アウディ:BHK型エンジンの諸元と性能まとめ [V型6気筒 3594cc]

ここではアウディの4LBHKS型・Q7 [3.6FSI-Quattro|2009/09モデル] に搭載されているBHK型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

BHK型の自然吸気エンジン諸元


4LBHKS型 Q7
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式ABA-4LBHKS型
車名&グレードQ7
3.6FSI-Quattro
エンジン型式BHK
種類V型6気筒
排気量3594cc
内径×行程89.0mm×96.3mm
ボアストローク比1.08
単気筒容積599.1cc
圧縮比12.0
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力280PS/6200rpm
最大トルク36.7kgm/2500-5000rpm

まず基本的な成り立ちとして、BHK型エンジンはボア(内径)89.0mm、ストローク(行程)96.3mm、ボアストローク比1.08のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
BHKのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷128.1PS → 280PS
トルクの変遷36.7kgm → 32.4kgm
リッター馬力77.9PS/L
リッタートルク10.2kgm/L

今回の参考車両であるQ7のV型6気筒3594cc、圧縮比12.0でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、6200回転のとき最高出力280馬力を、6200回転のとき最大トルク36.7kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する2500回転での馬力は128.1PS、最高出力が発生する6200回転でのトルクは32.4kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は77.9PS/L、トルクは10.2kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積599.1cc)あたりの馬力は46.7PS、トルクは6.1kgmです。

BHK型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 6 ]、換算トルクが[ 8 ]の「標準的な出力(中の上)のエンジン」にカテゴライズされます。



排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
89.0mm96.3mm3594cc12.01.08
ボアアップによる排気量拡大
89.5mm96.3mm3635cc12.11.08
90.0mm3676cc12.21.07
90.5mm3717cc12.41.06
91.0mm3758cc12.51.06
91.5mm3799cc12.61.05
92.0mm3841cc12.71.05
ストロークアップによる排気量拡大
89.0mm97.3mm3632cc12.11.09
98.3mm3669cc12.21.10
99.3mm3706cc12.31.12
100.3mm3744cc12.41.13
101.3mm3781cc12.61.14

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の89.0mmから0.5mm刻みで92.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の96.3mmから1mm刻みで101.3mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。BHK型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.08から1.05に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

BHK型エンジンのピストン径89.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが29件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
マツダ
JE-ZE型
90.0mm
[+1.0mm]
3676cc
[+82cc]
マツダ
JE-E型
90.0mm
[+1.0mm]
3676cc
[+82cc]
ホンダ
C30A型
90.0mm
[+1.0mm]
3676cc
[+82cc]
ホンダ
C32A型
90.0mm
[+1.0mm]
3676cc
[+82cc]
ホンダ
C35A型
90.0mm
[+1.0mm]
3676cc
[+82cc]
トヨタ
T2型
90.0mm
[+1.0mm]
3676cc
[+82cc]

ピストン径が小さい 4000ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 4000ccクラスのエンジン
ストロークが短い 4000ccクラスのエンジン
ストロークが長い 4000ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [4000ccクラス]
ボアストローク比・降順 [4000ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
2500rpm
最高出力
6200rpm
96.3mm8.0m/s19.9m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.4m/s23km/h
4000rpm12.8m/s46km/h
6000rpm19.3m/s69km/h
8000rpm25.7m/s93km/h
10000rpm32.1m/s116km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが96.3mmのエンジンが最高出力を発生する6200回転での平均ピストンスピードは19.9m/sとなり、これは1秒間に19.9メートル(時速にすると71.6km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する2500回転では8.0m/s、最高出力が発生する6200回転より500回転高い6700回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は21.5m/sとなっています。

参考までにストロークが96.3mmのBHK型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.43m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6230回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


BHK型エンジンを搭載する車種の例

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
アウディ
4LBHKS
2009/09
Q7
3.6FSI-Quattro
[ABA-4LBHKS]
280PS
36.7kgm
7.6km/L
8.11kg/PS
自然吸気
4WD/6AT
SUV
5人乗り

Q7
[3.6FSI-Quattro]
2009/09モデル
車両型式ABA-4LBHKS
最高出力280PS
最大トルク36.7kgm
10-15モード燃費7.6km/L
パワーウェイト8.11kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機4WD/6AT
車体形状&乗車定員SUV/5人乗り

その他のBHK型エンジン型式と代表的な車種

BHK型
全1車種
VW:トゥアレグ [V6]
最高出力280PS/最大トルク36.7kgm|2010/03モデル
BHK型
全1車種
VW:トゥアレグ
[V6]
280PS/36.7kgm|2010/03