アバルト:312A1型エンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 1368cc]

ここではアバルトの312141型・アバルト595 [Competizione|2016/03モデル] に搭載されている312A1型のターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

312A1型のターボエンジン諸元


312141型 アバルト595
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式ABA-312141型
車名&グレードアバルト595
Competizione
エンジン型式312A1
種類直列4気筒
排気量1368cc
内径×行程72.0mm×84.0mm
ボアストローク比1.17
単気筒容積342.0cc
圧縮比9.8
吸気方式ターボ
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力180PS/5500rpm
最大トルク23.5kgm/2000rpm

まず基本的な成り立ちとして、312A1型エンジンはボア(内径)72.0mm、ストローク(行程)84.0mm、ボアストローク比1.17のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、312A1型のターボエンジンを搭載する最も古い車種は、2009/04から発売された初代アバルト500 [312141型|2010/06]、最も新しい車種は2013/01から発売された初代アバルト595 [312141型|2016/03]となっており、NA車は0車種、ターボ/SC車は4車種の全4車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
312A1のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷65.6PS → 180PS
トルクの変遷23.5kgm → 23.4kgm
リッター馬力131.58PS/L
リッタートルク17.2kgm/L

今回の参考車両であるアバルト595の直列4気筒1368cc、圧縮比9.8でハイオクガソリン仕様のターボエンジンは、5500回転のとき最高出力180馬力を、5500回転のとき最大トルク23.5kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する2000回転での馬力は65.6PS、最高出力が発生する5500回転でのトルクは23.4kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は131.58PS/L、トルクは17.2kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積342.0cc)あたりの馬力は45.0PS、トルクは5.9kgmです。

312A1型ターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 8 ]、換算トルクが[ 7 ]の「結構な高出力エンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、312A1型エンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのは312141型アバルト595の180PS/23.5kgm、最も小さかったのは312141型アバルト500の135PS/18.4kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
72.084.01368cc9.81.17
ボアアップによる排気量拡大
72.584.01387cc9.91.16
73.01406cc10.01.15
73.51426cc10.21.14
74.01445cc10.31.14
74.51465cc10.41.13
75.01484cc10.51.12
ストロークアップによる排気量拡大
72.085.01384cc9.91.18
86.01401cc10.01.19
87.01417cc10.11.21
88.01433cc10.21.22
89.01449cc10.31.24

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の72.0mmから0.5mm刻みで75.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の84.0mmから1mm刻みで89.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。312A1型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.17から1.12に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

312A1型エンジンのピストン径72.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが12件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
ホンダ
L15B型
73.0mm
[+1.0mm]
1406cc
[+38cc]
ホンダ
LEA型
73.0mm
[+1.0mm]
1406cc
[+38cc]
ホンダ
L15C型
73.0mm
[+1.0mm]
1406cc
[+38cc]
スズキ
K10C型
73.0mm
[+1.0mm]
1406cc
[+38cc]
スズキ
K14C型
73.0mm
[+1.0mm]
1406cc
[+38cc]
トヨタ
3E型
73.0mm
[+1.0mm]
1406cc
[+38cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、ホンダ:GK5型フィットに搭載されるL15B型1496ccの73.0mm、ホンダ:ZF2型CR-Zに搭載されるLEA型1496ccの73.0mm、ホンダ:FK7型シビックに搭載されるL15C型1496ccの73.0mm、スズキ:WB42S型バレーノに搭載されるK10C型996ccの73.0mm、スズキ:ZC33S型スイフト スポーツに搭載されるK14C型1371ccの73.0mm、トヨタ:EL31型カローラIIに搭載される3E型1456ccの73.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 1500ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 1500ccクラスのエンジン
ストロークが短い 1500ccクラスのエンジン
ストロークが長い 1500ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [1500ccクラス]
ボアストローク比・降順 [1500ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
2000rpm
最高出力
5500rpm
84.0mm5.6m/s15.4m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.6m/s20km/h
4000rpm11.2m/s40km/h
6000rpm16.8m/s60km/h
8000rpm22.4m/s81km/h
10000rpm28.0m/s101km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが84.0mmのエンジンが最高出力を発生する5500回転での平均ピストンスピードは15.4m/sとなり、これは1秒間に15.4メートル(時速にすると55.4km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する2000回転では5.6m/s、最高出力が発生する5500回転より500回転高い6000回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は16.8m/sとなっています。

参考までにストロークが84.0mmの312A1型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.60m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)7140回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


312A1型エンジンを搭載する車種の例

全4車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
アバルト
312141
2016/03
アバルト595
Competizione
[ABA-312141]
180PS
23.5kgm
13.8km/L
6.222kg/PS
ターボ
FF/5MT
ハッチバック
4人乗り
車両型式:ABA-312141

アバルト595
[Competizione]
2016/03モデル
最高出力180PS
最大トルク23.5kgm
JC08モード燃費13.8km/L
吸気方式ターボ
車体構成4人乗りハッチバック
FF/5MT
アバルト
312142
2016/03
アバルト595
Competizione
[ABA-312142]
180PS
23.5kgm
13.6km/L
6.222kg/PS
ターボ
FF/5AT
ハッチバック
4人乗り
車両型式:ABA-312142

アバルト595
[Competizione]
2016/03モデル
最高出力180PS
最大トルク23.5kgm
JC08モード燃費13.6km/L
吸気方式ターボ
車体構成4人乗りハッチバック
FF/5AT
アバルト
312141
2015/03
アバルト595
Competizione
[ABA-312141]
160PS
21.0kgm
14.5km/L
7.000kg/PS
ターボ
FF/5MT
ハッチバック
4人乗り
車両型式:ABA-312141

アバルト595
[Competizione]
2015/03モデル
最高出力160PS
最大トルク21.0kgm
JC08モード燃費14.5km/L
吸気方式ターボ
車体構成4人乗りハッチバック
FF/5MT
アバルト
312141
2010/06
アバルト500
BaseGrade
[ABA-312141]
135PS
18.4kgm
-
8.222kg/PS
ターボ
FF/5MT
ハッチバック
4人乗り
車両型式:ABA-312141

アバルト500
[BaseGrade]
2010/06モデル
最高出力135PS
最大トルク18.4kgm
JC08モード燃費14.5km/L
吸気方式ターボ
車体構成4人乗りハッチバック
FF/5MT