AMG:11386型エンジンの諸元と性能まとめ [V型8気筒 5438cc]

ここではAMGの220174型・Sクラス [S55L W220|2000/11モデル] に搭載されている11386型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

11386型の自然吸気エンジン諸元


220174型 Sクラス
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式GH-220174型
車名&グレードSクラス
S55L W220
エンジン型式11386
種類V型8気筒
排気量5438cc
内径×行程97.0mm×92.0mm
ボアストローク比0.95
単気筒容積679.8cc
圧縮比10.5
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力360PS/5500rpm
最大トルク54.0kgm/3150-4500rpm

まず基本的な成り立ちとして、11386型エンジンはボア(内径)97.0mm、ストローク(行程)92.0mm、ボアストローク比0.95のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、11386型の自然吸気エンジンを搭載する最も古い車種は、1999/08から発売された4代目Sクラス [220074型|1999/08]、最も新しい車種は1999/08から発売された4代目Sクラス [220174型|2000/11]となっており、NA車は6車種、ターボ/SC車は0車種の全6車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
11386のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷237.5PS → 360PS
トルクの変遷54.0kgm → 46.9kgm
リッター馬力66.2PS/L
リッタートルク9.9kgm/L

今回の参考車両であるSクラスのV型8気筒5438cc、圧縮比10.5でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、5500回転のとき最高出力360馬力を、5500回転のとき最大トルク54.0kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する3150回転での馬力は237.5PS、最高出力が発生する5500回転でのトルクは46.9kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は66.2PS/L、トルクは9.9kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積679.8cc)あたりの馬力は45.0PS、トルクは6.8kgmです。

11386型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 5 ]、換算トルクが[ 7 ]の「標準的な出力(中の下)のエンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、11386型のターボ・SCエンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのは220174型Sクラスの360PS/54.0kgm、最も小さかったのはCLK55型CLKクラスの347PS/52.0kgmとなっています。

エンジンオイルの通販革命!高品質×低価格
TAKUMIモーターオイル HIGH QUALITY
【5W-30】


排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
97.092.05438cc10.50.95
ボアアップによる排気量拡大
97.592.05495cc10.60.94
98.05551cc10.70.94
98.55608cc10.80.93
99.05665cc10.90.93
99.55723cc11.00.92
100.05780cc11.10.92
ストロークアップによる排気量拡大
97.093.05498cc10.60.96
94.05557cc10.70.97
95.05616cc10.80.98
96.05675cc10.90.99
97.05734cc11.01.00

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の97.0mmから0.5mm刻みで100.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の92.0mmから1mm刻みで97.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.95からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。11386型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.95から0.92に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

11386型エンジンのピストン径97.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが4件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
スバル
EJ25型
99.5mm
[+2.5mm]
5723cc
[+285cc]
日産
TB48型
99.5mm
[+2.5mm]
5723cc
[+285cc]
日産
TB45型
99.5mm
[+2.5mm]
5723cc
[+285cc]
トヨタ
1FZ型
100.0mm
[+3.0mm]
5780cc
[+342cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、スバル:GRF型インプレッサ STIに搭載されるEJ25型2457ccの99.5mm、日産:WFGY61型サファリに搭載されるTB48型4758ccの99.5mm、日産:WGY61型サファリに搭載されるTB45型4478ccの99.5mm、トヨタ:FZJ80G型ランドクルーザー80に搭載される1FZ型4476ccの100.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい クラスのエンジン
ピストン径が大きい クラスのエンジン
ストロークが短い クラスのエンジン
ストロークが長い クラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [クラス]
ボアストローク比・降順 [クラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
3150rpm
最高出力
5500rpm
92.0mm9.7m/s16.9m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.1m/s22km/h
4000rpm12.3m/s44km/h
6000rpm18.4m/s66km/h
8000rpm24.5m/s88km/h
10000rpm30.7m/s111km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが92.0mmのエンジンが最高出力を発生する5500回転での平均ピストンスピードは16.9m/sとなり、これは1秒間に16.9メートル(時速にすると60.8km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する3150回転では9.7m/s、最高出力が発生する5500回転より500回転高い6000回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は18.4m/sとなっています。

参考までにストロークが92.0mmの11386型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.15m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6520回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


11386型エンジンを搭載する車種の例

全6車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
AMG
220174
2000/11
Sクラス
S55L W220
[GH-220174]
360PS
54.0kgm
6.8km/L
5.31kg/PS
自然吸気
FR/5AT
セダン
4人乗り

Sクラス
[S55L W220]
2000/11モデル
車両型式GH-220174
最高出力360PS
最大トルク54.0kgm
10-15モード燃費6.8km/L
パワーウェイト5.31kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/5AT
車体形状&乗車定員セダン/4人乗り
AMG
220074
1999/08
Sクラス
S55 W220
[GH-220074]
360PS
54.0kgm
6.7km/L
5.25kg/PS
自然吸気
FR/5AT
セダン
5人乗り

Sクラス
[S55 W220]
1999/08モデル
車両型式GH-220074
最高出力360PS
最大トルク54.0kgm
10-15モード燃費6.7km/L
パワーウェイト5.25kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/5AT
車体形状&乗車定員セダン/5人乗り
AMG
E55T
1999/10
Eクラス ステーションワゴン
E55T S210
[GF-E55T]
353PS
54.0kgm
7.1km/L
5.01kg/PS
自然吸気
FR/5AT
ワゴン
5人乗り

Eクラス ステーションワゴン
[E55T S210]
1999/10モデル
車両型式GF-E55T
最高出力353PS
最大トルク54.0kgm
10-15モード燃費7.1km/L
パワーウェイト5.01kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/5AT
車体形状&乗車定員ワゴン/5人乗り
AMG
E55
1999/10
Eクラス
E55 W210
[GF-E55]
353PS
54.0kgm
6.8km/L
4.73kg/PS
自然吸気
FR/5AT
セダン
5人乗り

Eクラス
[E55 W210]
1999/10モデル
車両型式GF-E55
最高出力353PS
最大トルク54.0kgm
10-15モード燃費6.8km/L
パワーウェイト4.73kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/5AT
車体形状&乗車定員セダン/5人乗り
AMG
CLK55
2000/08
CLKクラス
CLK55 C208
[GF-CLK55]
347PS
52.0kgm
-
4.52kg/PS
自然吸気
FR/5AT
クーペ
4人乗り

CLKクラス
[CLK55 C208]
2000/08モデル
車両型式GF-CLK55
最高出力347PS
最大トルク52.0kgm
10-15モード燃費6.8km/L
パワーウェイト4.52kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/5AT
車体形状&乗車定員クーペ/4人乗り
AMG
ML55
2000/06
Mクラス
ML55 W163
[GF-ML55]
347PS
52.0kgm
6.3km/L
6.34kg/PS
自然吸気
4WD/5AT
SUV
5人乗り

Mクラス
[ML55 W163]
2000/06モデル
車両型式GF-ML55
最高出力347PS
最大トルク52.0kgm
10-15モード燃費6.3km/L
パワーウェイト6.34kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機4WD/5AT
車体形状&乗車定員SUV/5人乗り