AMG:M1117型エンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 2294cc]

ここではAMGの170A23型・SLKクラス [SLK230 R170|1999/10モデル] に搭載されているM1117型のスーパーチャージャーエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

M1117型のスーパーチャージャーエンジン諸元


170A23型 SLKクラス
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式GF-170A23R型
車名&グレードSLKクラス
SLK230 R170
エンジン型式M1117
種類直列4気筒
排気量2294cc
内径×行程90.9mm×88.4mm
ボアストローク比0.97
単気筒容積573.7cc
圧縮比8.8
吸気方式スーパーチャージャー
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力193PS/5300rpm
最大トルク28.6kgm/2500-4800rpm

まず基本的な成り立ちとして、M1117型エンジンはボア(内径)90.9mm、ストローク(行程)88.4mm、ボアストローク比0.97のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
M1117のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷99.8PS → 193PS
トルクの変遷28.6kgm → 26.1kgm
リッター馬力84.1PS/L
リッタートルク12.5kgm/L

今回の参考車両であるSLKクラスの直列4気筒2294cc、圧縮比8.8でハイオクガソリン仕様のスーパーチャージャーエンジンは、5300回転のとき最高出力193馬力を、5300回転のとき最大トルク28.6kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する2500回転での馬力は99.8PS、最高出力が発生する5300回転でのトルクは26.1kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は84.1PS/L、トルクは12.5kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積573.7cc)あたりの馬力は48.2PS、トルクは7.2kgmです。

M1117型スーパーチャージャーエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 5 ]、換算トルクが[ 4 ]の「標準的な出力(中の下)のエンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
90.988.42294cc8.80.97
ボアアップによる排気量拡大
91.488.42320cc8.90.97
91.92345cc9.00.96
92.42371cc9.10.96
92.92397cc9.10.95
93.42423cc9.20.95
93.92449cc9.30.94
ストロークアップによる排気量拡大
90.989.42321cc8.90.98
90.42347cc9.00.99
91.42373cc9.11.01
92.42398cc9.21.02
93.42424cc9.21.03

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の90.9mmから0.5mm刻みで93.9mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の88.4mmから1mm刻みで93.4mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.97からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。M1117型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.97から0.94に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

M1117型エンジンのピストン径90.9mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが7件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
スバル
EJ20型
92.0mm
[+1.1mm]
2351cc
[+57cc]
トヨタ
2L型
92.0mm
[+1.1mm]
2351cc
[+57cc]
スバル
EA82型
92.0mm
[+1.1mm]
2351cc
[+57cc]
ダイハツ
DL型
92.0mm
[+1.1mm]
2351cc
[+57cc]
トヨタ
1GD型
92.0mm
[+1.1mm]
2351cc
[+57cc]
日産
VQ30型
93.0mm
[+2.1mm]
2402cc
[+108cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、スバル:VAB型WRX STIに搭載されるEJ20型1994ccの92.0mm、トヨタ:LX80型ハイラックスサーフに搭載される2L型2446ccの92.0mm、スバル:AX4型アルシオーネに搭載されるEA82型1781ccの92.0mm、ダイハツ:F78W型ラガーに搭載されるDL型2765ccの92.0mm、トヨタ:GDJ150W型ランドクルーザー プラドに搭載される1GD型2754ccの92.0mm、日産:HF50型シーマに搭載されるVQ30型2987ccの93.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 2500ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 2500ccクラスのエンジン
ストロークが短い 2500ccクラスのエンジン
ストロークが長い 2500ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [2500ccクラス]
ボアストローク比・降順 [2500ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
2500rpm
最高出力
5300rpm
88.4mm7.4m/s15.6m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.9m/s21km/h
4000rpm11.8m/s42km/h
6000rpm17.7m/s64km/h
8000rpm23.6m/s85km/h
10000rpm29.5m/s106km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが88.4mmのエンジンが最高出力を発生する5300回転での平均ピストンスピードは15.6m/sとなり、これは1秒間に15.6メートル(時速にすると56.2km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する2500回転では7.4m/s、最高出力が発生する5300回転より500回転高い5800回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は17.1m/sとなっています。

参考までにストロークが88.4mmのM1117型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.90m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6790回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


M1117型エンジンを搭載する車種の例

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
AMG
170A23
1999/10
SLKクラス
SLK230 R170
[GF-170A23R]
193PS
28.6kgm
8.9km/L
7.10kg/PS
SC
FR/5AT
オープンカー
2人乗り

SLKクラス
[SLK230 R170]
1999/10モデル
車両型式GF-170A23R
最高出力193PS
最大トルク28.6kgm
10-15モード燃費8.9km/L
パワーウェイト7.10kg/PS
吸気方式SC
駆動方式&変速機FR/5AT
車体形状&乗車定員オープンカー/2人乗り

その他のM1117型エンジン型式と代表的な車種

M1117型
全4車種
ベンツ:Cクラス ステーションワゴン [C230 Station-Wagon S202]
最高出力150PS/最大トルク22.4kgm
1996/12モデル
メルセデスベンツ
M1117型
全4車種
Cクラス ステーションワゴン
[C230 Station-Wagon S202]
150PS/22.4kgm