考までにストロークが86.0mmのDHU型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.75m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6980回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


DHU型エンジンを搭載する車種の例

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
アウディ
F1DHUA
2021/02
RS Q8
BaseGrade
[3AA-F1DHUA]
600PS
81.6kgm
7.1km/L
4.017kg/PS
ターボ
4WD/8AT
SUV
5人乗り
車両型式:3AA-F1DHUA

RS Q8
[BaseGrade]
2021/02モデル
最高出力600PS
最大トルク81.6kgm
WLTCモード燃費7.1km/L
吸気方式ターボ
車体構成5人乗りSUV
4WD/8AT

アウディ製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】