アルファロメオ:940A2型エンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 1368cc]

ここではアルファロメオの94014型・ジュリエッタ [Competizione-Alfisti|2012/02モデル] に搭載されている940A2型のターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

940A2型のターボエンジン諸元


94014型 ジュリエッタ
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式ABA-94014型
車名&グレードジュリエッタ
Competizione-Alfisti
エンジン型式940A2
種類直列4気筒
排気量1368cc
内径×行程72.0mm×84.0mm
ボアストローク比1.17
単気筒容積342.0cc
吸気方式ターボ
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力170PS/5500rpm
最大トルク23.5kgm/2250rpm

まず基本的な成り立ちとして、940A2型エンジンはボア(内径)72.0mm、ストローク(行程)84.0mm、ボアストローク比1.17のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

このサイトにて940A2型のターボエンジンを搭載している車種は、2012/02から発売された3代目ジュリエッタ [94014型|2012/02]となっており、NA車は0車種、ターボ/SC車は3車種の全3車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
940A2のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷73.8PS → 170PS
トルクの変遷23.5kgm → 22.1kgm
リッター馬力124.27PS/L
リッタートルク17.2kgm/L

今回の参考車両であるジュリエッタの直列4気筒1368ccでハイオクガソリン仕様のターボエンジンは、5500回転のとき最高出力170馬力を、5500回転のとき最大トルク23.5kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する2250回転での馬力は73.8PS、最高出力が発生する5500回転でのトルクは22.1kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は124.27PS/L、トルクは17.2kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積342.0cc)あたりの馬力は42.5PS、トルクは5.9kgmです。

940A2型ターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 8 ]、換算トルクが[ 7 ]の「結構な高出力エンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
72.084.01368cc-1.17
ボアアップによる排気量拡大
72.584.01387cc-1.16
73.01406cc-1.15
73.51426cc-1.14
74.01445cc-1.14
74.51465cc-1.13
75.01484cc-1.12
ストロークアップによる排気量拡大
72.085.01384cc-1.18
86.01401cc-1.19
87.01417cc-1.21
88.01433cc-1.22
89.01449cc-1.24

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の72.0mmから0.5mm刻みで75.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の84.0mmから1mm刻みで89.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。940A2型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.17から1.12に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

940A2型エンジンのピストン径72.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが14件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
ホンダ
L15B型
73.0mm
[+1.0mm]
1406cc
[+38cc]
ホンダ
L15C型
73.0mm
[+1.0mm]
1406cc
[+38cc]
ホンダ
LEA型
73.0mm
[+1.0mm]
1406cc
[+38cc]
トヨタ
3E型
73.0mm
[+1.0mm]
1406cc
[+38cc]
スズキ
K10C型
73.0mm
[+1.0mm]
1406cc
[+38cc]
スズキ
K14C型
73.0mm
[+1.0mm]
1406cc
[+38cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、ホンダ:GK5型フィットに搭載されるL15B型1496ccの73.0mm、ホンダ:FK7型シビックに搭載されるL15C型1496ccの73.0mm、ホンダ:ZF2型CR-Zに搭載されるLEA型1496ccの73.0mm、トヨタ:EL31型コルサ GPターボに搭載される3E型1456ccの73.0mm、スズキ:WB42S型バレーノに搭載されるK10C型996ccの73.0mm、スズキ:ZC33S型スイフト スポーツに搭載されるK14C型1371ccの73.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 1500ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 1500ccクラスのエンジン
ストロークが短い 1500ccクラスのエンジン
ストロークが長い 1500ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [1500ccクラス]
ボアストローク比・降順 [1500ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
2250rpm
最高出力
5500rpm
84.0mm6.3m/s15.4m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.6m/s20km/h
4000rpm11.2m/s40km/h
6000rpm16.8m/s60km/h
8000rpm22.4m/s81km/h
10000rpm28.0m/s101km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが84.0mmのエンジンが最高出力を発生する5500回転での平均ピストンスピードは15.4m/sとなり、これは1秒間に15.4メートル(時速にすると55.4km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する2250回転では6.3m/s、最高出力が発生する5500回転より500回転高い6000回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は16.8m/sとなっています。

参考までにストロークが84.0mmの940A2型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.60m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)7140回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


940A2型エンジンを搭載する車種の例

全3車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
アルファロメオ
94014
2012/02
ジュリエッタ
Competizione-Alfisti
[ABA-94014]
170PS
23.5kgm
-
8.059kg/PS
ターボ
FF/6MT
ハッチバック
5人乗り
車両型式:ABA-94014

ジュリエッタ
[Competizione-Alfisti]
2012/02モデル
最高出力170PS
最大トルク23.5kgm
吸気方式ターボ
車体構成5人乗りハッチバック
FF/6MT
アルファロメオ
955143
2012/02
ミト
Quadrifoglio-Verde
[ABA-955143]
170PS
23.5kgm
-
7.353kg/PS
ターボ
FF/6MT
ハッチバック
5人乗り
車両型式:ABA-955143

ミト
[Quadrifoglio-Verde]
2012/02モデル
最高出力170PS
最大トルク23.5kgm
吸気方式ターボ
車体構成5人乗りハッチバック
FF/6MT
アルファロメオ
94014
2012/02
ジュリエッタ
Sprint
[ABA-94014]
170PS
23.5kgm
-
8.235kg/PS
ターボ
FF/6AT
ハッチバック
5人乗り
車両型式:ABA-94014

ジュリエッタ
[Sprint]
2012/02モデル
最高出力170PS
最大トルク23.5kgm
吸気方式ターボ
車体構成5人乗りハッチバック
FF/6AT

アルファロメオ製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】