アウディ:CTP型エンジンの諸元と性能まとめ [V型10気筒 5204cc]

ここではアウディの42CTPF型・R8 [LMX|2014/10モデル] に搭載されているCTP型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

CTP型の自然吸気エンジン諸元


42CTPF型 R8
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式ABA-42CTPF型
車名&グレードR8
LMX
エンジン型式CTP
種類V型10気筒
排気量5204cc
内径×行程84.5mm×92.8mm
ボアストローク比1.10
単気筒容積520.4cc
圧縮比12.5
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力570PS/8000rpm
最大トルク55.0kgm/6500rpm

まず基本的な成り立ちとして、CTP型エンジンはボア(内径)84.5mm、ストローク(行程)92.8mm、ボアストローク比1.10のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
CTPのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷499.1PS → 570PS
トルクの変遷55.0kgm → 51.0kgm
リッター馬力109.5PS/L
リッタートルク10.6kgm/L

今回の参考車両であるR8のV型10気筒5204cc、圧縮比12.5でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、8000回転のとき最高出力570馬力を、8000回転のとき最大トルク55.0kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する6500回転での馬力は499.1PS、最高出力が発生する8000回転でのトルクは51.0kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は109.5PS/L、トルクは10.6kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積520.4cc)あたりの馬力は57.0PS、トルクは5.5kgmです。

CTP型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 10 ]、換算トルクが[ 9 ]の「稀に見る高出力エンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
84.592.85204cc12.51.10
ボアアップによる排気量拡大
85.092.85266cc12.61.09
85.55328cc12.81.09
86.05390cc12.91.08
86.55453cc13.01.07
87.05516cc13.21.07
87.55580cc13.31.06
ストロークアップによる排気量拡大
84.593.85260cc12.61.11
94.85316cc12.71.12
95.85372cc12.91.13
96.85428cc13.01.15
97.85484cc13.11.16

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の84.5mmから0.5mm刻みで87.5mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の92.8mmから1mm刻みで97.8mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。CTP型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.10から1.06に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

CTP型エンジンのピストン径84.5mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが51件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
日産
SR20型
86.0mm
[+1.5mm]
5390cc
[+186cc]
トヨタ
3S型
86.0mm
[+1.5mm]
5390cc
[+186cc]
トヨタ
1JZ型
86.0mm
[+1.5mm]
5390cc
[+186cc]
日産
RB25型
86.0mm
[+1.5mm]
5390cc
[+186cc]
トヨタ
1AZ型
86.0mm
[+1.5mm]
5390cc
[+186cc]
トヨタ
2JZ型
86.0mm
[+1.5mm]
5390cc
[+186cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、日産:HP12型プリメーラに搭載されるSR20型1998ccの86.0mm、トヨタ:SXE10型ナディアに搭載される3S型1998ccの86.0mm、トヨタ:JZS171型クラウンに搭載される1JZ型2491ccの86.0mm、日産:GC35型ローレルに搭載されるRB25型2498ccの86.0mm、トヨタ:AZR60G型ヴォクシーに搭載される1AZ型1998ccの86.0mm、トヨタ:JZS177型クラウン マジェスタに搭載される2JZ型2997ccの86.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい クラスのエンジン
ピストン径が大きい クラスのエンジン
ストロークが短い クラスのエンジン
ストロークが長い クラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [クラス]
ボアストローク比・降順 [クラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
6500rpm
最高出力
8000rpm
92.8mm20.1m/s24.7m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.2m/s22km/h
4000rpm12.4m/s45km/h
6000rpm18.6m/s67km/h
8000rpm24.7m/s89km/h
10000rpm30.9m/s111km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが92.8mmのエンジンが最高出力を発生する8000回転での平均ピストンスピードは24.7m/sとなり、これは1秒間に24.7メートル(時速にすると88.9km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する6500回転では20.1m/s、最高出力が発生する8000回転より500回転高い8500回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は26.3m/sとなっています。

参考までにストロークが92.8mmのCTP型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.17m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、6470回転くらいが良い感じの回転数になるのではないかと思いますが、このエンジンは最高出力を発生している時点で既に20.0m/sを超えており、レブリミットを考慮するともう少し余分に(300~500回転?)回ることから、内部では大変なことになりながらも頑張って回っているエンジンです。


CTP型エンジンを搭載する車種の例

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
アウディ
42CTPF
2014/10
R8
LMX
[ABA-42CTPF]
570PS
55.0kgm
-
2.930kg/PS
自然吸気
4WD/7AT
クーペ
2人乗り

R8
[LMX]
2014/10モデル
車両型式ABA-42CTPF
最高出力570PS
最大トルク55.0kgm
パワーウェイト2.930kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機4WD/7AT
車体形状&乗車定員クーペ/2人乗り

アウディ製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】