AMG:119982型エンジンの諸元と性能まとめ [V型8気筒 5956cc]

ここではAMGのR129型・SLクラス [SL500-6.0 R129|1996/06モデル] に搭載されている119982型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

119982型の自然吸気エンジン諸元


R129型 SLクラス
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式R129型
車名&グレードSLクラス
SL500-6.0 R129
エンジン型式119982
種類V型8気筒
排気量5956cc
内径×行程100.0mm×94.8mm
ボアストローク比0.95
単気筒容積744.5cc
圧縮比10.0
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力381PS/5600rpm
最大トルク59.1kgm/3750rpm

まず基本的な成り立ちとして、119982型エンジンはボア(内径)100.0mm、ストローク(行程)94.8mm、ボアストローク比0.95のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
119982のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷309.4PS → 381PS
トルクの変遷59.1kgm → 48.7kgm
リッター馬力64.0PS/L
リッタートルク9.9kgm/L

今回の参考車両であるSLクラスのV型8気筒5956cc、圧縮比10.0でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、5600回転のとき最高出力381馬力を、5600回転のとき最大トルク59.1kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する3750回転での馬力は309.4PS、最高出力が発生する5600回転でのトルクは48.7kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は64.0PS/L、トルクは9.9kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積744.5cc)あたりの馬力は47.6PS、トルクは7.4kgmです。

119982型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 4 ]、換算トルクが[ 7 ]の「やや控えめな出力のエンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
100.094.85956cc10.00.95
ボアアップによる排気量拡大
100.594.86016cc10.10.94
101.06076cc10.20.94
101.56136cc10.30.93
102.06197cc10.40.93
102.56258cc10.50.92
103.06319cc10.60.92
ストロークアップによる排気量拡大
100.095.86019cc10.10.96
96.86082cc10.20.97
97.86145cc10.30.98
98.86208cc10.40.99
99.86270cc10.51.00

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の100.0mmから0.5mm刻みで103.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の94.8mmから1mm刻みで99.8mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.95からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。119982型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.95から0.92に変化するという具合です。


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
3750rpm
最高出力
5600rpm
94.8mm11.8m/s17.7m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.3m/s23km/h
4000rpm12.6m/s45km/h
6000rpm19.0m/s68km/h
8000rpm25.3m/s91km/h
10000rpm31.6m/s114km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが94.8mmのエンジンが最高出力を発生する5600回転での平均ピストンスピードは17.7m/sとなり、これは1秒間に17.7メートル(時速にすると63.7km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する3750回転では11.8m/s、最高出力が発生する5600回転より500回転高い6100回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は19.3m/sとなっています。

参考までにストロークが94.8mmの119982型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.33m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6330回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


119982型エンジンを搭載する車種の例

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
AMG
R129
1996/06
SLクラス
SL500-6.0 R129
[R129]
381PS
59.1kgm
-
4.67kg/PS
自然吸気
FR/5AT
オープンカー
2人乗り

SLクラス
[SL500-6.0 R129]
1996/06モデル
車両型式R129
最高出力381PS
最大トルク59.1kgm
パワーウェイト4.67kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/5AT
車体形状&乗車定員オープンカー/2人乗り