ここではAMGの202A36型・Cクラス セダン [C36 W202|1996/06モデル] に搭載されているAMG36型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。
AMG36型の自然吸気エンジン諸元
202A36型 Cクラス セダン 主要諸元と走行性能まとめ | |
車両型式 | E-202A36S型 |
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車名&グレード | Cクラス セダン C36 W202 |
エンジン型式 | AMG36 |
種類 | 直列6気筒 |
排気量 | 3605cc |
内径×行程 | 91.0mm×92.4mm |
ボアストローク比 | 1.01 |
単気筒容積 | 600.9cc |
圧縮比 | 10.5 |
吸気方式 | 自然吸気 |
使用燃料 | ハイオクガソリン |
最高出力 | 280PS/5750rpm |
最大トルク | 39.2kgm/4000rpm |
まず基本的な成り立ちとして、AMG36型エンジンはボア(内径)91.0mm、ストローク(行程)92.4mm、ボアストローク比1.01のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。
排気量と気筒数が同一の場合、厳密に言えばボアとストロークが全くの同一でなければスクエア型を名乗ることは許されませんが、ここまでボアストローク比が1に近いのであれば「もうスクエア型にしてあげても良いじゃない!」という気もします。
これらのエンジンはショートストローク型、或いはロングストローク型の風味を残しつつ、その実はスクエア型に限りなく近い特性を持ちます。「やっぱこう、どうせなら低回転で粘って高回転でキレ
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過渡特性とリッター換算馬力から見た評価
エンジン性能曲線のイメージ | |
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馬力の変遷 | 218.9PS → 280PS |
トルクの変遷 | 39.2kgm → 34.9kgm |
リッター馬力 | 77.67PS/L |
リッタートルク | 10.9kgm/L |
今回の参考車両であるCクラス セダンの直列6気筒3605cc、圧縮比10.5でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、5750回転のとき最高出力280馬力を、5750回転のとき最大トルク39.2kgmを発生させます。
馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する4000回転での馬力は218.9PS、最高出力が発生する5750回転でのトルクは34.9kgmになります。
排気量1リットルあたりの馬力は77.67PS/L、トルクは10.9kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積600.9cc)あたりの馬力は46.7PS、トルクは6.5kgmです。
AMG36型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 6 ]、換算トルクが[ 10 ]の「標準的な出力(中の上)のエンジン」にカテゴライズされます。
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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化
ノーマルの排気量と圧縮比 | ||||
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Bore | Stroke | 排気量 | 圧縮比 | B/S比 |
91.0 | 92.4 | 3605cc | 10.5 | 1.01 |
ボアアップによる排気量拡大 | ||||
91.5 | 92.4 | 3645cc | 10.6 | 1.01 |
92.0 | 3685cc | 10.7 | 1.00 | |
92.5 | 3725cc | 10.8 | 1.00 | |
93.0 | 3766cc | 10.9 | 0.99 | |
93.5 | 3806cc | 11.0 | 0.99 | |
94.0 | 3847cc | 11.1 | 0.98 | |
ストロークアップによる排気量拡大 | ||||
91.0 | 93.4 | 3645cc | 10.6 | 1.03 |
94.4 | 3684cc | 10.7 | 1.04 | |
95.4 | 3723cc | 10.8 | 1.05 | |
96.4 | 3762cc | 10.9 | 1.06 | |
97.4 | 3801cc | 11.0 | 1.07 |
エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。
ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の91.0mmから0.5mm刻みで94.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の92.4mmから1mm刻みで97.4mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。
※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。
圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。
B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。AMG36型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.01から0.98に変化するという具合です。
ピストン径が近いエンジンと排気量アップ
AMG36型エンジンのピストン径91.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが30件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。
Eg型式 | ピストン径 | 排気量 |
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スバル EJ20型 | 92.0mm [+1.0mm] | 3685cc [+80cc] |
トヨタ 2L型 | 92.0mm [+1.0mm] | 3685cc [+80cc] |
スバル EA71型 | 92.0mm [+1.0mm] | 3685cc [+80cc] |
スズキ J24B型 | 92.0mm [+1.0mm] | 3685cc [+80cc] |
マツダ G5型 | 92.0mm [+1.0mm] | 3685cc [+80cc] |
トヨタ 3MZ型 | 92.0mm [+1.0mm] | 3685cc [+80cc] |
ピストン径が近いエンジンとしては、スバル:BL5型レガシィB4に搭載されるEJ20型1994ccの92.0mm、トヨタ:LH100G型ハイエースワゴンに搭載される2L型2446ccの92.0mm、スバル:AA2型レオーネに搭載されるEA71型1595ccの92.0mm、スズキ:RF91S型キザシに搭載されるJ24B型2393ccの92.0mm、マツダ:UV56R型プロシード マービーに搭載されるG5型2494ccの92.0mm、トヨタ:MHU38W型ハリアー ハイブリッドに搭載される3MZ型3310ccの92.0mmなどが該当します。
(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。
●ピストン径が小さい 4000ccクラスのエンジン
●ピストン径が大きい 4000ccクラスのエンジン
●ストロークが短い 4000ccクラスのエンジン
●ストロークが長い 4000ccクラスのエンジン
●ボアストローク比・昇順 [4000ccクラス]
●ボアストローク比・降順 [4000ccクラス]
平均ピストンスピード
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続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが92.4mmのエンジンが最高出力を発生する5750回転での平均ピストンスピードは17.7m/sとなり、これは1秒間に17.7メートル(時速にすると63.7km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。
最大トルクを発生する4000回転では12.3m/s、最高出力が発生する5750回転より500回転高い6250回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は19.3m/sとなっています。
参考までにストロークが92.4mmのAMG36型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.15m/sずつ速度が増していくようです。
大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6490回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。
AMG36型エンジンを搭載する車種の例
メーカー 車両型式 | 画像 | 車名&グレード | 出力/燃費 パワーウェイト | 排気量 変速機 | ||||||||||||||
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AMG 202A36 | 1996/06 Cクラス セダン C36 W202 [E-202A36S] | 280PS 39.2kgm 8.8km/L 5.571kg/PS | 自然吸気 FR/4AT セダン 5人乗り | |||||||||||||||
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