AMG:12098312型エンジンの諸元と性能まとめ [V型12気筒 7055cc]

ここではAMGの129076型・SLクラス [SL600-7.0 R129|1998/10モデル] に搭載されている12098312型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

12098312型の自然吸気エンジン諸元


129076型 SLクラス
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式129076型
車名&グレードSLクラス
SL600-7.0 R129
エンジン型式12098312
種類V型12気筒
排気量7055cc
内径×行程91.0mm×90.4mm
ボアストローク比0.99
単気筒容積587.9cc
圧縮比10.0
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力496PS/5500rpm
最大トルク73.4kgm/3900rpm

まず基本的な成り立ちとして、12098312型エンジンはボア(内径)91.0mm、ストローク(行程)90.4mm、ボアストローク比0.99のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、厳密に言えばボアとストロークが全くの同一でなければスクエア型を名乗ることは許されませんが、ここまでボアストローク比が1に近いのであれば「もうスクエア型にしてあげても良いじゃない!」という気もします。

これらのエンジンはショートストローク型、或いはロングストローク型の風味を残しつつ、その実はスクエア型に限りなく近い特性を持ちます。「やっぱこう、どうせなら低回転で粘って高回転でキレ
(省略されました・・全てを読むには ここ を押してください)

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
12098312のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷399.6PS → 496PS
トルクの変遷73.4kgm → 64.6kgm
リッター馬力70.3PS/L
リッタートルク10.4kgm/L

今回の参考車両であるSLクラスのV型12気筒7055cc、圧縮比10.0でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、5500回転のとき最高出力496馬力を、5500回転のとき最大トルク73.4kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する3900回転での馬力は399.6PS、最高出力が発生する5500回転でのトルクは64.6kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は70.3PS/L、トルクは10.4kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積587.9cc)あたりの馬力は41.3PS、トルクは6.1kgmです。

12098312型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 5 ]、換算トルクが[ 8 ]の「標準的な出力(中の下)のエンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
91.090.47055cc10.00.99
ボアアップによる排気量拡大
91.590.47133cc10.10.99
92.07211cc10.20.98
92.57290cc10.30.98
93.07369cc10.40.97
93.57448cc10.50.97
94.07528cc10.60.96
ストロークアップによる排気量拡大
91.091.47133cc10.11.00
92.47211cc10.21.02
93.47289cc10.31.03
94.47367cc10.41.04
95.47445cc10.51.05

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の91.0mmから0.5mm刻みで94.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の90.4mmから1mm刻みで95.4mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.99からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。12098312型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.99から0.96に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

12098312型エンジンのピストン径91.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが29件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
スバル
EJ20型
92.0mm
[+1.0mm]
7211cc
[+156cc]
トヨタ
2L型
92.0mm
[+1.0mm]
7211cc
[+156cc]
スズキ
J24B型
92.0mm
[+1.0mm]
7211cc
[+156cc]
スバル
EA71型
92.0mm
[+1.0mm]
7211cc
[+156cc]
マツダ
G5型
92.0mm
[+1.0mm]
7211cc
[+156cc]
トヨタ
3MZ型
92.0mm
[+1.0mm]
7211cc
[+156cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、スバル:BL5型レガシィB4に搭載されるEJ20型1994ccの92.0mm、トヨタ:LH100G型ハイエースワゴンに搭載される2L型2446ccの92.0mm、スズキ:RF91S型キザシに搭載されるJ24B型2393ccの92.0mm、スバル:AA2型レオーネに搭載されるEA71型1595ccの92.0mm、マツダ:UV56R型プロシード マービーに搭載されるG5型2494ccの92.0mm、トヨタ:MHU38W型ハリアー ハイブリッドに搭載される3MZ型3310ccの92.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 5000cc超のエンジン
ピストン径が大きい 5000cc超のエンジン
ストロークが短い 5000cc超のエンジン
ストロークが長い 5000cc超のエンジン
ボアストローク比・昇順 [5000cc超]
ボアストローク比・降順 [5000cc超]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
3900rpm
最高出力
5500rpm
90.4mm11.8m/s16.6m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.0m/s22km/h
4000rpm12.1m/s44km/h
6000rpm18.1m/s65km/h
8000rpm24.1m/s87km/h
10000rpm30.1m/s108km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが90.4mmのエンジンが最高出力を発生する5500回転での平均ピストンスピードは16.6m/sとなり、これは1秒間に16.6メートル(時速にすると59.8km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する3900回転では11.8m/s、最高出力が発生する5500回転より500回転高い6000回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は18.1m/sとなっています。

参考までにストロークが90.4mmの12098312型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.03m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6640回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


12098312型エンジンを搭載する車種の例

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
AMG
129076
1998/10
SLクラス
SL600-7.0 R129
[129076]
496PS
73.4kgm
5.4km/L
3.85kg/PS
自然吸気
FR/5AT
オープンカー
2人乗り

SLクラス
[SL600-7.0 R129]
1998/10モデル
車両型式129076
最高出力496PS
最大トルク73.4kgm
10-15モード燃費5.4km/L
パワーウェイト3.85kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/5AT
車体形状&乗車定員オープンカー/2人乗り