アウディ:CAL型エンジンの諸元と性能まとめ [V型6気筒 3196cc]

ここではアウディの8RCALF型・Q5 [3.2FSI-Quattro|2011/07モデル] に搭載されているCAL型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

CAL型の自然吸気エンジン諸元


8RCALF型 Q5
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式ABA-8RCALF型
車名&グレードQ5
3.2FSI-Quattro
エンジン型式CAL
種類V型6気筒
排気量3196cc
内径×行程85.5mm×92.8mm
ボアストローク比1.08
単気筒容積532.8cc
圧縮比12.5
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力270PS/6500rpm
最大トルク33.7kgm/3000-5000rpm

まず基本的な成り立ちとして、CAL型エンジンはボア(内径)85.5mm、ストローク(行程)92.8mm、ボアストローク比1.08のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、CAL型の自然吸気エンジンを搭載する最も古い車種は、2008/03から発売された4代目A4 セダン [8KCALF型|2009/08]、最も新しい車種は2009/06から発売された初代Q5 [8RCALF型|2011/07]となっており、NA車は5車種、ターボ/SC車は0車種の全5車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
CALのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷141.1PS → 270PS
トルクの変遷33.7kgm → 29.8kgm
リッター馬力84.48PS/L
リッタートルク10.5kgm/L

今回の参考車両であるQ5のV型6気筒3196cc、圧縮比12.5でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、6500回転のとき最高出力270馬力を、6500回転のとき最大トルク33.7kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する3000回転での馬力は141.1PS、最高出力が発生する6500回転でのトルクは29.8kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は84.48PS/L、トルクは10.5kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積532.8cc)あたりの馬力は45.0PS、トルクは5.6kgmです。

CAL型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 8 ]、換算トルクが[ 8 ]の「結構な高出力エンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、CAL型のターボ・SCエンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのは8RCALF型Q5の270PS/33.7kgm、最も小さかったのは8TCALF型A5 クーペの265PS/33.7kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
85.592.83196cc12.51.08
ボアアップによる排気量拡大
86.092.83234cc12.61.08
86.53272cc12.81.07
87.03310cc12.91.07
87.53348cc13.11.06
88.03386cc13.21.05
88.53425cc13.31.05
ストロークアップによる排気量拡大
85.593.83231cc12.61.10
94.83266cc12.71.11
95.83300cc12.91.12
96.83335cc13.01.13
97.83369cc13.11.14

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の85.5mmから0.5mm刻みで88.5mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の92.8mmから1mm刻みで97.8mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。CAL型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.08から1.05に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

CAL型エンジンのピストン径85.5mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが30件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
三菱
4G64型
86.5mm
[+1.0mm]
3272cc
[+76cc]
ホンダ
K24A型
87.0mm
[+1.5mm]
3310cc
[+114cc]
日産
VG30型
87.0mm
[+1.5mm]
3310cc
[+114cc]
トヨタ
5S型
87.0mm
[+1.5mm]
3310cc
[+114cc]
ホンダ
H22A型
87.0mm
[+1.5mm]
3310cc
[+114cc]
ホンダ
K24W型
87.0mm
[+1.5mm]
3310cc
[+114cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、三菱:N74WG型RVRに搭載される4G64型2350ccの86.5mm、ホンダ:CW2型アコード ツアラーに搭載されるK24A型2354ccの87.0mm、日産:Z32型マキシマに搭載されるVG30型2960ccの87.0mm、トヨタ:SXV25N型ハリアーに搭載される5S型2163ccの87.0mm、ホンダ:CL1型アコードに搭載されるH22A型2156ccの87.0mm、ホンダ:RC1型オデッセイに搭載されるK24W型2356ccの87.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 3500ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 3500ccクラスのエンジン
ストロークが短い 3500ccクラスのエンジン
ストロークが長い 3500ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [3500ccクラス]
ボアストローク比・降順 [3500ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
3000rpm
最高出力
6500rpm
92.8mm9.3m/s20.1m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.2m/s22km/h
4000rpm12.4m/s45km/h
6000rpm18.6m/s67km/h
8000rpm24.7m/s89km/h
10000rpm30.9m/s111km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが92.8mmのエンジンが最高出力を発生する6500回転での平均ピストンスピードは20.1m/sとなり、これは1秒間に20.1メートル(時速にすると72.4km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する3000回転では9.3m/s、最高出力が発生する6500回転より500回転高い7000回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は21.7m/sとなっています。

参考までにストロークが92.8mmのCAL型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.17m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、6470回転くらいが良い感じの回転数になるのではないかと思いますが、このエンジンは最高出力を発生している時点で既に20.0m/sを超えており、レブリミットを考慮するともう少し余分に(300~500回転?)回ることから、内部では大変なことになりながらも頑張って回っているエンジンです。


CAL型エンジンを搭載する車種の例

全5車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
アウディ
8RCALF
2011/07
Q5
3.2FSI-Quattro
[ABA-8RCALF]
270PS
33.7kgm
9.1km/L
7.148kg/PS
自然吸気
4WD/7AT
SUV
5人乗り
車両型式:ABA-8RCALF

Q5
[3.2FSI-Quattro]
2011/07モデル
最高出力270PS
最大トルク33.7kgm
10-15モード燃費9.1km/L
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りSUV
4WD/7AT
アウディ
8TCALF
2009/12
A5 クーペ
3.2FSI-Quattro
[ABA-8TCALF]
265PS
33.7kgm
9.3km/L
6.302kg/PS
自然吸気
4WD/6AT
クーペ
4人乗り
車両型式:ABA-8TCALF

A5 クーペ
[3.2FSI-Quattro]
2009/12モデル
最高出力265PS
最大トルク33.7kgm
10-15モード燃費9.3km/L
吸気方式自然吸気
車体構成4人乗りクーペ
4WD/6AT
アウディ
8KCALF
2009/08
A4 セダン
3.2FSI-Quattro
[ABA-8KCALF]
265PS
33.7kgm
10.4km/L
6.453kg/PS
自然吸気
4WD/6AT
セダン
5人乗り
車両型式:ABA-8KCALF

A4 セダン
[3.2FSI-Quattro]
2009/08モデル
最高出力265PS
最大トルク33.7kgm
10-15モード燃費10.4km/L
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りセダン
4WD/6AT
アウディ
8KCALF
2009/08
A4アバント
3.2FSI-Quattro
[ABA-8KCALF]
265PS
33.7kgm
10.4km/L
6.642kg/PS
自然吸気
4WD/6AT
ワゴン
5人乗り
車両型式:ABA-8KCALF

A4アバント
[3.2FSI-Quattro]
2009/08モデル
最高出力265PS
最大トルク33.7kgm
10-15モード燃費10.4km/L
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りワゴン
4WD/6AT
アウディ
8FCALF
2009/08
A5 カブリオレ
BaseGrade
[ABA-8FCALF]
265PS
33.7kgm
-
0.000kg/PS
自然吸気
4WD/7AT
オープンカー
4人乗り
車両型式:ABA-8FCALF

A5 カブリオレ
[BaseGrade]
2009/08モデル
最高出力265PS
最大トルク33.7kgm
10-15モード燃費10.4km/L
吸気方式自然吸気
車体構成4人乗りオープンカー
4WD/7AT

アウディ製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】